Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

悪い円安に、値上げラッシュ、サスティナビリティはどこに行ったのか

 

 ロシアに対する追加制裁で、ロシア産石炭の輸入を段階的に削減し最終的に禁止するという。

 NHKによれば、「石炭の輸入禁止」は日本へのエネルギー供給に関わる初めての措置で、政府はできるだけ早く代替策を確保し、段階的に輸入を削減してエネルギー分野でのロシアへの依存度を低減させたい考えという。

ロシア追加制裁 石炭段階的禁輸 政府 代替エネルギー確保課題 | NHK | ウクライナ情勢

 一義的には石炭の代替輸入先を確保し、二義としては再エネの拡大、その次には原発再稼働が選択肢となるのだろうか。対応次第では、電力のさらなる高騰になるのだろう。また冬になると需給逼迫の危機も避け得なくなったりはしないだろうか。

 

 

 ロシアがウクライナに軍事侵攻を始め、はや1ヶ月半の時間が経過する。事態は一向に改善せずに、制裁に次ぐ制裁である。

 ロシアの蛮行を止めるには避け得ないことのなだろうが、科される制裁が増えるたびに、その代償を私たちも引き受けなければならない。首相は記者会見で理解を求めたが、説明不足にも感じる。

 また、この夏の参院選を視野にし経済対策の議論が始まるのだろうか。ウクライナ危機が政争に使われることに何か虚しさを感じてしまう。

都市ガスにも影響はあるのか

 東京ガスの内田社長が読売新聞のインタビューに応じ、ロシアとのプロジェクトである「サハリン2」からのLNG 液化天然ガスの輸入が止まったら、都市ガスの供給支障を起こすと述べたという。

サハリン2調達、継続意向…東京ガス・内田社長「輸入停止なら都市ガス供給に支障」 : 経済 : ニュース : 読売新聞オンライン

日本が輸入するLNGのうち、サハリン2からの調達が約8%を占めている。他国のプロジェクトとすぐに長期契約するのは難しい。需給に応じて売買する「スポット取引」は量が不足しているといい、「(ロシア産の代替で)全部スポットから買おうとしても、物理的に不可能」と断言した。(出所:読売新聞)

f:id:dsupplying:20220228162307j:plain

 電力ばかりでなく、ガスにまで影響がでることは避けなければならない。原発再稼働に向けての外堀が埋まり始めているように感じる。発電の天然ガスや石炭などの脱化石燃料を進めれば、その分を他の用途に回すことは可能になる。

 

 

悪い円安

 一方、日銀は金融緩和策を継続し、円安が定着する。「悪い円安」を指摘する声が日増しに増え、この先の問題を指摘する専門家も増える。

 輸入価格の高騰により物価は上昇するが、日銀が望む需要増に伴う物価高とはならない。このご時勢で日銀が望む結果を得ることができるのだろうか。それでも日銀はそれを言い訳に使って、低金利を維持しようとする。需要は増えずに、ただ円安が進行する。こうした状況が透けて、値上げラッシュが続くのなら、みなの不満は高まるばかりではないだろうか。

日銀が夏にYCC弾力化も、円安進行に国民不満-早川元理事 - Bloomberg

ウクライナ情勢を受けて資源や食料品の価格に一段と上昇圧力が強まる中で、日銀による長期金利抑制策が円安を促し、物価上昇に拍車を掛ける構図になっている。4月以降は携帯電話通信料の値下げの影響がはく落し、消費者物価の前年比上昇率は日銀が目標とする2%前後に高まる見通しだ。政府は物価高に対応する新たな経済対策を4月末までにまとめる。(出所:ブルームバーグ

 

 

 これまでの円安は輸出企業の業績を支え、株高の要因になってきたが、企業努力によらず、日銀頼みを誘発させていたのかもしれない。ただ足元でこうも資源高になれば状況は変わる。

コラム:米引き締め加速と円安、株安連動なら日本売りのサイン | ロイター

日本商工会議所の三村明夫会頭は7日の定例会見で円安傾向に言及し「あまり大きな円安は困る」と述べるとともに「円安でも自動車など輸出をどんどん増やせていない。日本経済は円安メリットを享受できる体制になっていない。海外の原料価格が上がっているからデメリットが増えている。日本経済には円安はデメリットの方が大きい」と指摘していた。この財界首脳の発言は、多くの企業経営者の心理を代弁している可能性がある。(出所:ロイター)

 こうなってくると、これまでの日銀の施策が愚行のように見えてくる。企業をぬるま湯につかるゆでガエルのようにしてしまったのではなかろうか。さすがにこのウクライナ危機と円安によって、目を覚ますのだろう。この逆境は試練かもしれないが、自らの力で抜けださないと、ゆでガエルのように自滅するしかない。

 求められているの「サスティナビリティ」だったのではなかろうか。持続可能な社会の実現の瀬戸際なのだろう。