Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【人への投資】ファーストリテイリングのインターンシップに集う海外人材

 ファーストリテイリングが4年ぶりに、世界中の学生を対象としたインターンシップ(就業体験)を実施し、世界22カ国・地域から51人が集まったといいます。

 応募者は約4500人にも上り、倍率88倍の狭き門をくぐり抜けた若者たちが、経営幹部の前でプレゼンを行ったそうです。

ファストリ、インターン応募倍率88倍 世界中の大学から精鋭集う:日経ビジネス電子版

 このインターン制度は「グローバルマネジメントプログラム(GMP)」と呼ばれ、2019年から始まったそうです。海外の学生を日本に招き、5日間インターンとして働いてもらうそうです。

 前半は座学や店舗見学などのプログラムが組まれ、4日目にチームごとに役員や部長の前で選んだテーマについて発表する。参加する学生は5~6人のチームに分かれ、「店舗だからこそ提供できる顧客体験」「ユニクロが世界一のアパレルブランドになるために必要な戦略」「新しいニーズやトレンドを反映したLifeWear(ライフウエア)」の3つからテーマを選びプレゼンするそうです。

 

 

 この制度はファーストリテイリングが注力する人事戦略の一つで、海外の優秀な人材確保につなげる狙いがあるそうです。

ベトナムから参加した学生は「倍率は高かったけど、ユニクロという世界的なブランドの経営を知ることができる機会を逃すわけにはいかないと思った」と応募理由を話す。(出所:日経ビジネス

 海外から応募者の多さに驚きます。それだけ世界においても注目される企業になったということなのでしょうか。

ホワイト離職

 一方で、日本国内では、気を使って褒めて育てた若者が会社をやめていく「ホワイト離職」が増えているそうです。

「ホワイト離職」、褒めて育てた若者がなぜ辞める:日経ビジネス電子版

Z世代といわれる20代の若者は気がついている。将来のステップアップを見据え、鍛えてもらいたいと思って大企業に就職してはみたものの、手本になるような、腹をくくって物事を決めるリーダーがいない。足して2で割るような決め方をする古い企業文化に幻滅してしまう。(出所:日経ビジネス

 人材が流動化するこれからの時代に若者たちが選ぶのは、意思決定ができるリーダーがいる会社と記事は指摘します。

 

 

 なぜ日本の企業において意思決定できる人が少ないのか、「大手企業や中堅企業では、上から降ってきた仕事をただこなせばいいようになっている」と早稲田大学ビジネススクールの入山教授は指摘、上司に褒められることが正解であり、そんな仕事ばかりしているから意思決定をしないという習慣を身につけてしまうといいます。

「社員が成長しない」、それは会社が掲げているビジョンや、やっている事業に腹落ちしていないからです。なぜこの仕事をしているのか、この研修を受けるのか──、腹落ちしていないものは、すべて「やらされている仕事」だと感じるのです。それでは成長しません。(出所:日経ビジネス

人への投資

 人材育成など「人への投資」の開示が企業に義務づけられました。人手不足に直面する日本企業にとって人材の質や多様性を高めることが、競争力の向上に不可欠になるとの理由で、政府によって決められたといいます。

[社説]企業は効果的な人的投資で競争力高めよ - 日本経済新聞

米欧の企業が人的投資の開示を進めたのも、人が価値の源泉であるとの認識に基づく。(出所:日本経済新聞

 設備や店舗など有形資産だけを価値の源泉と考えている経営者が多く、そこから改めなければならないと記事は主張、労働の担い手が不足する日本企業はなおさら、取り組みを急ぐべきだといいます。

 何も政府の言い分が正しいわけでもなく、欧米の動き素早くつかみ、アクションし、結果を示す企業も国内にはあるということなのでしょう。政府の施策を待ってでないとアクションできないのであれば、それこそ意思決定のできない会社であることを自ら証明するようなもので。また「やらされ仕事」をこなすことが増えるだけではないでしょうか。それではせっかくの取り組みを活かすこともできずに、自主的に進める欧米企業との差が拡大するのはあたり前のような気がします。

 

 

「正解なんて分からないけれど、こんな思いで、世の中にこんな価値を提示して、社会に貢献しながらお金をもうけてやっていこうよ。面白いでしょ。ワクワクするでしょ」と、従業員や銀行、株主に腹落ちしてもらう、これが非常に重要です。トップが未来を語れなければ、人は集まってきません。正解がない時代だからこそ、みんなが信じる存在が欲しいのです。(出所:日経ビジネス

「不確実で変化の激しいVUCA(ブーカ)の時代、リーダーは失敗もして、恥もかいて、それでも新しい挑戦をして理想に向かって進む姿を見せていればいい」と、ユーグレ社の出雲社長もいいます。

ユーグレナ出雲社長が語る「Z世代の仕事観」:日経ビジネス電子版

 政府からしてワクワク感もなく、企業がそれに盲目的に従うようになっているのであれば、とても持続的な成長などありようもない気がします。それでは、ますます社会からワクワクがなくなっていくのでしょう。