国で賃上げをさかんに議論されるようになり、税制などについても検討がまたはじまっているようです。それが一助となって、持続的な賃上げが実現できればよいのでしょうが、そう上手く成果がでるのでしょうか。
法人税率引き上げ、自民税調で浮上 投資促進の企業減税の原資に | 毎日新聞
現下の状況を鑑み、企業がとっとと賃上げすればいいのではないかと思いますが、なかなか進まないのが現実のようです。
賃上げについて多くの人が語るようになっています。それだけの関心が高いテーマということなのでしょう。
「新しいことをなにもやっていないのだから当たり前」「イノベーションを進めて、1%でも付加価値を高めていくしかない」と、デービッド・アトキンソン氏といいます。
「従業員は羊」「得してきたのは経営者だけ」、従業員と経営者双方に厳しく注文を付けています。
経営者はイノベーションを推進しようとせず、インフレでも負担を従業員に押し付けてやり繰りしてしまう。そんな会社なのに従業員は会社を辞めない、こういう不条理がまかり通ることが、病巣ではないかといいます。
諸外国のようにもっと従業員が声を上げてもいいのではないかとの意見もあります。
「人事評価制度」があるのだから、これを上手に活用すればよさそうなものですが、そうなかなかうまくできていないのでしょうか。
「テキトーな目標設定」が横行することが問題を生むといいます。適切な目標設定の仕方を知らないのではないかと指摘し、目標設定は「SMARTに」といいます。具体的に、効果測定ができて、達成可能性が高く、それでも部門目標との適合性があり、納期とスケジュールが明確になっている、そんな要素が含めるといいそうです。
入社当時の課長さんが、あれよあれよという間に出世していきました。だいぶ時をおいて再開したときに、「達成できない予算を作るから評価されない」との一言を聞いてはっとしました。ついつい高望みして達成できない計画を作っていたものだと反省したものです。
上司との面談ではお互いが納得できる形で実現可能な計画を作る。その上、期末には目標を上回る結果が出るようにしていくのがいいのかもしれません。いずれにせよデータ分析など事前準備を怠りなく進め、また期中も目標以上の結果が出るよう努めるという意識をもつようにすればいいのではないでしょうか。業績の上振れは会社にとってもプラスですし、それを還元していくれというのは正当な権利のような気もします。
今のままでは日本の未来は決して明るいとは言えないが、アトキンソン氏は意外に楽観的でもある。彼が知る日本には、変化に対して臆病であり、ギリギリまで抵抗を続けるが、ある転換点を超えた瞬間に一夜にしてこれまでのこだわりを捨て、新しいものに飛びつくような国民性があると言う。江戸末期に尊皇攘夷派が一夜にして開国派に転向したり、戦後、昨日まで天皇陛下万歳を声高に叫んでいた天皇主義者が一夜にして我先にと民主主義者に転向してきた歴史をわれわれは身をもって知っている。(出所:VIDEO NEWS)
「ある日突然転向する変わり身の早さ」、それが日本人の特性といいます。それを活かして、手遅れになる前に実行できるかどうかにかかっているとアトキンソン氏はいいます。
「参考文書」
日本が東アジアの貧乏小国に堕ちるのを防ぐための唯一の処方箋はこれだ(デービッド・アトキンソン小西美術工藝社社長) -マル激