食料品価格が値上げされると聞くと気になる。その理由が異常気象の影響と聞けば、なおさらだ。食糧危機といわれている。遠い世界での出来事と思えば、それを身近に感じることはあまりない。ただ、この先、異常気象が常態化すれば、どうなるのだろうかと考えてしまう。食料品価格が値上げに次ぐ値上げとなり、驚くほどに高騰すれば、手にできる食品の種類が減ったりするのだろうか。ついそんなことを考えてしまう。
気候危機といわれるようになって、農業にさらに関心を持つようになった。オーガニック 有機農法の興味をもって、家庭菜園で取り入れたいと思ったが、うまくいかなかった。農薬を止めれば、虫に食われて醜い野菜になるし、肥料を与えない大きく実らない。手っ取り早いのは化学肥料だった。
農薬や化学肥料も化石燃料を原料とする。それらを多量に使えば、脱炭素から遠退く。父親が遺した家庭菜園だったが、契約を更新をせず手放してしまった。その代わりに実家の庭で少しだけ数種類の野菜を育ててみる。こちらは無農薬・無化学肥料。ほったらかしでも育つ野菜。成長のスピードを気にしなければいいのかもしれない。
カーボンニュートラルの達成が目標となり、農業政策にも変化が起きているようだ。新しい戦略では、農地面積に占める「有機農業」の割合を、18年度の0.5%から2050年までには25%まで拡大させるという。
手間のかかる農法だけに、価格高騰を招くかもしれないが、高付加価値が農家のインセンティブになればいいのかもしれない。それに加え、農薬や化学肥料の使用が減り脱炭素に貢献もできる。
従来からの施策のスマート農業も重点項目に上がる。単なる効率化の追求ではなく、農薬の使用減につなげたり、化学肥料を減らすなど目的が明確になれば、導入がスムーズになっていくのかもしれない。
農薬や化学肥料の削減目標も設定されている。それに貢献もできるはずだ。
パタゴニアは「ジェネラティブ・オーガニック農法」を取り組み、食品事業を行なう。その「ジェネラティブ・オーガニック農法」は環境再生型農業といわれる。
できるだけ耕すことなく、被覆作物や堆肥、輪作や牧草と放牧を基本とした飼育を行うことで、土壌を健全な状態に再生しながら、大きな作物を生み出します。
土壌が回復すれば水も少なくて済むし、干ばつなどの気象の変化にも耐性ができる。収穫量が落ちにくく、たいがいは低コストになります。また、健全な土壌では光合成を通して、より多くの炭素を土壌が吸収、固定してくれることが判明してきました。
このような健全な土壌を再生する農業への転換により人間が毎年放出しているくらいの炭素を土の中に隔離することができるとも言われています。 (出所:WWD Japan)
農林水産省も農地や森林、海洋への炭素の大量貯蔵に興味を示す。パタゴニアのような先進事例を取り入れることを考えてもよさそうだ。農地への土壌炭素貯留ができれば、それによって、クレジット販売ができたり、ソーラーシェアリングなどを活用、売電すれば、安定的な収入源を作っていくことできそうだ。そうしたことで、農業に関心を持つ人が増え、次の担い手がつながればいいのかもしれない。
緊急事態宣言の延長期間に入り、一部要請が緩和された。東京都では、映画館の休業要請が緩和され、上映が再開されたという。
NHKによれば、新作映画の舞台あいさつで、吉永小百合さんが「スクリーンから飛まつは飛びませんし、観客どうしが会話することも少なくなっています。なんとかして映画館で見てもらいたいと思い続けていました。東京でもオープンしたことをうれしく思います」と喜びを語ったそうだ。
「一日も早く状況がよくなるように努力して、映画の中のように早くみんなが抱き合ったり握手できたりするように祈っています」とも話されたという。
不平不満を口にせず、再開のよろこびを伝え、もう少し頑張りましょうとの言葉に新鮮さと説得力を感じる。
また、映画業界の団体は、行政や映画ファンに感謝を伝える声明を発表し、「今後は『大切なお客様に一人の感染も出さない』ことを心掛け、従前以上に感染防止に注力していく所存です」と決意も表明したという。
娯楽や文化は生活に欠かすことはできない。
様々な難題も、こうしたポジティブな言葉と対応があれば、解決に向かうのかもしれない。ただ非難を繰り返していては何も解決しないのだろう。