ChatGPTが登場し、瞬く間に生成AIブームが到来しました。インターネット登場以来のインパクトといわれ、この先大きく仕事が変わり、産業構造が変わっていくとまでいわれています。
ガートナージャパンが先日発表した「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2023年」では、生成AIが過度な期待のピーク期に位置付けられました。
ガートナーが2023年の日本版ハイプ・サイクル発表、生成AIは過度な期待のピーク期 | 日経クロステック(xTECH)
一気に高まった熱もやがて幻滅期を迎え、忘れ去れる存在となるのか、それとも期待以上に社会に浸透し、たとえばDX推進を加速させたり、生産性向上に役立つことになったりするのでしょうか。
生成AIを使いこなすスキルに関心を集まり、専門教材が急増し、eラーニングなどに受講希望者が殺到するようになっているといいます。
高まる「生成AI失業」の脅威 リスキリング熱後押し - 日本経済新聞
「企業には先端技術を人材育成に生かす組織的なリスキリング(学び直し)が求められている」と記事は指摘します。
また、大手企業が積極的に導入するケースが増え、それなりに効果があがっているとの報道を目にする機会も増えています。
生成AIが鳴らす業務革新の号砲 先進企業事例から効果が明らかに:日経ビジネス電子版
記事はパナソニックでの事例を紹介しています。「1時間かかっていたコード生成が10分でできるようになった」といった声が上がるほど、生産性向上の効果があるといいます。
一方で、不正に利用するケースも出てきているようです。
ChatGPT、広がる社員の不正利用 内規に反した銀行員23人:日経ビジネス電子版
これでは本末転倒で、利用方法を間違えれば、一気に幻滅期に向かうこともありそうな気がします。
デジタル化の遅れの二の舞になってはならないと、生成AI人材の育成を促す必要があるとし、専門家たちが声をあげ、政府も指針をまとめています。
国産AI、開発は外国人頼み プリファード西川氏「起業で人をつなげ」:日経ビジネス電子版
海外諸国との差が広がる前に、速度のあるスタートアップへ投資を拡大していく必要があると記事は指摘します。
同じ失敗を繰り返すことなく、生成AIを活用し、生産性向上につなげていくことはできるのでしょうか。
先見性のある一部企業では上手に取り込み活用して、さらに生産性向上につなげていくのかもしれませんが、生産性向上の取り組みに遅れる企業は置いてけぼりになり、いつまでたっても国全体での生産性向上は進まず、賃上げも進展しない事態にならないかと危惧します。
デジタル化を推進するためのスタートアップが数々立ち上がり、IPOするまでになり期待されましたが、この国のデジタル化は一向に進んでいないようです。なぜなのでしょうか。
期待通りに諸外国ではある仕事が生成AIにとってかわっていくのに、日本においてはいつまでも同じ仕事を続けていることになるのかもしれません。そんな事態にならないか心配です。社会に役立たせよう、社会に貢献しようとの意識の違いからなのでしょうか。
「参考文書」
生成AIの利用拡大 経産省が企業向けに人材育成の指針まとめる | NHK | AI(人工知能)
中小企業で賃上げは定着するか?カギは価格転嫁と生産性向上 | 三菱総合研究所(MRI)