Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

さえないIT企業の業績、新味なく覇権争いを続けるポイント経済圏

 企業の中間期決算の発表が続いています。期待したいIT企業の成績が振るわないようです。

 楽天グループが2023年1〜9月期連結決算を発表し、中間期としては5年連続の赤字となり、赤字額は2084億円だったといいます。問題の携帯事業は赤字続きで、改善傾向にあるものの、設備投資などが重荷となっているそうです。

楽天グループ最終赤字2084億円 1〜9月、携帯事業の赤字続く - 日本経済新聞

 1兆円にもおよぶ社債の償還が懸念材料といわれています。三木谷社長は強気の姿勢のようですが、赤字決算が長く続くようではキャッシュフローの懸念が深まっていきす。

 

 

 みずほ証券楽天証券に約870億円追加出資するそうです。社債償還の原資確保のため、楽天証券を上場させるといわれてましたが、唐突の路線変更なのでしょうか。この提携強化で差し当たって上場の申請を取り下げるそうです。

みずほ、楽天証券に追加出資を発表 上場申請は取り下げ - 日本経済新聞

 10月に始めた日本株売買手数料の無料化で収益構造の変化は避けられない。(出所:日本経済新聞

 SBI証券に追従する形で、楽天証券日本株の売買手数料を無料にしました。専門家たちは、上場価格に影響するのではないかと憂慮を示していましたが、現実化したということでしょうか。

 どこかの首相のような対処療法では不安を覚えます。長期利益を確固なものとするような戦略とか計画はないのでしょうか。

改悪

 楽天ポイントの改悪も続いているようです。強みが弱みになることはないのでしょうか。苦しい台所事情で保守的にならざるを得ないのは理解できますが、それでは明るい未来が見通せません。狭い国内でポイント経済圏の覇権争いに価値があるのでしょうか。今この時代に適合する企業体質にアップデートできているのかと心配にもなります。

ソフトバンクが物流変革?

 ソフトバンクも赤字決算を発表しました。純損益が1兆4087億円の赤字だったといいます。経営破綻したウィーワークに投資していたビジョンファンド事業が足を引っ張ったようです。ただソフトバンクの投資スタイルが変わってきたようです。

ソフトバンクG孫氏、自律技術への投資で挽回なるか-物流変革目指す - Bloomberg

孫氏は今年、輸送や物流を大きく変える可能性のある自動走行テクノロジーへの一連の投資を行った。(出所:ブルームバーグ

 これまでの失敗を活かしているのでしょうか。自動走行トラックの米スタートアップ、スタックAVに10億ドル超出資をすることで合意、AI 人工知能による倉庫事業に取り組むため、シンボティックとの1億ドルの合弁事業に加わり、また、AIを活用した地図・ナビゲーションのソフトウエアを開発するマップボックスにも出資したそうです。

 

 

 ソフトバンクがAI技術で物流とサプライチェーンを根本的に変えることはあるのでしょうか。LINEヤフーでそれを具現化、社会実装し、あっと驚くような業績改善につながればいいのでしょう。また海外展開も期待したいものです。投資ばかりでなく、自らが物流変革を起こせば、その影響は大きなものになるような気もします。

金利ある世界

 経済同友会の代表幹事を務めるサントリーホールディングスの新浪社長が、日銀が金融政策決定会合でYCC(長短金利操作)の運用を再柔軟化したことについて「YCCそのものをやめていくということのメッセージだと捉えた方がいい」と述べ、「金利のある経済」に向けて官民が準備を進めていく必要があると語ったといいます。

「金利のある経済」に向け官民は準備進める必要=サントリーHD社長 | ロイター

教育などの人材投資も含め、全体的に人件費が上がっていくことは経営にとってプレッシャーとなるが、それをマネージしていくことが経営者のこれからの要諦になる(出所:ロイター)

 持続的に賃上げしていく会社ということを示し、いい人材が集まるようにすべきといいます。また、消費者向けのビジネスを展開する以上は、価値の高いものを、価値の通り買ってもらえる社会を実現しなければならないとも語っています。

「経営力がない企業は退出するしかない....」、金利ない世界というぬるま湯で肝心要の経営力を磨くことを忘れていたのでしょう。意味のある戦略も計画もなく、必要のないことにばかり力を注いでいた結果が今日の苦境ということではないでしょうか。