Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

激変する地球、傷ついた環境の中、JR九州「ななつ星」が運転再開へ

 

 明日、8月15日に、JR九州の「ななつ星」が運転再開する。新型コロナと豪雨災害の影響を受け、運休が5か月余り続いていたという。

 NHKによれば、「ななつ星」は、3月から新型コロナの感染拡大の影響で運休したのに続き、再開目前の7月初め、九州を襲った豪雨災害のため、熊本県内の肥薩線大分県内の久大本線に甚大な被害が出て運行ルートが寸断され、運休期間の延長を余儀なくされていたという。

 

JR九州は、豪雨災害で被災した路線の代わりに、平成28年熊本地震で大きな被害が出て、今月8日、4年4か月ぶりに全線で通れるようになった豊肥本線をルートに組み込み、15日、「ななつ星」の運行を再開します。

(出所:NHKJR九州「ななつ星」運行再開へ 新型コロナと豪雨災害で運休」)

 

ななつ星」の新型コロナ対策

 運転再開にあたり、定員を従来の30人から16人に変更し、3密対策を行う。

 

「感染を広げてはならないと、強い緊張感を持っています。運休期間中に真剣に考えた対策を、全員が入念に行って、絶対に感染が起きないようにしていきたい」と「ななつ星」クルーの塩島吉博さんの言葉をNHKは紹介する。

 

 NHKによると、定員変更の他、列車に乗り込む際の検温や手指の消毒はもちろんのこと、毎朝、朝食前の検温、乗務員が車内を移動するたびに、通路の手すりなどを消毒するなどの対策を行うという。

 また、客室に配備された空調機器では、計算上、15分に1回空気が入れ代わるという。乗客に対し、客室の空調を切らないようお願いするという。

 

 売上減も覚悟の上で、でき得る感染対策をすべてやる。単純なことではあるが、ウィズコロナにおけるサービスのありようなのかもしれない。

 収益改善は、こうしたビジネス環境のもとで考えるということであろうか。

 

 

 

 今回の運転再開の話を聞いて、コロナや自然災害が、暮らしだけではなく、ビジネスにも深刻に影響するようになっていることを改めて思い起こす。

 

  激変し始めた地球環境ということなのだろうか。

 

 アクセンチュアのレポートに目がとまった。

 10人中9人のユーティリティ企業の幹部が「異常気象が電力ネットワーク事業の財務実行性にリスクをもたらす恐れがある」と考えているという。

 

95% 温室効果ガスの排出による気候変動が異常気象を引き起こしている要因であると信じている」と回答したユーティリティ企業幹部の割合
24% 「異常気象がもたらす課題に対処するために万全な準備ができている」と回答したユーティリティ企業幹部の割合 

(出所: アクセンチュア公式サイト)

 

 アクセンチュアは、ユーティリティ業界において「レジリエンス」の概念が確立されていないという。

 

効果的なレジリエンス戦略は、企業があらゆる破壊的な事象に直面した際にも事業を速やかに立て直し、積極的な投資とメンテナンスを継続するための基盤となります。(出所: アクセンチュア公式サイト)

 

www.accenture.com

 

 言うは易く行うは難し、ということであろうか。

 しかし、このコロナにしろ、激甚化する災害からすれば、それにうまく適応していかなければらないということは間違いなさそうだ。

 発生を抑えていくことも重要ではあるが、その対策効果が出るまでには長い時間がかかってしまう。

 

 

 

 「今年上半期に世界の発電に占める風力・太陽光発電の割合が過去最高の10%に達した」とロイターが伝える。

 

今年上半期における風力・太陽光発電量は前年同期比14%増加。石炭発電は同8.3%減少したが、石炭発電が全体に占める割合は依然33%に達していた。

上半期の電力需要は、新型コロナウイルス感染の拡大抑制を目指したロックダウン(都市封鎖)により前年比3%減少したという。 (出所:ロイター)

 

 「気温上昇を1.5度に抑制するには、今後10年間に石炭発電を毎年13%減少させる必要がある」とロイターは指摘する。

 

jp.reuters.com

 

 それに対し、「今からわずか15年で、夏には北極海の氷がなくなる可能性がある」とCBSニュースは伝える。この予測は、温室効果ガスの排出量が多いシナリオを使っているという。

 

現在までに、地球の表面温度は 約1.2℃上昇しています。地球の温暖化が1800年代の産業革命前の気温より2℃高くなる頃に、北極圏は夏に氷がなくなるということです。 (出所:CBC News)

 

 ロイターの報道ではないが、温室効果ガスの排出が多い石炭火力の減少ペースが遅いという悲観的な現実があるのだから、こうしたシミュレーションになっておかしくはないのかもしれない。

 それにしても、15年後の2035年ということに驚く。

 シロクマやアザラシたちはどうなってしまうのだろうか。

 

www.cbsnews.com

 

 何かと先行きの暗いシミュレーションばかりである。明るい予測には産業界のドラスチックな変化が必要だ。

 

 

 

 小泉環境相朝日新聞とのインタビュー記事が報じられる。 

エネルギー政策の所管は経産省環境省として手足がないところで、(数値目標が)言いっ放しになってもよくない。

環境省は、むしろ需要サイドに働き掛けて世の中を先に変えていく。50年までに二酸化炭素の実質排出ゼロを宣言する自治体(ゼロカーボンシティ)の普及に力を入れるのもそのためだ。

温室効果ガス削減で政府が掲げる目標は、50年までに80%カット。ゼロカーボンシティが増えれば、実態が政府目標を上回る。実際に(8月6日までに)宣言した151自治体の人口の合計は約7115万人で、日本の総人口の半数を超えた。

遠回りなアプローチでやるしかないこともあるが、そのことで初めてひっくり返せるものもある。 (出所:朝日新聞

 

 たとえ大きな問題でも、遠回りに見えても、できることを一つひとつ積み重ねるしかない。時間がかかる作業。どんなことにも特効薬はないということだろう。

 

 

digital.asahi.com

 

「炭素税」にも触れられ、「環境省としては長年実現したいと言ってきたが、30年間議論してできなかったわけで、相当な知恵と最新のファクトの積み上げ、国民の理解を得ることが必要」と小泉環境相は語ったようだ。

 

 どんなことも実現できないことはないはずである。

 理解者と仲間が増えれば、それだけ実現は早まる。

 

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