企業の不祥事が続いています。今度は過大請求事案が次々と明らかになっているようです。広告大手の博報堂が、複数の顧客企業に過大請求していたと発表したそうです。
博報堂が制作費を過大請求 金額、件数は公表せず | 共同通信
「コンプライアンス意識の徹底とそのための対策を進める」とコメントしたそうです。東京オリンピックでの不正に続いての不祥事です。意識の徹底では済まされない事態のように感じます。
北海道では、トヨタ車を販売する札幌トヨペットで過大請求とみられる問題が発覚しています。自社の板金塗装工場で行っていた塗装作業で、高機能塗装の料金で請求していたにもかかわらず、通常仕様の塗装を行っていた事例が多数判明したといいます。
高機能塗装、実は通常仕様 請求と異なる施工1417件―札幌トヨペット:時事ドットコム
その件数は、2021年4月以降で1417件にも上るといいます。信じがたいことです。信用を棄損させることに何の抵抗も感じなくなってしまったのでしょうか。法令遵守、コンプライアンス以前の問題のような気もします。
名だたる大企業の不祥事が続きます。政治ばかりでなく、企業も病に侵されてしまったのでしょうか。この国にはもうモラルがなくなってしまっているのではないかと心を痛めます。
これでは信用を一義とする経済がダメになっていくのもわかるような気がします。
高まるエンゲル係数
消費支出に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」が26%を超え、40年ぶりの水準に達し、食料高が家計の重荷になっているといいます。
食費が圧迫、細る家計 エンゲル係数40年ぶり26%超 - 日本経済新聞
食料品は輸入比率が高く、円安の影響を受けやすく、それによって価格高騰につながっているといいます。それに対して、賃上げの波及は鈍く、消費の弱含みになりかねないといいます。
原因がはっきりとしているのに、有効な手が打てません。それが今の政府であり、企業の実情なのでしょうか。
賃上げ
日本最大の労働組合の全国組織「連合」が、2024年春闘の闘争方針策定に向けた「基本構想」を公表し、28年ぶりの高水準となった23年春闘の賃上げ目標を引き上げ、24年は「5%以上」にしたといいます。
24年春闘の基本構想、賃上げ目標「5%以上」の方針固める-連合 - Bloomberg
サントリーホールディングスは、2024年春闘で、基本給を一律で底上げするベースアップ(ベア)を含め、賞与を含まない月額ベースで7%程度賃上げする方針を公表しました。実現すれば2年連続のベアとなるそうです。
しかし、来年の春闘でそれなりの結果が出るのではとの期待がある一方で、足元で物価上昇率が低下し始めており、来年の春闘でベアで2%を確保するのは困難とみる専門家もいるようです。
連合の賃上げ目標と日銀金融政策|2023年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)
今年の水準をさらに上回るかどうかは不確実だ。(出所:野村総合研究所)
SDGsの目標1には「貧困をなくそう」とあります。これだけ苦しい状況に追い込まれつつある状況下で、SDGsを標榜する企業が賃上げしないのが不思議でなりません。
これだからモラルもなく、不祥事をしでかしても何とも感じなくなるのでしょうか。
「参考文書」
エンゲル係数が過去43年間で最高域 ~食料費の負担増のしわ寄せ~ | 熊野 英生 | 第一生命経済研究所
サントリーHD、7%賃上げ方針 24年、2年連続ベアへ:時事ドットコム