Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

富士の麓に未来のサステナブルな街が生まれる 「If you build it, they will come」トヨタが創るスマートシティ

 

 世界最大のデジタル技術見本市「CES」を前に、トヨタ豊田章男社長がスピーチした。驚きのその内容に鳥肌がたった。ここまでやるかと。

 富士の麓 裾野市トヨタの工場跡地に、スマートシティ「Woven City(ウーブン・シティ)」という未来の街を建設するという。

  この新しい街は、自動運転やMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)、ロボット、スマートホームコネクティッド技術、人工知能などの最新のテクノロジーを使ったサービスの実証の場になるという。

 デンマークの建築家 ビャルケ・インゲルス氏が未来の街づくりを担当する。豊田社長は、「ゼロから街を作り上げることは、たとえ今回のような小さな規模であったとしても、街のインフラの根幹となるデジタルオペレーティングシステムも含めた将来技術の開発に向けて、非常にユニークな機会」と語った。

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Woven City構想

 「リアルな人々のつながりがイノベーションを萌芽させる」

 その実現のために、テクノロジーがあって、未来の街「Woven City」が創られていく。人々の暮らしがそこにあり、人々が支え合う日常がある。それがWoven City構想でなかろうか。

小さな街をつなぐ道

・街を通る道を3つに分類し、それらの道が網の目のように織り込まれた街を作ります。
- スピードが速い車両専用の道として、「e-Palette」など、完全自動運転かつゼロエミッションのモビリティのみが走行する道
- 歩行者とスピードが遅いパーソナルモビリティが共存するプロムナードのような道
- 歩行者専用の公園内歩道のような道

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脱炭素 サステナブルを体現する街

・街の建物は主にカーボンニュートラルな木材で作り、屋根には太陽光発電パネルを設置するなど、環境との調和やサステイナビリティを前提とした街作りを行います。
・暮らしを支える燃料電池発電も含めて、この街のインフラはすべて地下に設置します。

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暮らしに寄り添うスマートホーム

・住民は、室内用ロボットなどの新技術を検証するほか、センサーのデータを活用するAIにより、健康状態をチェックしたり、日々の暮らしに役立てたりするなど、生活の質を向上させることができます。

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MaaSと人々のつながり

・e-Paletteは人の輸送やモノの配達に加えて、移動用店舗としても使われるなど、街の様々な場所で活躍します。
・街の中心や各ブロックには、人々の集いの場として様々な公園・広場を作り、住民同士もつながり合うことでコミュニティが形成されることも目指しています。(出所:トヨタ ニュースリリース)  

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 Woven Cityの住宅では、冷蔵庫を自動で補充したり、ゴミを捨てたりと、今まで語られてきた技術を最大限活用、実証するという。

 SNSやECなどデジタルテクノロジーが発達した結果、リアルな世界で人とのつながりが希薄になった。Woven Cityでは、人々の交流を取り戻す様々な方法を模索するという。

「結局のところ、人々のつながりは、充実感・幸福感や生産性、イノベーションにつながっていくののだと考えています」とビャルケ・インゲルス氏は語る。

そして、何より、美しい富士山を眺めながら暮らせるということが最大の目玉なのかもしれない。 

 


Woven Cityイメージビデオ

 

オリパラ会場も、Woven Cityの実証の場に

 今年夏、オリパラ東京2020大会が開催される。オリパラに訪れる来場者、関係者の移動を、トヨタは「Mobility For All」で、サポートするという。

「 従来のモビリティの概念を超えた、様々なモビリティソリューションの提供を通じて、今までオリンピック・パラリンピックを体験できなかった方々も含めた「すべての人に移動の自由を」提供する」、それが「Mobility For All」だ。

 


東京2020オリンピック・パラリンピックを多様なモビリティでサポート

 

 

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  そして、もうひとつ大きな野心をトヨタは掲げる。

「これまでの大会で最高レベルとなる環境負荷低減を目指します」

 

 燃料電池車(FCV)「MIRAI」や「プリウスPHV」、ハイブリッド車などに加え、東京2020専用車である「APM」や東京2020専用仕様の「e-Palette」、「TOYOTA Concept-愛i」といったEVなど、電動車を中心に約3,700台を提供します。(出所:トヨタ ニュースリリース

 

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 競技会場や選手村、国際メディアセンターなどの拠点間移動に使用される車両約2,700台で、同等のガソリン車・ディーゼル車を使用した場合と比し、CO2排出量を約5割削減できるという。

  こうしたモビリティたちは、富士の麓の未来の街でも使われる。

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global.toyota

 

まとめ

 政府が提唱した「Society5.0」超スマート社会という概念をトヨタ1社で実証する場を提供しようとも受け取れる今回の「Woven City構想」。ここまでやるとはまったく想像できなかった。大言壮語を口にしながら、着実に実行するのは、イーロン・マスクジェフ・ベゾスぐらいかと思っていた。

 

 国連で採択されたSDGsは「誰一人取り残さない」世界の実現を目指す。テクノロジーもまたそうした社会のために活用されて始めて価値をもつ。トヨタが目指す「Woven City」が、そうした社会、持続可能な社会への最初の一歩となるのかもしれない。

 どの程度の投資規模になるかの発表はないが、来年2021年から2段階的に着工する計画だという。網の目のように道が織り込まれ合う街の姿から、トヨタは「Woven City」と名付けたそうだ。建設が始まる初期は、トヨタの従業員やプロジェクトの関係者など、2000名程度が住民となって暮らすことを想定しているという。

 

豊田社長は、スピーチでこんなことを語っていた。

このプロジェクトは、もしかしたら、私の「フィールド・オブ・ドリームス」(1989年に公開された米国映画)かもしれません。

「それを作れば、彼らが来る」[If you build it, they will come]

ゼロから街全体を作りあげる機会というのは、例えこのように非常に小さな規模であったとしても、多くの点で千載一遇のチャンスなのです。(出所:トヨタ ニュースリリース

 

まずは2000名から始め、段階的に増やしていくという。こんなサステナブルな街に暮らしてみたいと感じる。

 

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www.woven-city.global

 

「関連文書」

business.nikkei.com

 

 

 

「参考文書」

global.toyota

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