Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

避け得ない賃上げ、それなのに国民負担増を強いる政府にすがる労組

 週末に円が久々に円高方向に少し振れました。それだからといって149円台。焼け石に水状態のようなものです。円がかつての水準に戻るようなことがあれば、この状況にも変化があるのでしょうが、それもまた夢のまた夢のような話のようです。こんな時だからこそ、せめて賃上げが進みさえすればいいのでしょうが、その実現可能性はあるのでしょうか。

 

 

 労働組合の全国組織「連合」の芳野会長が、2024年春闘で30年ぶりの高水準となった今年を上回る賃上げを実現するには、地方の中小企業や非正規雇用労働者の底上げが不可欠との認識を示し、持続的な賃上げには価格転嫁の取り組みが重要だと強調したそうです。

今年を上回る賃上げ実現、地方の中小と非正規の底上げが鍵-連合会長 - Bloomberg

芳野会長は、賃上げ目標の達成に向けて重視する価格転嫁を促す材料として、政府が公表する指針に期待を寄せる。価格転嫁の実現には「経営計画に入れていかないと難しい」とも語った。労使交渉の際に価格転嫁と公正な取引を企業に働きかけるよう傘下労組に呼び掛ける方針だ。(出所:ブルームバーグ

 労働組合が賃上げを勝ち取るために、政府施策に期待を寄せ、経営に価格転嫁を進めろと物申すだけでよいのでしょうか。

 米国では、UAW全米自動車労働組合ストライキを実施、要求通りとはいかなかったものの、大きな賃上げを手にしています。バイデン大統領はストに参加するなど労組を支援していたといいます。この妥結後「多くの犠牲を払ってきた自動車労働者に報いる合意だ」との声明を発表したそうです。

 企業だけでなく労組までもが、この苦しい状況を作った無能な政府にすがるのは如何なのでしょうか。改善できなかった企業経営者にさらなら改善を求めるのでなく、「賃金を上げろ」と意思表明し、それが実現されなければストライキを実行するのも正しいことのように思えてきます。

 

 

円安の波は、2022年秋、そして2023年秋と波状攻撃のように押し寄せている。繰り返されるコストプッシュ圧力が、中小企業の賃上げの原資を食って、賃上げを遅らせてしまう。(出所:第一生命経済研究所

実質賃金をプラスにするために ~誰がスカートの裾を踏んでいるのか?~ | 熊野 英生 | 第一生命経済研究所

 中小企業は、取引先から価格転嫁を受け入れてもらっても、随時仕入価格が上がっていくと、十分に利鞘を稼ぎ出すことができなくなり、賃上げによる価格転嫁を進めることも厳しくなるといいます。

 記事筆者は、日銀の緩和姿勢を是正することが、実質賃金をプラス転化させるためには必要条件になると指摘しています。

 労働者も企業経営者もそれぞれがそれぞれの立場で意思表明し、政府などに適正に要求しなけれならないのではないかと思います。無能で逆に国民負担増を求めることしか知らない政府に忖度、すがるのではなく、その無能さを正せと伝える行動をとるべきのような気がします。

 

 

「参考文書」

25%の賃上げで暫定合意 UAWとGMの労使交渉 米自動車「ビッグスリー」のスト終結の見通し:東京新聞 TOKYO Web