Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【生成AIとデザイン思考】新しい価値観、新たな文化を生み出そうとする企業

 

 米ファストファッションの「FOREVER21(フォーエバー21)」が日本に再上陸したといいます。

 新生フォーエバー21は、かつての「大量生産・大量販売・大量廃棄」というイメージからの脱却を目指し、「サステナビリティ」に力を入れているそうです。

再上陸のフォーエバー21 大量生産から脱却でハイクオリティな商品へ | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

デニム製品は、デニム生地の二次加工における水の水質量を一般的なジーンズと比べ90%削減。インナー製品は、インドで原料を調達したオーガニックコットンを使用している。今後、不要な衣料品の回収が進めば、リユース商品の展開なども予定しているという。(出所:Forbes)

 

 

脱「大量生産・大量販売・大量廃棄」

日本市場から撤退して3年、5年で売上高100億円を目指し、ECをメインにし、今後15店舗の展開を目指すといいます。

 記事によれば、日本展開におけるパートナーはアダストリアで、「適時・適価・適量」とのアダストリアの強みを活かし、日本にローカライズされた商品展開を実現していくそうです。

(画像:アダストリア

 「クオリティが高くて、サステナブルで、なおかつデザインもかっこいい。そうなった時にはじめて本当にかっこいい商品になると思うんです」とアダストリアR&D本部クリエイティブディレクターの野田氏は述べ、「洋服はあくまでアウトプットの手段なので、ブランドの意思を今後も伝えていけたらいいですね」と語ったといいます。

 時の移ろいを感じます。単なる流行りではなく、それが文化となり、定着していけばいいのでしょう。

 

 

デザイン思考

「これまでの価値観の外に、新たな価値観をつくることは文化をつくること」。

そんな課題解決のために「デザイン経営」が注目されるといいます。

さよなら、KPI思考。デザイン集団はイノベーションをこう生み出す | Business Insider Japan

デザイナーとは本来、物をつくることが好きで、それをせずにはいられなかった人たち。頭だけでなく、手を動かしながら物事を考えて、そこに意味を見出したり、つくり上げたりすることができる人々です。(出所:Business Insider Japan)

 KPI的な思考ではなく、クラフト的な能力や思考を取り入れていくことが、真のデザイン経営につながっていくといいます。

 デザイナーは思考を『物質化』するといいます。商品というカタチにするだけではなく、文章やダイアグラム、スケッチやモックアップなど、何らかの認知可能な形にするそうです。それによって「目指すべき像が明確になり、議論をドライブしていくことができるようになる」といいます。

 こうした考えをもとに、目の前のKPI達成とは別の視点で思考と試行を繰り返してこそ「望ましい未来」が実現できるといいます。

 生成AI「ChatGPT」と同様、人間の脳も無限可能性を秘めているのかもしれません。

 

 

組織の壁を超えるバーチャルオフィス

 伊藤忠商事が「バーチャルオフィス」という新たな取組みを4月から始めるといいます。

 組織の壁を越えて社員がオンライン上でチームを組成し、組織横断的な案件を推進を可能とするようにするそうです。担当業務とは別に1日最大1時間、週5時間までを協業案件に充てられるようにする

組織横断協業プラットフォーム「バーチャルオフィス」の導入について|プレスリリース|伊藤忠商事株式会社

「バーチャルオフィス」では、自らが高い関心・熱意を持つ案件に、本業以外の細切れの時間を利用して希望する社員のみが携わることが出来ることになるといいます。

 組織の縦割りは、組織間の人員やリソースの効率的な共有を阻害し、ときにサイロ化を生み出すといわれます。こうした弊害を乗り越え、組織を越えたアイデアやリソースを共有するのが「バーチャルオフィス」といいます。

 先に実施したトライアルでは、参加者の91%の社員が働きがいを感じ、「バーチャルオフィス」を通じた自身の成長や人脈の広がり等に満足していたそうです。本業以外の細切れ時間を活用しても、本業への支障もなく、また多残業といった問題にも繋がらなかったといいます。生産性向上の良い事例なのかもしれませんし、こうしたことから企業文化が醸成されていくのかもしれません。

まとめ

 ツールであるはずの生成AI「ChatGPT」が注目され、ツールがひとりでに問題を解いていくれるような錯覚に陥ります。しかし、それに頼らなくて人間には問題を解く力が十分にあるようにも思えます。

 ツールはツールとして使うべきであり、悪用したり、間違った使い方をすれば、それが新たな問題を引き起こしてしまうのかもしれません。その使用を制限したり、それを適切に使用する能力は人間にあるということを忘れてはならないのでしょう。

 

「参考文書」

「FOREVER 21」がついに日本再上陸!2月21日(火)9時より公式WEBストア .stにて販売開始|株式会社アダストリアのプレスリリース

 

【利便性と想像力】生成AI「ChatGPT」の熱狂と使用制限、静観を続けるアップル

 

 生成AI「ChatGPT」が話題になり、マイクロソフトもこの技術を使ってチャット検索「新しいBing(ビング)」をリリースし、スマホ版も登場したそうです。

 長くグーグルが牛耳っていた検索市場に変化が起きる可能性も指摘されています。

 一方で、問題も指摘され、不適切な発言したり、好ましくない態度を取ることもあるようです。

マイクロソフト、AI検索で早くも辛酸 - WSJ

 マイクロソフトは、改善を続けているとしているといいますが、この先、どう改善され、また何か別の問題が生まれるのか気になるところです。

 

 

熱狂に沸く半導体業界

 こうした「ChatGPT」のような「生成AI」の旋風で、半導体メーカーも熱狂に沸いているそうです。

 大量の演算能力が必要となり、半導体業界にとっては新たな成長につながると期待しているようです。

生成AIに沸く半導体業界、未来のドル箱狙う | The Wall Street Journal発 | ダイヤモンド・オンライン

 記事によれば、米半導体大手エヌビディアのCEOは、「AI技術が転換点に達した」との認識を表明し、「生成AIの多才さと優れた能力を目の当たりにし、世界の企業がAI戦略の策定・実行が急務だと考えるようになった」と述べたそうです。

 

 

 将棋の世界では5冠の藤井聡太さんはAI将棋ソフトを相手に指し手の練習し、実力を伸ばしています。藤井さんが使うPCには、半導体メーカ「AMD」が提供した100万円もする高価で高性能な半導体が使われているといいます。

 ハードウェアの進化がAIの進歩を生み出し、また、それを利用する人間が想像力を強化していくということなのでしょうか。

使用制限

 一方、「ChatGPT」の使用を制限する動きも広がっているといいます。

 米アマゾンは、機密情報を共有しないよう従業員に警告し、また米国の大学のいくつかでは、教室での「ChatGPT」の使用を禁止しているといいます。試験や課題での不正行為をより容易にする可能性があると懸念を示しているそうです。

 こうした動きに追従するかのように金融機関においては、JPモルガン・チェースが「ChatGPT」の使用を制限したといいます。

JPモルガン・チェースも従業員によるChatGPTの利用を制限 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

チャットボットの利用者は、規制文書や決算報告書の要約など、多くの利用例を実証しているが、その正確性には懸念が残る。(出所:Forbes)

 利便性の追求にも制限が加わるのもどうかと思いますが、行き過ぎればモラルの崩壊も招きかねず、また、本来創造性を育まなければならないところで、意図も簡単にそれらしい答えが用意されるべきではないのでしょう。

 想像し思考して創造することは元来楽しいはずなのに、それが利便性によって奪われてしまったなら、進歩が停滞する危惧があるのかもしれません。

アップルの動きは

 アップルが今の動きを静観しているようだといいます。

アップルが「AIチャットボット戦争」を静観している理由 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

 アップルが同様なAIを開発していないことはないとの見方がもっぱらのようですが、アップルは、それを、いつ、どのようなかたちでデビューさせるか、慎重に検討が重ねているようだと記事はいいます。

 こうした騒ぎが起こることを想定して慎重に思考して、想像力を使って戦略を練っているのでしょうか。

 

「参考文書」

スマホ向け「BingチャットAI」でグーグルを猛追するマイクロソフト。責任者が「大きなチャンス」だと語ったワケ | Business Insider Japan

 

【高まる賃上げ機運】トヨタは即決満額回答、値上げして賃上げしても絶好調なユニクロ

 

 トヨタ自動車が、労働組合の賃上げやボーナスの要求に満額回答したといいます。満額回答は3年連続で、早期に賃金が決着するのは2年連続といいます。

トヨタ、3年連続で満額回答 賃上げ早期決着、最高水準 | 共同通信

 ホンダも同様な動きを見せています。日本経済を牽引する自動車産業におけるこうした動きが雇用者全体の処遇改善を後押ししていく波及効果に期待がかかるといいます。

 

 

価格を見直すとき

 一方、多くの中小企業が属する日本商工会議所の石田専務理事が「物価の高騰や人手不足の深刻化などを踏まえると賃上げは避けられない」と述べ、賃上げができない企業は徐々に存続が困難になってくるとの見方を示したといいます。

賃上げできない企業は存続難しい、人材確保できない状況に-日商幹部 - Bloomberg

賃上げをしなければ人材を確保できない状況になりつつあり、その原資を確保するために中小企業は「この機会にむしろ勇気を持って」価格転嫁に取り組んでほしい。(出所:ブルームバーグ

 公正取引委員会中小企業庁が、中小企業の価格転嫁に後ろ向きな企業名を公表し、公こうした取り組みは「企業に対するメッセージ」になっているとし、価格転嫁の推進には「経営者のモラル」に働きかけることが必要と石田氏が語ったといいます。

要求は受け入れざるを得ないもの

 かつて調達部門で仕事をしていたときは、原材料価格が高騰するたび、素材メーカから「価格改定」いわゆる値上げの通知を受け対応に苦慮したものです。その強きの姿勢に抵抗を試みるものの最終的には受け入れざるを得ませんでした。

 その素材を使って部品を作る取引先と価格交渉する担当者には値上げはやむなしだろうとする一方で、値上げ幅の最小化に努めるように指示したりしました。

 こうした素材の値上げ攻勢に対抗するには、素材の使用量を減らすための軽量化や素材のダウングレード、価格競争力のある素材メーカへの切替など凌いだものです。また、加工費を圧縮できるような生産技術を探索したりものです。そうした創意工夫で商品の販売価格への転嫁は極力さけていました。

 

 

賃上げと価格転嫁の関係性

インフレ率を上回る賃上げを実現するには、売上見通しや財務内容、収益力など、様々な数値の分析と経営判断が必要で、多くの企業が高いハードルをどう乗り越えるか注目される。(出所:東京商工リサーチ

 東京商工リサーチによると、中小企業における「価格転嫁率」と「賃上げ率」の相関関係をみると、強い正の相関を示し傾向があるといいます。

価格転嫁と賃上げの相関、中小企業ほど鮮明に : 東京商工リサーチ

 価格転嫁が進むから賃上げができているのか、それとも先に賃上げして、それを誘因にして価格交渉を力強く行った成果かは不明ですが、参考にしてもよさそうです。理由がはっきりしていれば、価格改定に応じる取引先もあるということなのでしょう。

値上げし賃上げしても黒字を続けるユニクロ

ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが北米で悲願だった黒字化を達成したそうです。

「ユニクロって何?」、柳井氏が北米のてこ入れ託す44歳生え抜き幹部 - Bloomberg

 記事によれば、ユニクロはコロナ禍で競合の小売り大手がコスト削減や値引き販売を実施する中、他社と一線を画してマーケティング費用を削減せずに、正規価格で売ることに力を入れていたそうです。また、これと並行して既存店の賃料の値下げ交渉などにも取り組み、販管費を圧縮し、粗利益率を改善したそうです。

賃上げなどによる人件費の上昇について「コスト的にはインパクトはある」としたものの、発想を変えればそれが「長期雇用につながり、当然一人一人の生産性も上がる」ことになる。(出所:ブルームバーグ

 

 

 外部環境に惑わされることなく、粛々と健全にビジネスを続けていれば、無理なく価格転嫁も賃上げも行うことができるということなのかもしれません。

 これまでの風潮はいったい何だっただろうかとも感じます。

 

【持続可能な社会へ】自身の購買データからCO2排出量を知るクレカ、ゴルフ場にも太陽光発電設備

 

 クレディセゾンが昨年6月、新たなクレジットカード『SAISON CARD Digital for becoz』の発行を始め、8月から決済データをもとに個人のCO2排出量を可視化するサービスを始めました。

カーボンニュートラルな生活をサポートするクレジットカード『SAISON CARD Digital for becoz』、決済データのCO2排出量の可視化が8月18日よりスタート!|株式会社クレディセゾンのプレスリリース

カードの最大の特徴はもちろん、アプリから自分のCO2排出量を分かるようにしたことだ。(出所: ITmedia ビジネスオンライン)

(資料:クレディセゾン

 このクレディセゾンの新しいクレジットカードは、DATAFLUCT社 が提供する『becoz wallet』と連携することで、カードの決済データから詳細なCO2 排出量を算定することができるそうです。

 また、自分の生活による CO2 の排出量を知り、削減しきれない分の排出は、日本の森林保全・省エネルギー再生可能エネルギーの「J-クレジット」 から選んでオフセットもできるそうです。

 

 

潜在顧客400万人、届かない思い

 事前調査では、400万人の潜在顧客がいるとの推計があったそうですが、当面の入会者数目標は1万人と低めに設定しているそうです。

買い物のCO2排出量が見えるクレジットカード、日本で浸透するのか?:潜在顧客は400万人に(1/3 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン

 実際、このカードは若年層から支持されているそうですが、その若年層にあっても、環境意識の高い人たちと無関心層に分れ、二極しているそうです。

「突飛な仕掛けで、日本人に響くのか」と記事は指摘します。

(画像:クレディセゾン

 ただ、カードを使ってみれば、自身の行動がいかに地球温暖化につながっているかを実感できるようで購買行動の変化を促す可能性があることを、記事はカード利用者の経験を交え伝えています。

 

 

エコ経済圏

「あまり儲け主義に走り過ぎても、この事業はうまくいきません」とクレディセゾンの財務経理部長 田中氏が述べています。

成功のカギは、いかに「エコ経済圏」を広げられるか、人々の環境意識を高められるかにかかっています。サステナビリティに対する認知向上と行動は、地道な活動の連続です。(出所: ITmedia ビジネスオンライン)

 こうしたサービスを利用することで、ライフスタイルを見直すきっかけになればとの思いがクレディセゾンにはあるようです。

 折角の活動も普及しなければ、その理念は実現しません。

「今後もイベントや店頭での対面による入会案内のほか、マスメディアの力もお借りして、地道な啓蒙活動に努めていきます」と田中氏は語っているようですが、それで十分なのでしょうか。

 理念を普及させるために、もっとマーケティングを積極活用しても良さそうな気がします。「何を伝えれば刺さるのか」、また、もっとわかりやすいようにサービスをアップデートさせる必要があるのかもしれません。

 

 

ゴルフ場でも太陽光発電

 自然環境の中にあるゴルフ場。その駐車場に太陽光発電設備を搭載したカーポートを設置し、自家消費するゴルフ場があるといいます。

駐車場に太陽光パネル!? "脱炭素化"の第一歩に踏み切ったゴルフ場 - みんなのゴルフダイジェスト

かつてゴルフ場の存在は環境破壊といわれましたが、今は自然を生かした環境保全。それにゴルフ場をつぶして太陽光発電をするのでなく、ゴルフ場の広さを活用してというのだからとても良いことです。(出所:みんなのゴルフダイジェスト)

 太陽光発電設備を備えた屋根がつくことで、雨や直射日光を遮ることになり、利用者にとっても利便性が向上し、また、災害時はこうした設備が携帯電話などの充電用電源として活用でき、実際、ソーラーポートを設置したスパ&ゴルフリゾート久慈は茨城県から災害時における支援協力施設として認定されているそうです。

 このゴルフ場運営会社は、同じグループのゴルフ場にもソーラーポートを設置するようになり、発電容量もパワーアップしているといいます。

 

 

 ゴルフ場も地域に貢献するようになっているようです。時が経てば、その役割も変化するのでしょう。

 クレディセゾンが進めようとする「エコ経済圏」の一部となって機能できるようになれば、おもしろそうな気がします。

成田空港に大規模太陽光発電設備導入へ、進む脱炭素化、その先に何が求められるのか

 

 成田空港、長く日本の空の玄関口と機能してきました。開港から40年が経過し、エネルギー供給施設なども老朽化し、その更新が課題になっているといいます。

 また「脱炭素」、環境負荷の軽減も避けることのできない課題になっています。

 そうした中、空港を運営するNAA 成田国際空港株式会社と東京ガスが共同出資し、新会社「Green Energy Frontier」を設立し、空港では世界最大規模となる180MWの太陽光発電設備を導入するそうです。

(画像:東京ガス

 設立される新会社では、既存のプラントのマネジメントを高度化し、太陽光発電に加え大型の蓄電池を導入するほか、火力発電所などで排出されるCO2を再利用して作る「メタンガス」を燃料にした発電設備を設置する計画といいます。

東京ガス : 「株式会社Green Energy Frontier」の設立・事業開始について

 2050年までに1000億円規模の投資を行い、環境性とレジリエンスを両立した「空港の脱炭素モデル」を世界に先駆けて構築するといいます。

 

 

 昨今、様々な企業が取り組む脱炭素の象徴的なプロジェクトのようにも感じます。

 このまま、このような活動が、国が目標とする2050年まで続くのなら、そのとき、どんな社会になっているのだろうか想像してしまいます。

2050年の姿

「バックキャスティング」、それとも「SF思考」なのか、「2050年、未来の社会」を日経ビジネスが描いています。もちろんフィクションではあるのですが....

「私のような2030年代生まれは、地球環境改善フェーズを生きる「β世代」と呼ばれ、自然エネルギーに携わる職種が人気になっている」ということからストーリが展開していきます。

CO2の有効活用で“地球環境再生時代”に入った2050年:日経ビジネス電子版

.....ビル群も30年前のコンクリートジャングルから一変して緑化が進み、コンクリートもCO2を吸収する。「まさにジャングルのように地球の空気バランスを守る街になった。そして僕たちはそんなジャングルをつくり支えている」

(略)......数世紀ぶりの人と地球の共生時代の復活だ、ともいわれている。私はスカイタクシーから眺めるこの街がますます好きになった。

 街の一つひとつが今の、そしてこれからの自然環境を守るために今日も働いている。(出所:日経ビジネス

 

 

 今の脱炭素活動が継続し拡大、さらに新技術が開発されていくのなら、こんな未来があるのかもしれません。

 現実に成田空港で、カーボンリサイクル技術が導入しようとする動きがあるのだから。

健全な社会、持続可能な社会へ

 こうした未来を創っていくためにも、例えば「ESG」の「S:社会」と「G:統治」がもっと強化していかねばならないのでしょうか。「E:環境」が定着してきているのなら、なおさらそうあるべきではないでしょうか。

「E」と「S」が両輪となって、「G」でコントロールされていけば、健全な社会となり、持続可能な社会もまた実現していくのかもしれません。

 パーパス経営がさかんに語れ、その必要性が説かれています。パーパスやミッションを明確化することで人材も育成され、組織のパフォーマンスも向上していくといいます。

「人が育つ組織とは」―人事院総裁が語る | Human Capital Online(ヒューマンキャピタル・オンライン)

 さらに、組織のトップが「ウェルビーイング(精神的・社会的、あるいは肉体的に満足がいく状態)」と「エンゲージメント」にコミットし、「働く人々、一人ひとりのウェルビーイングが確保されれば、一生懸命に頑張りたいという気持ちにもつながっていく」といいます。

「パーパス」、共有する価値観の下、権限は現場チームや部下に委譲されるようになり、自律性や内発性が重視される組織となれば、その組織は自然に成長できるようになるそうです。

 こうした取り組みで健全な組織の増殖が続けば、2050年の未来を確かなものにするイノベーション創発していくようになるのかもしれません。

 

進み始めた非化石への転換、課題を克服して持続可能な社会へ

 エネルギー価格の高騰が続き、政府は原発の新増設を推進しようとしています。 

 そんな中、日本でも大規模な洋上風力発電が稼働し始めているといいます。

(写真:丸紅)

 秋田沖の洋上風力発電所能代港に続き、秋田港でも1月末から商用運転を始めたそうです。発電容量は合計約14万キロワット、約13万世帯の一般家庭の電力をまかなえるといいます。

国内洋上風力、ようやく始動 コスト減へ人材や規制の壁 - 日本経済新聞

 現状1キロワット時の価格は約30円で、世界標準の3倍近い水準になっているといいます。欧州に比べて導入が遅れたことでコストダウンが進んでいないようです。

 国はこの価格を35年までに8〜9円まで下げる目標を掲げているそうです。

 立ち上がったばかりの産業ならでは問題として、専門人材不足に加え、規制にもまだ問題が残っていると記事は指摘しています。喫緊の課題というところでしょうか。

 

 

 この秋田沖の風力発電を主導した総合商社の丸紅は、世界のあちらこちらで「サスティナビリティ」に関する投資を積極的になっているようです。従来の天然資源開発から様変わりしていると感じます。 

加速する人工原油「合成燃料」

 石油元売り大手の出光興産もまた「サスティナビリティ」投資に大きく舵を切っているようです。

 北海道製油所を置く苫小牧では、「人工的な原油」と呼ばれ、既存の自動車や航空機などに使用できる「合成燃料」の実用化を見据えた事業を展開しているといいます。その原料はCO2と水素、水素は再エネを使って水を分解して作られるそうです。

出光、苫小牧で「合成燃料」実用化へ 原油に代わる次世代エネルギー 30年までに供給網構築目指す:北海道新聞デジタル

再エネ由来の合成燃料のガソリンや灯油をつくり、皆さんの生活を支える。2030年までに、小規模でもモデルを確立したい。(出所:北海道新聞デジタル)

 記事によれば、新千歳空港や大規模工業地帯など、需要と供給が見込める施設が立地する好条件を生かし、2030年までに製造や流通の供給網を構築したい考えといいます。また、一部既存設備も活用ができ、また専門職の人材も活かせる利点があるそうです。

 大規模化を進め低廉化を図り、既存の化石燃料にも負けない新たなエネルギー源に育てるべきものなのでしょう。また脱炭素化が経済安全保障にも役立ち、またエネルギー価格の安定化に貢献することを証明して欲しいものです。

 

 

バイオマス素材

 出光興産はバイオマス原料にも力を入れているようです。J-オイルミルズと共同で、サーキュラーエコノミーの実現に向け、バイオマス事業の構築に関する検討を行うといいます。また、東レとはバイオマスナフサを原料としたプラスチックスサプライチェーンを構築するといいます。

バイオマスナフサ」は、従来の石油由来のナフサと異なり、植物由来の原料から製造されます。「ナフサ」は、原油から得られる最も軽質の液体で、粗製ガソリンとも呼ばれるものです。ガソリンの原料になったり、化学繊維やプラスチックスの原料にもなります。

出光興産と東レ、国内初となるバイオマスABS樹脂のサプライチェーンを構築 | ニュースリリース | 出光興産

 スチレンモノマー(SM)も生産する出光興産が、マスバランス方式でバイオマスSMを製造し、プラスチックスメーカーである東レが、これを原料にして、バイオマスABS樹脂を製造するそうです。製造開始は2023年10月の予定で、日本国内でのバイオマスABS樹脂製造は初めてとなるといいます。ABSは家電などに多く使われているプラスチックスです。

 

 

持続可能な社会の実現に後ろ向きだったように見えていましたが、前に向きになってきたのでしょうか。過去に回帰することなく、また惑わすような異論に流されず、前に進めていくことができるのなら、社会の雰囲気また変わっていくのではないでしょうか。

 

「参考文書」

秋田県秋田港及び能代港における洋上風力発電プロジェクトの全面商業運転開始について

出光興産、北海道電力、JAPEXの3社が北海道・苫小牧エリアにおけるCCUS実施に向けた共同検討を開始 | ニュースリリース | 出光興産

出光興産とJ-オイルミルズによるバイオマス事業構築に関する共同検討について ~「油(あぶら)」を接点とした共創により、サーキュラーエコノミーを実現~ | ニュースリリース | 出光興産

 

【深刻な人手不足】苦境の観光業界で進み始めた業務の効率化、DXに生産性の向上

 

 急激に需要が回復している観光業界で、人手不足が顕著になっているそうです。

 求人しても集まらず既存の従業員で現場を回わざるをえず、人手が足らず、施設の半分が休業させる宿泊施設もあるといいます。

ホテルや旅館が人手不足でパンク状態 長引いたコロナ解雇の落とし穴 - 産経ニュース

「需要が回復しても機会損失で業績が上向かない宿泊施設は多い」。

 記事は宿泊施設における様々な取り組みを紹介しています。

 

 

生産性向上に取り組む星野リゾート

 星野リゾートは、限られた人手で「生産性」を最大限に高めることを追求しているといいます。

宿泊客用のパジャマのたたみ方からレストランの皿一つまで細かなことも現場の声で改善。そうすることで少人数で回せたり、迅速な対応ができるようになったりしたことも多い。(出所:産経新聞

 記事によれば、社員がアイデアを持ち寄ったり、気づきがあれば、その場で議論を始めることもあるそうです。サービスの質が向上し、売上の拡大に寄与、限られた人員で回すことができれば生産性は向上します。

「三人寄れば文殊の知恵」、みなが協力することから「チエ」が生まれます。それを文書化、ルール化することで、属人的だった「チエ」がみなの財産になります。未経験の人でもそれを使うことで、経験者と同じような仕事が短期間にできるようになっていきます。

技能実習

 海外からの技能実習生を受け入れ、フロントやレストランのスタッフとして活用したいと考えるホテルもあるといいます。

円安の進行により賃金が目減り、日本で働く魅力が下がっている」ため、優秀な外国人材を獲得するには賃上げや労働環境の改善が欠かせない。(出所:産経新聞

 あれこれと手を打たなければ、人手は確保できず、人手がなければ宿泊施設としては機能せず、業績に影響してしまいます。人手確保のために、労働環境が改善され、また確かな賃上げにつながっていけばいいのでしょう。

 

 

DX デジタルトランスフォーメーション

 宿泊施設における業務効率の向上のため、JTBが新たなデジタルツールを開発したといいます。

ホテル・旅館など宿泊事業者の生産性向上に向けたデジタル化を支援 宿泊業界初 「JTBデータコネクトHUB」11月30日よりサービス提供を開始|株式会社JTBのプレスリリース

 チェックアウト精算時のフロント人員の削減に役立つといいます。

(資料:㈱JTB

  宿泊施設の基幹システムと、自動チェックインや自動精算機などを「JTBデータコネクトHUB(ハブ)」で連携させることができるようになるといいます。

 これにより宿泊事業者の生産性の向上やコスト負担低減に加え、宿泊客の利便性向上といったデジタル体験価値の向上につながるシステムといいます。

(資料:㈱JTB

ネガティブスパイラルからポジティブループへ

 コロナ渦、記録的な円安、国際情勢の変化に伴うエネルギー価格や原材料価格の高騰に人手不足など様々な災厄が襲いかかってきています。

 しかし、困れば「チエ」が浮かぶということなのでしょうか。

 これまでがぬるま湯につかっていたようなもので、労せず商売ができていたのかもしれません。今がある意味、正常なのかもしれません。

 

 

 少しばかりの労苦があると仕事にもちょっぴり緊張感が走り、そこから様々な改善が生まれ、それが労働環境をより良いものに変えていくのでしょう。また、そうすることで業績も改善し、またそれが次の賃上げにつながっていくのかもしれません。

 ネガティブスパイラルを脱し、ポジティブループの始まりです。

 こうしたことの中から、イノベーションもまた萌芽するのかもしれません。