Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

資産運用する自分、働く自分、その2つの接合点

 連騰していた日経平均株価が反落したようです。過熱感から反動で利益確定売りが優勢となったといいます。ただ下値は押し目買いも入り、下落幅は限定的だったといいます。月末には製造業を中心に決算発表が始まるので、再び上昇基調になりやすいそうです。また、東京証券取引所が、資本効率を改善するための事業計画を策定した企業のリストを発表し、この改革の進行次第では株価の持続的な上昇につながる可能性もあるといいます。

 外部からの圧力でPBR(株価純資産倍率)の改善が促され、それで株価が上がるのは如何なものなのかと感じます。企業が「愛される企業」にみずから改革できれば、おのずと株価はあがるように思えます。

 

 

「株主かステークホルダーか」という二元論がいまだに存在しているそうです。「愛される企業」が、より優れた財務実績を達成しているにも関わらずといいます。「愛される企業」は、すべてのステークホルダーにとっての価値創造を意識的に行なおうとするそうです。これこそが株主価値を長期的に生み出す最善の方法ではないかといいます。

 数字だけ見て企業を判断する金融アナリストたちは、「投資家の利益を奪う取るに足りない従業員を甘やかして給与を払い過ぎるようになるはけしからん」と考えたりするそうです。

 こうした視点で、 例えば「コストコ」を分析すれば、福利厚生は手厚すぎ、未公開会社のような経営をしている企業となるといいます。そして、公開会社は株主のことを第一に考える必要があると主張するそうです。

コストコの高利益率を生み出す、従業員への「手厚すぎる待遇」:日経ビジネス電子版

コストコは同業他社と比べて給与水準がかなり高く、しかも福利厚生なども充実している。直接競合する企業よりかなり多く支払っていながら、従業員ひとりあたりの売上も利益もかなり大きい。まるで錬金術のようだが、圧倒的な効率のよさと、非常に低い離職率のおかげなのだ。より高い賃金でより満足して働いているから、モチベーションも生産性も高い。さらに、一般的な小売業とくらべて愛社精神も強いため、生産性をさらに高める新たなアイデアを従業員が次々と提案しているにちがいない。(出所:日経ビジネス

 他の愛される企業もコストコ同様に、従業員の給与が高く、投資家をしっかり儲けさせ、顧客とサプライヤーを十分満足させ、また地域コミュニティからも歓迎されることが多く、それが特長になっているといいます。

 

 

 日本の企業も、「二元論」に陥ることなく、コストコのような企業となっていけばいいのでしょう。賃上げが国是となり、また一方で投資が国によって推奨されているのだから。ましてウェルビーイングや人的資本経営、ESG経営、そんな文言も流行りとなっています。

デイトレーダーその他の解約率の高い投機家は考慮に入れていない。一時的な価値を「奪いとる」だけで、長期的な価値創造には投資していないからだ。実際、短期投資というのは矛盾した表現であり、真の投資はすべて長期的なものなのだ。ステークホルダー関係管理の経済エコシステム[生態系]においては、長期的価値を生み出すステークホルダーだけが、長期的な意味をなす。(出所:日経ビジネス

 ちょっと考えさせられる文言です。短期的な利益を求めて資産運用、投資するのか、それとも長期投資で持続的な利益を求めていくのか。資産運用する自分と働く自分を上手に接合できると、思わぬ効用がどちらにおいても出てきそうな気もします。

 

「参考文書」

午前の日経平均は反落、6連騰の反動で利益確定 下値は堅い | ロイター

PBRの改革策開示4割に 企業経営、株価重視へ転換 - 日本経済新聞