Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

アディダスのスニーカーを買ったら、エシカル消費かという疑問

 

 新型コロナの感染拡大で、「家で過ごすことが増え、暮らし方を見直すようになり、それをきっかけに、エシカル消費を考えるようになった」というアンケート結果を日本生活協同組合連合会日本生協連)が公表した。

エシカル消費(倫理的消費)」とは地域の活性化や雇用などを含む、人・社会・地域・環境に配慮した消費行動のことと日本生協連は説明する。

エシカル消費に取り組むことができない・しづらいと感じることがある場合、その理由として最も多かったのは「価格が高い、経済的な負担が増える」(36.2%)でした。

次に多かったのが「取り組みの効果がわからない」、「どんな取り組みがあるか知らない」といった回答で、いずれも17.1%となりました。 (出所:日本生協連

エシカル消費に関する意識調査 結果発表過半数が「エシカル消費」に関心があると回答するも、「価格が高い・経済的な負担が増える」(36.2%)が取り組みへの壁に | ニュースリリース | 日本生活協同組合連合会

エシカル消費と定義すると、一気にハードルが高くなってしまうのかもしれない。「必要な量だけの購入」とか、「地元のものを購入」とか、もっと気軽に考えていいのではないだろうか。あれもこれもと何から何までいわゆる「エシカル消費」で揃えようとすると気が滅入ってしまう。何も常に100点満点を取ることが「エシカル消費」ではないと思う。

 

 

サステナビリティとは、どのようにものを消費して、ごみを出すかということです。そして、これに頭を悩ませています」。

 アディダスジャパンのトーマス・サイラー副社長が、ハフポストのインタビューで、そう答える。

アディダスが「サステナビリティ」を成長戦略の柱にする理由とは。ライバルとコラボし、定番商品を再生素材に変えたグローバル企業が描く未来 | ハフポスト

飲み物を買ったりコンビニに行ったりすると、いつも必要のない、余計なプラスチックがついてきます。断ったのに、ついてくることもあります。ごみを増やしてしまうことがあまりに苦痛で、一時期、外で食べ物を注文するのをやめたくらいです。今ではコーヒーのテイクアウトは紙コップだけで十分で、プラスチック製のふたは断ります。オフィスに帰り着くまでに多少こぼれますが、しかたのないことと考えています。 (出所:ハフポスト)

 サスティナビリティも、エシカル消費も進行形ということなのかもしれない

 

 

 アディダスは2015年から、海洋保全NGOの「Parley for the Oceans(パーレイ・フォー・ジ・オーシャンズ)」とパートナーシップを結び、回収した海洋プラスチックごみから新素材を生み出し商品化した。また、主力商品の「スタンスミス」でもリサイクル素材を採用した。ステラ・マッカートニーや同じスニーカーメーカーのオールバーズともコラボし、商品開発を進める。

コラボは、彼らや私たちの利益のためではなく、スポーツ用品の枠さえ飛び越えた業界全体のインスピレーションになるでしょう」 (出所:ハフポスト)

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サステナビリティに関心を持つ消費者が増える一方で、「価格が高い」「かっこよくない」「機能性が低い」などの意見もあります.....」と問われたサイラー副社長は、「私たちは結局のところスポーツメーカーであり、デザイン企業です」と答え、「サステナブルな素材を使い、CO₂排出量を削減した工程で作られ、サステナブルな方法で売られることと、人々が楽しんで運動でき、見た目がかっこいいことは矛盾しません」という。

デザイン、機能性、パフォーマンス、サステナビリティはうまく連携する必要がありますし、実際の商品開発サイクルでは、デザイナーはサステナビリティ担当エンジニアと協力します。

一つの要素がほかの要素の犠牲の上に成り立つわけではないのです

さらに、私たちのサステナブル商品は、そうではない(自社や他社の)商品に比べて決して高くないし、むしろ数年のうちに、商品がサステナブルに作られることを消費者が当然のこととして要求する「ハイジーン・ファクター(衛生要因)」になるでしょう。 (出所:ハフポスト)

 そして、「消費者を説得するには、何と言ってもスポーツにおける信頼性を高めるしかありません」という。

 

 

 どうせ買い物をするなら、エシカル消費に近いものほうがいいのかもしれない。ただそれが苦痛になるくらいなら無理しない方がいい。それよりは自分の生活信条に照らし合わせて、共感できる会社の商品やサービスを選ぶ方がいいのだろう。

アパレルブランドは信用できない? サステナに関する米消費者アンケート | WWDJAPAN

 多くの企業が「サスティナビリティ」に取り組むようになったといわれる。アディダスの取り組みを、サイラー副社長は次のように説明する。 

最初のステップは、企業が戦略プランを公開することだと思います。公にすることで責任が生じます。

私たちにとってサステナビリティとは年に1度のキャンペーンではありません

毎年5月に実践して、残りの11カ月は沈黙する、というものではありません。継続して365日、どう伝え、何をするか、なのです。それがメッセージを強く打ち出すことにつながると思います。 (出所:ハフポスト)

 そして、これが、サステナビリティの問題解決やSDGsの達成に果たすアディダスの役割だという。

 ふと「義」という言葉を思い出す。「義」とは、正しい道を追求していくことだという。エシカル消費サステナビリティも、「義」と同じなのかもしれない。それは、個人も企業も同じなのではなかろうか。

 

【身近になる脱炭素やSDGs】海のドローンで海上ごみを回収するシーパラダイス、堆肥化できる食器 edish

 

 横浜 八景島シーパラダイスが9月25日、SDGs週間に合わせて「海洋ごみから海を守ろう!最先端のごみ回収ドローン体験」を実施した。

 新たに海のドローンを導入、その操縦体験をお楽しみながら、海上ごみの回収したそうだ。

 神奈川新聞によれば、埼玉県から家族で訪れ、このツアーに参加した小学4年の男児(9)は「海の生き物が絶滅しないよう、自分が出すごみを減らしていきたい」と話し、小学2年の妹(7)も兄の言葉にうなずいたという。

 

 

 御殿場プレミアム・アウトレットが9月、食品リサイクルの取り組みを始めたそうだ。施設内の飲食店8店舗で出る食品残渣から再生堆肥をつくり、場内緑化に利用している。

 御殿場プレミアム・アウトレットによれば、施設内に3基の食品残渣発酵分解装置(コンポスト)を設置、対象飲食店8店舗から発生する食品残渣を回収して、微生物で生分解(一次発酵)し、リサイクルセンターにて堆肥化(二次、三次発酵)、再生された堆肥は、場内緑化にかかる植栽の堆肥として利用しているそうだ。

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(写真:三菱地所・サイモン株式会社)

 それぞれの活動が新たな収益になったり、コスト低減につながっていく。

 大がかりではないが、自分たちでできることに取り組むことから始めることがSDGsの本質なのだろう。

 

 

 総合商社の丸紅が、「循環型食器「edish(エディッシュ)」関連の事業が、環境省の「プラスチック等資源循環システム構築実証事業」に採択されたと発表した。

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(画像:丸紅

 丸紅によれば、堆肥化可能な食器「edish」の原材料は、小麦粒精製時の残渣である小麦ブランと、資源管理された森から作られるパルプだという。

edish-エディッシュ | 何度でも生まれ変わる“循環型食器”

 また、小麦ブランのほか、コーヒー、お茶、みかんなど、これまで再利用が難しかった資源の再循環を可能になったという。

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(写真:丸紅)

 丸紅が実施する実証事業は、ホテルや大型公園、社員食堂で行われ、以下を確認するという。

① 使い捨ての食器、カトラリー(スプーン・フォーク類)を全てedish素材で揃えることで、分別の手間を減らし、利用者の利便性を向上させる。

② 回収したedishと混ぜる生ゴミの量をモニターの上、完成した堆肥の成分測定、発酵分解による排出ガスの検証を行う。

農業法人等に依頼し、完成した堆肥を用いて野菜の栽培実験を行い、堆肥としての有効性(栄養価)を確認する。 (出所:丸紅)

 丸紅は、焼却処分を行わない資源循環を実現することでCO2排出量の削減を目指していくと、その目的を説明する。

 できれば、使い捨てが無くなればいいのかもしれないが、いきなりその実現は難しいのかもしれない。そうであれば、啓蒙の意味も含め、過渡期としての利用はあるのだろう。それと同時に、堆肥化処理を推進、一般化できばいいのかもしれない。水分を多量に含む生ごみの焼却処分ほどムダはない。総合商社にはそんな役割も期待したい。

「脱炭素」に「SDGs」が加速度をあげて社会に浸透し始めているのだろうか。

 

【身近になる脱炭素】ドコモが2030年カーボンニュートラル宣言、ドコモでんきが来年スタートへ

 

「第1回 脱炭素経営EXPO 秋展」が2021年9月29日~10月1日の日程で、東京ビッグサイトで開催されている。ECナビによれば、約480社が出展、脱炭素に向けた先端技術やサービスなどを紹介しているという。

まいにちニュース「御社の「脱炭素」のヒントに...「脱炭素経営EXPO 秋展」大盛況」 | ポイントサイトはECナビ

脱炭素、脱炭素経営に関して、これから取り組みたい、取り組まないといけないと考えている......けれども、何をしたらいいかわからない。 (出所:ECナビ)

手探り段階にいる人から目的意識をもって来場する人まで、さまざまのようだと、ECナビは指摘する。

 

 

 東京ガスが、株主還元方針の変更について発表した。連結純利益に対する配当と自社株取得の割合を従来の6割から5割に縮小するという。東京ガスによれば、財務体質の健全性を保ちつつ、原資を優先的に CO2 ネット・ゼロ関連分野に振り向けるためだという。

東京ガス、株主還元減らし脱炭素投資 15年ぶり方針転換: 日本経済新聞

株主還元を削れば年間数十億円分の投資余力が生まれる。

自己資金に借入金も合わせ、今後10年で数兆円規模の資金を創出。太陽光や洋上風力、バイオマスなどの再生エネ投資に回す。二酸化炭素(CO2)と水素を合成して都市ガス主成分のメタンをつくる「メタネーション」の技術開発にも資金を手厚く振り向けていく。 (出所:日本経済新聞

 化石燃料を扱う企業に求められる「脱炭素」。ガス消費がまったくゼロになることはないかもしれないが、右肩上がりの成長はもうないかもしれない。エネルギー企業に生まれ変わり、存続を目指すための資金確保ということであろうか。

 

 

 NTTドコモが、電力事業へ参入し、2022年3月から「ドコモでんき」を提供すると発表した。

報道発表資料 : 「ドコモでんき」提供による電力事業への参入 | お知らせ | NTTドコモ

 ドコモによれば、太陽光・風力・地熱などの再生可能エネルギーを積極的に活用「ドコモでんき Green」と、dポイントとの連携によりおトクにご利用できる「ドコモでんき Basic」の2つのプランを提供予定だという。

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(画像:NTTドコモ

 ドコモは同日、2030年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「2030年カーボンニュートラル宣言」を発表した。

ドコモは、ネットワークの消費電力を削減する技術の開発・設備導入や、ドコモ専用の太陽光発電所等から再生可能エネルギーを直接調達する取り組みなどにより、自社のカーボンニュートラルを達成します。

また、バリューチェーンにおいても、ドコモショップ等への太陽光パネルの設置などの取り組みを通して再生可能エネルギーの導入を推進し、自社での取り組みと合わせてグリーンキャリアとなることをめざします。 (出所:NTTドコモ

 

 

 ドコモを傘下に収めるNTTグループも同日、「NTT Green Innovation toward 2040」に従い、グループとして、2040年度までにカーボンニュートラルの実現を目指すと発表した。

新たな環境エネルギービジョン「NTT Green Innovation toward 2040」 | ニュースリリース | NTT

 NTTによれば、2030年度に、NTTグループ温室効果ガス排出量80%削減 (2013年度比)を目指し、モバイル(NTTドコモ)、データセンターのカーボンニュートラルを達成するという。自らの温室効果ガスの直接排出(スコープ1)と他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出(スコープ2)が対象だという。

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(資料:NTT)

「気候変動問題をはじめとした環境問題は年々深刻さを増しており、世界規模での自然災害の巨大化など社会経済へ与える影響も大きくなっています」と、NTTはいう。

日本政府が発表した「2050年カーボンニュートラル宣言」では、2050年までに脱炭素社会を実現し、温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目標としており、環境課題を解決しつつ経済成長を両立させるWell-being社会を実現するには、ESGへの取組み推進が重要となっています。 (出所:NTT)

「脱炭素」が加速しているのだろうか。国が発表した「カーボンニュートラル宣言」がきっかけになったのかもしれない。

 生活に欠かすことができないスマホ関連サービスでの展開はわかりやすい。それと同時に、一般家庭での再エネ利用の選択肢が増えていくことで、「脱炭素」がより身近なものになっていきそうだ。

 

【SDGsの真贋】新幹線再生アルミ、パーム油、外国人技能実習制度

 

  新幹線をリサイクルする。ちょっと大げさな話かもしれないが、JR東海が、環境負荷低減のため、東海道新幹線の車両に使用していたアルミをリサイクルしている。

 その「新幹線再生アルミ」を英国生まれの自然派化粧品ブランド「ザボディショップ」に提供しているそうだ。

新幹線再生アルミ

 新幹線車両に使われていたアルミから付着物を取り除き、高純度のアルミ合金のみを抽出する手法をJR東海が開発し、新幹線車両に使用されていた強度の高いアルミの再生素材のため、装飾だけでなく、建築材料や精密機械にも使用することができるそうだ。

 

 

 JR東海によれば、新幹線再生アルミは、アルミを新製する場合に比べて、製造時に必要なエネルギーを抑えられるため、CO2排出量を97%削減し、環境への負荷を軽減することができるという。

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(資料:JR東海

新幹線再生アルミに吹き込まれる新たな命

「ザボディショップ」によれば、名古屋のタカシマヤ ゲートタワーモールに今年4月にオープンした「アクティビストワークショップ」の店舗で、レジカウンターやウィンドーフレームなどの一部什器に、引退した東海道新幹線の車両の再生アルミが使われているそうだ。

 東武百貨店 池袋本店に2021 年9 月16 日、この新しい「アクティビストワークショップ」がオープン、今後もリニューアル予定の店舗で展開していくという。

役割を終えた素材に新しい命を吹き込むことで、よりサステナブルな店舗内装の開発が叶う」と、ザボディショップはいう。

 また、店内什器だけでなく、スパチュラ(定価:350円税込)にも新幹線再生アルミを採用したという。この再生アルミ スパチュラも9 月16 日から販売開始になったそうだ。

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(写真:ザボディショップ

「ザボディショップ」エシカル消費を体現する店舗の出店加速 詰め替えサービスなど提供

 FASHIONSNAP.COMによれば、ザボディショップの「アクティビストワークショップ」では、この他にも、プラスチック削減のための詰め替えサービス「リフィルステーション」も併設、専用のアルミボトル(300g)とポンプを購入し(中身とのセット価格2255円)、中身を充填してボトルを再利用することができるという。

 

 

 サステナブルSDGsのニーズの高まりで、こうしたサービスが拡充されてきたのだろうか。一方、SDGsの根幹をなす人権問題は、改善されているのだろうか。

花王のトレーサビリティ

 花王は、「調達に関わるサプライチェーンESG推進ガイドライン」を策定、公開し、取引先と共に、サプライチェーン全体のトレーサビリティ確保や、資源保護・環境保全や安全、人権などの社会的課題の解決に貢献していくという。

花王 | 「調達に関わるサプライチェーンESG推進ガイドライン」を策定 取引先に対し、第三者監査を実施

 その一環として、取引先への第三者監査等を実施、サプライチェーンが抱える社会課題上のリスクの特定していくという。

 人権問題というと、パーム油のような海外での問題に思われがちだ。実際、花王もアブラヤシ農園を調べてシステム上で管理するという。

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(出典:花王 花王が調達するサプライチェーン上で人権・環境リスクが想定されるエリア)

 しかし、国内にも人権問題が存在しているのではなかろうか。外国人技能実習制度が問題視され、度々ニュースとなって報道される。

外国人技能実習制度

 リサイクルポリエステルなどを手がける繊維商社「帝人フロンティア」は、実習生失踪の原因のひとつともいわれる送り出し機関による高額な手数料や保証金等を負担するようにしているという。

多額の借金抱えて、来日…。外国人技能実習生の人権を守るため、日本企業がはじめた取り組み | ハフポスト

「そもそも手数料はリクルートにかかるフィー(費用)であり、日本では求人する側が負担している。実習先が払うべきだ」と判断。

借金が失踪などのトラブルにつながる可能性もあることから、2020年から同社側で手数料を負担するようにしたといいます。 (出所:ハフポスト)

 帝人フロンティアによれば、「顧客からの要請もあり、取引先に留まらず、自らより上流の関係者は全て調達先として把握する必要がある」という。

 調達先における「労働・人権・環境」への配慮を推進していく必要があるが、自社のみでの推進は限界があり、直接の取引先から上流に向かって調達チェーンをつなげる必要がある」と指摘する。

 

 

 それぞれの企業がそれぞれの特色を活かし、SDGsやサスティナビリティに取り組む。中には、ウォッシュといわれそうなまがいなものもあるといわれるようになっている。使う側が真贋を見分ける必要があるのかもしれないが、やはり企業側の努力によってトレーサビリティを向上させ改善していかなければならないのだろう。

 ついつい日本は大丈夫と思いがちだ。外国人技能実習生の人権は守られているのだろうか。経済産業省が人権デューデリジェンス法の制定を検討しているという。こうしたことも考慮されるのだろうか。

「新幹線再生アルミ」はどうなのだろうか。リサイクルばかりでなく、人権についても開示があるといいのかもしれない。

 

【グリーンリカバリーは何処へ】コロナ渦あとの災厄 物価上昇、電力危機、天然ガス高騰、パニック買い

 

 欧州で天然ガスが異常高騰している。イギリスでは、トラック運転手が大幅に不足し、ガソリンや様々な物質の輸送が滞り、パニック買いになっていると言う。中国では、極端な電力不足で一般家庭でも停電する事態になっている。

 コロナ渦が収束しはじめ、これまでになかったことが世界各地で起こり始めている。

「パニック買い」給油スタンドに長蛇の列 = 英国

  JETROによれば、英国石油大手BPはタンクローリーの運転手が不足、燃料輸送に影響が出ているため、9月23日から一部の給油スタンドを閉鎖したという。

英政府、不足するトラック運転手と家禽労働者に短期ビザを発給(英国) | ビジネス短信 - ジェトロ

この発表から、多くの給油スタンドで長蛇の列ができ「パニック買い」が発生、BP以外の給油スタンドでも燃料輸送が間に合わず枯渇した店舗があったという。英国には約8,000カ所の給油スタンドがあるが、多くの店舗で燃料の不足または枯渇状態に陥ったとしているそうだ。

 

 

  原因は、ブレグジット EU離脱後の移民制限などで、トラック運転手や食品加工業者の労働力不足が継続し、それに加え、新型コロナの流行で新規労働者に対する資格認定手続きがおくれた影響もあるという。

 現時点で運転手10万人前後が不足し、英政府は、短期労働ビザの発給などの対応策を発表したそうだ。

天然ガス高騰、相次ぐエネルギー供給事業者の経営破綻 = 英国

 欧州で天然ガスが高騰、1年間で5倍近く値が上がったとの報道もある。英国では9月に入り、小中規模エネルギー供給事業者が相次いで経営破綻しているそうだ。

英政府、ガス価格高騰の対応方針を発表、事業者が相次ぎ経営破綻(英国) | ビジネス短信 - ジェトロ

 英政府は、世界的にガス価格が高騰している要因として、「新型コロナが収束、経済活動が再開するにつれ、世界の天然ガス需要が増加した」、「2020年が寒い冬だったことでガスの備蓄が減少、天然ガス市場がタイトとなった」、「アジアでの液化天然ガスLNG)の需要が高い」などをあげているという。

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中国の電力危機 石炭増加か

 中国では電力危機と呼ばれるほどに深刻化しているようだ。

 JIJI.COMによれば、 主因は石炭の値上がりだいう。相次ぐ炭鉱事故に伴う安全基準の強化などを受け、石炭生産の伸びが鈍化、これに対し国内製造業の旺盛な需要もあり、石炭価格は過去最高値まで上昇したそうだ。それに加え、CO2排出量削減目標が重しとなっているという。

江蘇省はじめ中国各地で電力制限、生産活動への影響も(中国) | ビジネス短信 - ジェトロ

 中国当局は企業に対し、電力消費量の削減や操業制限などを要請、年間の電力消費量を前年比で30%減、電力供給これまでの40~70%程度に制限するなどの厳しい要求を出しているという。

 ブルームバーグによれば、中国はこの電力危機回避に向け、石炭輸入を増やそうとしているという。同様な理由で、石炭の購入を増やしている欧州やインドの買い手と競合する可能性があるそうだ。

 

 

 コロナ渦の最中、グリーンリカバリーが標榜されるようになり、カーボンニュートラル脱炭素を多くの国が目指すようになった。投資の世界は、ESG一色というほどまでになった。しかし、現実は少し異なるようだ。

 経済が回復し始めると、コンテナ不足で輸送が滞り、モノが不足するようになり欧米で物価が上昇した。そして、それだけではすまず、その影響が多方面に現れている。なかなか思い通りに進まない。経済の回復が早すぎるのだろうか。

 国内でも10月から食品など様々なモノやサービスが値上げになるという。こうした影響もあるのだろう。

食品値上げの秋 普通郵便、土曜配達休止―10月からこう変わる:時事ドットコム

 昨冬、天然ガス不足で電力需給が逼迫した。今年の冬に向け、積み増しは大丈夫なのだろうか。今日午後には自民党の新しい総裁が決めるという。脱炭素の流れを阻害することなく、しっかり舵取りしてもらいたい。

 

【循環型社会】原油が自噴して処理に困る自治体と、初の黒字を達成したメルカリ

 

 石油が自噴しているという。海外での話ではなく、新潟市秋葉区原油の異常な湧出が続いていると読売新聞が報じている。

 噴出した原油が近くの池に流れ込むなどしているため、緊急対策費として市議会に2000万円を追加する補正予算案を提出したという。

原油の異常湧出続く市、回収しても「使い道ない」…池に流入して水面真っ黒 : 社会 : ニュース : 読売新聞オンライン

 読売新聞によれば、区の担当者は「回収した原油は使い道がない。正直対応に困っている」と話しているそうだ。

 

 

 ただ過去にも同様な現象があって、区内に12か所には水と油を分ける「分離槽」が設置されているという。

現場で油の回収作業をしている委託業者から連絡があったのは夏頃。因果関係は不明だが、7月頃には信濃川にまで油が流れ込んでいるとの情報もあった。 (出所:読売新聞)

 市の毎年の対策費の負担も大きくなっており、国などに財政支援を受けられないか相談しているが、補助金などはなく、見通しは立っていないと読売新聞は指摘する。「油の湧出状況を注視しながら、より効率的な対応を検討したい」と、自治体関係者が述べているそうだ。

 もったいない話である。いくら脱炭素の敵とはいえ、不要物、ごみとして処理すれば、膨大な費用が掛かる典型ではなかろうか。できれば現有する設備を使って有効活用することを考え、費用ミニマイズ、最小化するのが仕事ではなかろうか。すべて国頼りでは少々情けないと感じてしまう。

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「限られた資源が大切に使われ、誰もが新たな価値を生みだせる社会へ」を目標にするのは、フリマアプリのメルカリ。

「循環型社会の実現/気候変動への対応」「ダイバーシティインクルージョンの体現」「地域活性化」「安心・安全・公正な取引環境の整備」「コーポレートガバナンス/コンプライアンス」の5つに取り組んでいるという。

 

プラネット・ポジティブ

.....でも、循環型社会を目指しているからといって、たとえば「新品のジーンズを買うよりメルカリで中古を買った方がいいよ」なんて声高に言うのは、僕らとしてはちょっと違うと思っています

 一次流通あっての二次流通ですから。

資源を大切に使うという自然で当たり前の流れになる世の中で、われわれは自分たちでやれることをやっていく

その一方で、メーカーさんや一次流通とはむしろ協業することで、必要なものを必要なだけ作るというような、そんな世の中にしていけるんじゃないかなと思っています。 (出所:c/net Japan)

japan.cnet.com

 転売というと、ネガティブなイメージがあるのだろうか。実際、新型コロナの感染が拡大した当初、マスクの高額転売が問題視された。

 そうした事実を踏まえ、メルカリはその対策を検討しているようだ。

EC事業者協議会で「二次流通市場の課題とプラットフォームのあり方について」議論しました - merpoli(メルポリ)|メルカリグループの政策企画ブログ

 EC事業者協議会の7回目の会合が今年6月に開催され、「転売に対する消費者心理」に関しての議論があったという。

「マスク等、話題になったものでは、定価の2倍以上での販売には80~90%の人が社会的に良くないと考えている」との調査結果も報告されたそうだ。

 

 

 そのメルカリが今年2021年6月期決算で、上場以来、初めて黒字化した。また、同じタイミングで米国事業も黒字化したという。

「コロナ禍に伴う巣ごもり需要が主力のフリマ事業を押し上げた一方、コロナ禍で一時的に投資を控えたことで黒字を達成した」 (出所:日刊ゲンダイ

「狙ったわけではなく、ただ結果としてそうなっただけで、これからもずっと黒字であることが保証されているわけではありません。あくまでも将来利益の最大化、どうグロースできるか、というところを今後も目指していきたいと思っています」と山田CEOは、c/net Japanのインタビューに答える。

 あくまでも、目標とする「限られた資源が大切に使われ、誰もが新たな価値を生みだせる社会へ」を実現させることで利益が拡大し、そこから成長があると信じているのだろうか。

時価総額が一時は1兆円突破「メルカリ」の黒字は一時的か 赤字覚悟の次の一手は?|日刊ゲンダイDIGITAL

メルカリは、初期のアマゾンのように収益を新規事業に惜しげもなく投資することで、「赤字をものともせず挑戦し続ける」ことを企業戦略にしているためだ。(出所:日刊ゲンダイ

 また、山田CEOは、日本人初の本格的大リーガーとなった野茂英雄選手になぞらえ、「みな最初は懐疑的だったが、野茂投手はスターになった」と語ったともいう。

 民間企業と自治体を同じ基準でみることは出来ないのかもしれないが、その精神は学ぶことができるのかもしれない。

 

【脱炭素に向けて】沖永良部島のマイクログリッドとパワーシフト

 

 鹿児島県の沖永良部島で、エネルギーの地産地消に向けマイクログリッドの構築に向け検討が始まっているそうだ。

 脱炭素を実現しようとする社会が目指すべき形のひとつなのだろうか。マイクログリッドの有用性を証明するには島嶼部から導入すると理解されやすいのかもしれない。

 沖永良部島の主力電源はディーゼル発電機だという。温室効果ガスを排出し、発電機の燃料を島外から船で輸送しなければならない。それに加え、台風が接近し、海上が荒れれば、燃料輸送が滞る。また、その台風によってたびたび停電が発生するそうだ。

 小規模なエネルギー供給網があれば、停電被害が最小化でき、そのエネルギー源が再生可能エネルギーになれば、温室効果ガスを排出せずに済む。

 

 

マイクログリッド」とは、従来のような大規模発電所による電力供給に頼らず、コミュニティー単位でエネルギー供給源を持つ小規模なエネルギーネットワークのことで、これによって、エネルギーの地産地消が可能になる。

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(資料:京セラ)

 京セラによれば、沖永良部島の知名町と和泊町の3者で、包括連携協定を締結、再生可能エネルギー地産地消による脱炭素化や、災害時の電力供給、地元の雇用創出などに貢献していくという。また、再生可能エネルギーを活かしたモビリティ活用なども含まれるそうだ。

鹿児島県沖永良部島(おきのえらぶじま)でのマイクログリッド構築などに関する包括連携協定の締結について | ニュースリリース | ニュースルーム | 京セラ

本マイクログリッドは、自営線の新設は行わず、配電網ライセンス制度により既存配電網を活用することで、島を複数の領域に分けた構成でつなぎ、島全域をカバーします。各領域は、再生可能エネルギーを発電する太陽電池風力発電機、電力の需給バランスを整えるエネルギーマネジメントシステム(EMS)や蓄電池などを導入する予定です。 (出所:京セラ)

 南海日日新聞によれば、和泊町の前登志朗町長は「今回の協定を、自然と暮らしを両立させた持続可能な島づくりにつなげたい」と抱負を語ったという。

 島嶼部ばかりでなく、地域単位で導入できれば、地域の脱炭素化、レジリエンス機能の向上、発電コストの削減などにつなげていくことができるのかもしれない。

 

 

 米テスラはEV電気自動車ばかりでなく、太陽光パネルに蓄電池の製造・販売も行い、それらを活用することでゼロエミッションの移動の実現を目指す。

 CEOのイーロン・マスク氏は、自然エネルギーが主力供給源となることは可能とし、自然エネルギーと蓄電池のモデルを信奉し、その展開に力を注いでいる。

テスラはすべての家庭を分散型発電所にしようとしている | TechCrunch Japan

 家庭向けには太陽光パネルと蓄電池の組合わせでの販売を推奨し、太陽光発電所や風力発電所を建設する事業者向けには大型蓄電池を販売する。

 そのテスラが、カリフォルニアに新しい大型蓄電池の工場の建設を始めたという。

 TechCrunchによれば、イーロン・マスクCEOは、これらの蓄電池製品には「大きな需要」があるとし、大型蓄電池「Megapack」はもう来年分まで完売しているそうだ。また、家庭用蓄電池「Powerwall」の需要も年間100万台を超えると推定しているという。

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(写真:テスラ)

 ただ、量産効果を引き出すためにはまだ障害があるようだ。バッテリーセルと半導体の不足がボトルネックになっているという。

 こうした課題を乗り越えた先に脱炭素社会の実現があるのかもしれない。

 こうしたサービスや商品が安価に利用できるまでは、「パワーシフト」、電力を選択することで脱炭素に貢献できるかもしれない。

パワーシフトとは、自然エネルギーが中心となった持続可能なエネルギー社会にむけて、電力(パワー)のあり方を、変えていくことです。 (出所:パワーシフトキャンペーン運営委員会