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【人への投資】「人を思い、人に寄り添う」から生まれる好循環

 

「新しい資本主義」を政府が提唱し、人材投資を重要視しているといいます。投資家もまたそれが企業価値向上に結び付くかの注目しているそうです。

人材投資に着目したファンドに熱視線 | 日経ESG

 人件費や販売管理費などは利益を押し下げる費用と見なされるのが通常です。しかし、将来の収益につながる投資となる可能性でもあるといいます。投資運用会社の中には、「人材投資が将来の企業価値向上につながる」という経験則を数値で明らかにし、リターンを見いだす試みが進んでいるといいます。

 

 

 野村アセットマネジメントは「野村日本働きやすい企業戦略」を運用し、ファンド設定来の年率リターン(収益率)は11.02%で、東証株価指数TOPIX)の8.63%を2.39ポイント上回っているそうです。世界的な株安局面に入った21年後半でも、超過リターンを稼いでいるといいます。

 記事によれば、銘柄選別にあたっては、独自の「働きやすさスコア」を算出、非財務指標と財務指標の12指標を基にスコア化し、従業員を重要な経営資源と位置付ける企業を選び出しているといいます。

非財務指標は女性管理職比率や平均給与などで、社員の直接的な働きやすさを見る。財務指標は研究開発費や販売管理費などを用い、人材投資の積極性などを評価する。(出所:日経ESG)

「働きやすさという無形資産が投資家から過小評価されている企業は、将来高いリターンが見込める」と、ファンドマネージャーは説明しているといいます。

 

 

「人材投資」、興味あるテーマです。賃上げにも関わり、また自身のスキルアップ、キャリアに影響します。また、経営者にとっても重要な関心事のはずです。人件費は業績に直接影響します。野放図に過大に投資すれば行き詰まり、成長を望むのなら、人への投資失くして実現することはないのでしょう。結局、適正にマネジメントするしかないのでしょう。

 ANAはコロナ禍による人の移動が止まったことで苦境に陥りました。人件費の抑制が喫緊の課題となる中で、これを逆手に取り、働き方改革につながる施策を実行することで危機を乗り越えていったといいます。

賃金カットで年収は2割減…それでもANAの従業員満足度が2年連続で上がったワケ これが本物の「働き方改革」だ | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

 勤務日数や勤務地を自由に選べる客室乗務員向けの制度の他、地方に拠点を持つグループ会社への転籍を通して居住地を選べる制度、最大2年間の理由を問わない無給休暇制度を導入したそうです。

 こうしたこと施策を実行したことで、年収は約3割近く減ったにもかかわらず、「従業員満足度調査」のスコアは改善していったといいます。コロナ禍で離職する人は増加したましたが、客室乗務員の離職率はむしろ低下したそうです。これまでは不規則な勤務体系で、結婚や出産を機に退職する客室乗務員は少なくなく、この新しい柔軟な働き方であれば、好きな仕事を続けられると思ったのだろうと記事は指摘します。

「強いものが生き残るのではなく、変化していくものが生き残る」、これはANAが大切にする考え方といいます。一方、会社が導入した新制度を利用した客室乗務員もまた「変化することへの後押しを会社がしてくれている」と語っているといいます。

「他人を思い、他人に寄り添う」、そうしたことから生まれた好循環ということでしょうか。コロナ渦という大きな環境変化にうまく適合した事例なのでしょう。