エネルギー価格が高騰し、それにつられるようにして様々な商品が値上がりになる。当然のことなのかもしれませんが、つれなくなります。
色々原因があるのでしょうけれども、「脱炭素」が説かれるようになっているのだから、地産地消の自然エネルギーが増えれば、こうしたことも避けるのではないかと、単純に考えてしまうのですが、どうにもままならないようです。
困難な理由をあげては、何でも海外から輸入すれば、いいのではいつまでたっても何も変わらないのでしょう。政府が推進するアンモニア燃料なるものは、そのよい例に感じてしまいます。
COOL CHOICE
環境省が「COOL CHOICE」をアピールしているようです。
「COOL CHOICE」 地球温暖化対策、省エネ、エコで「賢い選択」
「COOL CHOICE」とは、CO₂などの温室効果ガスの排出量削減のために、脱炭素社会づくりに貢献する「製品への買換え」、「サービスの利用」、「ライフスタイルの選択」など、日々の生活の中で、あらゆる「賢い選択」をしていこうという取組だと、環境省は説明しています。
地産地消・旬産旬消
地域の旬の食材を食べることは、食料の輸送・距離にかかるエネルギー指標である「フード・マイレージ」の減少に大きくつながるといいます。
フード・マイレージとは、「食料の輸送量×輸送距離」で計算され、日本のその計算値は2001年の試算で9,002(億t・km)で、断トツ世界一といいます。
秋冬の味覚に危機?地球温暖化の影響と“地産地消”という選択 - ウェザーニュース
日本の食料自給率(カロリーベース)については、1965年度には70%以上ありましたが、2020年度は37%まで低下しており、これは先進国の中でも最低の水準で、多くの食料を外国からの輸入に頼っていることが分かります。(出所:ウェザーニュース)
輸送距離が延びれば、CO₂の排出も増え、脱炭素に逆行します。
電力の地産地消
電気も同じで、送電する距離が長くなれば、送電ロスが大きくなり、必要な電力を送るにもより多くの電力を送らなければなりません。そればかりでなく、燃料を海外から輸入すれば、その輸送でCO₂が排出され、距離が長くなればなるほど、その量も増えてしまいます。
そうであるなら、地元にある自然エネルギー、太陽の光や風の力を使って発電し、そこで消費する方が無駄なく電力を使うことができるはずです。
自治体ベースの地域電力があれば、いいのかもしれません。
デジタル化は誰のため
モノが値上がりすると、改めて国産のありがたみを感じたりします。電力などエネルギーや食糧はある程度自給率を高めておく必要があるように思います。
環境省はそうした背景あってのことか「地産地消」を推奨していますが、政府の施策にはなかなか反映されないようです。
デジタル化によるスマート農業もいいのかもしれませんが、それで自給率はどれだけ向上することになるのかがよくわかりません。スマート農業の推進は農機具メーカやIT企業にとってはうれしい施策かもしれませんが、それによって新規就農者が増えることにつながるとは思えません。もう少し政策の工夫があってもよさそうです。
ノーベル賞の眞鍋さんからのメッセージ
ノーベル物理学賞に選ばれた気候変動研究の第一人者で、アメリカ・プリンストン大学の真鍋淑郎さんに、米国でノーベル賞のメダルが授与される式典があったそうです。
式典のあと、報道陣の取材で、「日本でも土砂崩れや洪水の頻度が増え、非常に大きな問題になってきているので、これから若い人に気候変動の研究をやってほしい」と話されたといいます。
ノーベル物理学賞のメダル 真鍋淑郎さんに授与 米ワシントン | ノーベル賞2021 | NHKニュース
さらに「若い人に言いたいんだけど、格好のいい研究、格好のいい分野を選ぶことは必ずしも考えないで、本当に自分のやりたい、好奇心を満たすような研究をやってほしい。若い人に自分の得意なことをやれと。
興味があって得意なことをやれば、一生、楽しい人生を過ごせるので、これからぜひ、そういう具合に研究してもらいたい」(出所:NHK)
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政府施策にも、こうしたメッセージ性があるといいのかもしれません。
農業ひとつとってもそうなのかもしれませんが、そこには多くの課題があり、興味をもって携われば、その課題は解決されていきます。それが自給率であったり、フードマイレージの問題だったりするのではないでしょうか。こうした問題において、デジタルで解決できるのは、一部分だけです。
もう少しインセンティブになるような施策があってもよそうな気がします。それによって、安心が担保され、そうなれば、その先に楽しい人生があるのかもしれません。