Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

脱化石燃料へ、COP28での歴史的な合意、真価問われる日本のアンモニア戦略

 COP28 国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議が会期を延長して成果文書を採択しました。

「公正かつ秩序だった公平な方法でエネルギーシステムにおける化石燃料からの脱却を図り、2050年までに(温室ガス排出の)実質ゼロを達成する」

COP28、化石燃料から脱却で合意 成果文書採択 | ロイター

 歴史的な合意になったそうです。約200カ国の代表が、最悪の気候変動を回避するために化石燃料からの脱却を進めることになるといいます。

「地球沸騰化の時代」、気候危機が現実となってきています。それを回避することは、ほんとうにできるのでしょうか。

 

 

「石油・ガス・石炭の段階的廃止」、その合意を当初、目指していたそうですが、サウジアラビアを中心とするOPEC 石油輸出国機構が、特定の燃料に言及しないよう求めため、今回の文言になったそうです。サウジは、気候変動対応はあらゆる技術を駆使して排出量を削減するものとしている自国の姿勢を繰り返したといいます。

脱化石燃料化、締約国が初の一致 「10年で加速」COP28採択 | 毎日新聞

 化石燃料の代替として原子力などを推進し、再生可能エネルギーの導入量を30年までに世界全体で3倍にするとの目標も盛り込み、また、脱炭素化が難しい産業をクリーン化する炭素回収・貯留などの技術を加速させることも合意文書に盛り込んだといいます。

 サウジ同様、日本にとっても願ったり叶ったりの合意になったのでしょうか。

火力発電延命、アンモニア活用

 日本政府は火力発電に執着し、もっともらしい言い訳をしては、アンモニアや水素を活用するといい続けています。

 再生可能エネルギーについては、他の国と異なり、日照時間や風況に恵まれず、利用できる土地も少なく、発電コストは高いとし、脱炭素化を推進しながら経済成長とエネルギー安定供給を両立させるための現実解は、アンモニアや水素のようなクリーン燃料による石炭火力発電設備の維持といいます。

 ほんとうにそれがベターな解なのでしょうか。

「化石賞」日本が推すアンモニア発電は愚策か、石炭依存国の希望か | 日経クロステック(xTECH)

 日本の電源構成比の約7割を占める石炭と天然ガスのエネルギー転換を目的として、大手電力会社をはじめ、発電設備を手掛けるIHI三菱重工業などが早期実用化に向けて設備開発や実証実験に力を入れる。(出所:日経クロステック)

 自民党による裏金問題で利権政治が露呈しました。そのためかもしれませんが、火力発電の延命は、日本の防衛産業を支える重工業各社の延命のためでもないかとも読めてしまいます。

 

 

 アンモニア発電を全面否定するようなものでもないのでしょう。しかし、それがベストソリューションかと言えば疑義はあるのでしょう。恣意的にストーリーを組み立てれば、それなりの論理は作ることはできます。何がこの国の脱炭素化と経済成長、エネルギー安定供給を両立させるための現実解かの深堀りが足らず、戦略と呼ぶには程遠いように感じます。

 戦略も人の手によって作成されるものであって、それを作る人物次第で中身はいかようにすることもできます。それを政府がお墨付きを与えても、国際社会から批判されては、やはりどこかに落ち度があるのでしょう。

 国際公約を優先させれば、企業の実力が追い付かず、企業の主張を通そうとすれば、目標との矛盾が生じてしまう。こじつけの論理で言い逃れに走り、独りよがりに陥っていく。これではほんとうの意味での貢献などできようはずもありません。

 今夏の異常なまでの高温を経験すると、来年、そして、その先はどうなっていくのだろうかと心配になります。利害を乗り越え、人類の叡智を結集して解決しなければならないのが気候変動の問題なのでしょう。この大きな問題に、私欲を優先させようとすることはいかがなものかと感じずにはいられません。

 

Tシャツで過ごす暖冬、2月に厳しい寒波襲来も-気候変動が覆す恐れ - Bloomberg

 

 

「参考文書」

【解説】 COP28の「大きな前進」 本当に気候変動に影響与えるのか - BBCニュース

どこまで落ちる日本...COP28で不名誉な「化石賞」2回、気候変動対策は世界58位に沈む現状|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 

政治腐敗、弱くなった日本、まだ残されている可能性

 裏金疑惑で政府自民党に激震が走っているようです。その狼狽ぶりが滑稽です。人なり、人間性がよく現れているようにも感じます。国民が苦しむばかりの政策が続けられてきたことがわかります。

 事実を明らかにし、もう2度と後戻りできないような根本的対策となる政治改革が求められています。

 

 

 足元を振り返ってみても、理不尽なことや論理のないことが平然と語られていたように思います。財源が決めないまま進められる防衛費増額や少子化対策。世代間の分断を煽るような社会保障制度の見直しなど、例を上げたらきりがありません。

[社説]資産勘案など社会保障負担の改革急げ - 日本経済新聞

 問題を先送りにしてきたことによって、状況が厳しくなっただけであって、それなのに高齢者いじめになるような改革を進めるのはどうかと感じます。誰もが歳をとり、いつかは高齢者になるのですから。

 こんなことが続けば、社会保障に期待できないというのもわからないことではありません。しかし、せっかくの国民皆保険制度をどう維持、発展させるか、そのためにどんな改革が必要なのかを真剣に議論すべきなような気がします。「パブリック」、公共ということを今一度考え直すべきではないかと感じたりします。

多くの知識人が、「ああ、この世界はあまりに酷く、どこにも希望はない」というメッセージを人々に大変見事に言い聞かせてきましたが、おかげで若者たちが深く意気消沈してしまうのです。(出所:クーリエ・ジャポン

 そうなのかと感じます。しかし、知識人がそう語らなくても現実の社会がそうなっているようにみえるのもまた問題のような気がします。欺瞞に満ちた政治が続き、社会がどんどん悪化しているのですから、希望を持てということが無理なような気もします。

 

 

化石賞

 COP28で日本が再び化石賞を受賞しました。首相が首脳級会合でスピーチし、アンモニアを活用した技術で世界の脱炭素に貢献する姿勢をアピールし、それが「グリーンウォッシング」とみなされたことが受賞の理由のようです。

「化石賞」なぜ日本ばかり? 中国、際立つ少なさ―COP28:時事ドットコム

「中国は世界第2位の経済大国でありながら、COPではいまだに途上国のように振る舞っている。責任ある態度と言えるのか」と日本政府関係者は不満をこぼしているそうです。

中国が化石賞に選ばれない理由について、CAN関係者は「中国国内でのNGO弾圧につながる可能性もあり、あまり刺激したくないのでは」と分析。その上で、日本に対し「化石賞には批判だけでなく、政策改善への期待も込められている。世界にもっと貢献してほしい」と話した。(出所:時事ドットコム

 常々思うことですが、情報発信に問題があるのではないかと感じています。また、政府の現状認識にも問題がありそうです。色眼鏡をかけて世界を見ていれば、正しく現実を知ることはありません。それが改革を鈍らせ、それが世界から遅れる原因になっているのではないでしょうか。その遅れが日本の弱さに拍車をかけるようになっていそうです。

 

 

ポテンシャル

 足元で円が少し盛り返し円高傾向です。とはいえまだ140円台でのもみ合い、円安ということに変わりはなさそうです。円が弱くなっていると感じます。

 世界の名高る企業が日本に研究所を開設するようです。上手く円安メリットを活かしているのでしょうか。

米エヌビディア、日本に研究拠点設置へ AI人材育成も - 日本経済新聞

「日本は独自のAIを作るための技術的な知見や産業能力がそろっている」、来日した米半導体大手エヌビディアのジェンスン・ファンCEOがそう語ったそうです。

 来日した X(旧ツイッター)のリンダ・ヤッカリーノCEOも、日本にアプリの開発拠点を設けることを明らかにしたといいます。

Xが日本にアプリ開発拠点、アメリカ以外で初 CEOインタビュー - 日本経済新聞

2024年から技術者を新規採用し、人工知能(AI)を活用しながら日本市場に適した新機能や広告システムを構築する。(出所:日本経済新聞

 日本の中小企業の広告需要を取り込む狙いがあるそうです。

 日本の弱さが気になりますが、もしかしたら、まだ捨てたものでもなく、ポテンシャルが残っているのかもしれません。正すべきを正して、様々な邪道から抜け出ることができれば、ポテンシャルを活かすことができそうです。まずは改革、それも政治からなのでしょうか。

 

「参考文書」

医療界・財務省が真っ向対立 診療報酬改定へ議論ヤマ場:時事ドットコム

私はなぜ化石賞に関する報道に、毎年飽きずにコメントするのか|竹内 純子(国際環境経済研究所理事/U3イノベーションズ合同会社共同代表/東北大学特任教授)

「知識人が『この世界は酷い』と言い過ぎるから、若者が虚無感を抱く」 | 今年のバーグルエン賞社会学者が語る | クーリエ・ジャポン

 

 

裏金疑惑、腐敗した政治、日本の低下を反転させるとき

 国のゴタゴタが続いています。裏金疑惑、今になってもなお、こんなが続いていることが残念でなりません。安直に結論づけしてはならないのでしょうが、日本が低下し続けてきたことがわかるような気になります。

 首相が官房長官の更迭する意向を固めたようです。これですべてがよくなることはないのでしょう。まだまだやらなければならないことがありそうです。

 どうやら改革、それも大きく変えていくが求められていそうです。方向を転じるときなのでしょう。

 

 

 国の政策によって混乱が起きていることは間違いなさそうです。しかし、国の政策すべてが間違っているということはないのでしょうから、その中で今求められていることを優先して対応、成果が見えてくれるようにできれば変化が芽吹くのかもしれません。

病院経営の効率化

 コンサルタント大手のデロイトトーマツのグループ会社が、石川県金沢市の浅ノ川病院グループと病院経営の効率化で協定を締結したそうです。消耗品の調達や病院食、医療事務などの間接部門の業務を集約し、経営を効率化するといいます。

デロイトトーマツ系、病院経営の効率化を指南 間接部門対象 - 日本経済新聞

 病院経営効率化のモデルと位置づけ、5年後をめどに全国に広げていく考えといいます。

 医師の長時間労働が問題視され、働き方改革が求められています。また、膨張し続ける社会保障費の抑制につながり、また、病院関係者全員の賃上げにも役立つようすべきなのでしょう。

中小企業の支援

 コンサルティング大手のアクセンチュア群馬県庁に入居し、群馬県内の中小企業のデジタル化支援などを進めているそうです。

アクセンチュア、群馬県庁入居半年 IT人材続々流入 従業員倍に | 毎日新聞

 売り上げや発送を各社の独自管理からインターネットを通じた共通のクラウドシステムへの切り替えを推進しているといいます。県関係者は「資金面や人員面での条件はあるが、効率化や生産性向上のチャンスとなっている」と話しているそうです。

 良い取り組みなのでしょう。こうしたことで中小企業での経営改善が進み、価格対応力が向上したり、賃上げにもつなげていくべきなのでしょう。ただこれで完成ということはなく、さらなる高み、理想を追求することができるようになっていくまで支援ができればいいのかもしれません。

 

 

 ただどれもこれもコンサル頼りになっていることが気になります。本来、自分たちの手で自分たちの職場をより良く、改善できればいいのでしょうが、その余裕がないのが実情なのでしょうか。何かに縛られて、働くことが本来あるべき姿から乖離しているのではないかと思えてなりません。

規模だけ拡大してもそれは「膨張」にすぎず「成長」とは言えません。質的な成長なくサイズや構造だけが大きく広がっていくだけでは操縦が困難になり、卓越した価値あるサービスや製品を提供できなくなることが目に見えています。(出所:日経ビジネス

 情報化社会になりましたが、仕事は楽になるどころか、業務はますます細かくなり、スマホに届く通知と情報に対処しなければならなず、仕事が煩雑になります。それに加えて、仕事の社会的意義、責任についても考えることが求められたりします。そうした環境下にあって、仕事を受動的、機械的に処理するようになると、自律性が失われ、自分を見失うだけになっていたことはないでしょうか。

 そんな習慣を終わらせるときなのかもしれません。押しつけられた仕事を処理するのではなく、仕事を創造性あるものに変えるべきなのでしょう。

 もしかしてこの先環境の変化があるのかもしれません。何かが終われば、そこから変化が生まれるのでしょう。そうなれば社会の常識も変わっていくことになるのでしょう。

 

「参考文書」

中小企業のデジタル化推進待ったなし、「DX支援関連」が総蜂起へ <株探トップ特集> - 株探

[新連載]ドラッカーの問い「あなたは何者か」にどう答えるか (3ページ目):日経ビジネス電子版

医療界・財務省が真っ向対立 診療報酬改定へ議論ヤマ場:時事ドットコム

 

不正、不祥事、晩節を汚す経営者たち

 政界に企業、様々なところで不正、不祥事が露見しています。振り返ってみれば、過去においても同様で、いつまでも経っても同じことを繰り返しているようです。

 2006年に、当時急成長企業だったライブドアが粉飾事件を起こし、社会に大きな影響を与えました。株式市場は揺れに揺れ、ライブドア上場廃止になったといいます。

「オレがオレが」が経営者の晩節を汚す:日経ビジネス電子版

 この時、混乱の沈静化のため、故稲盛和夫氏が東証で「なぜ経営に哲学が必要なのか」というテーマで講演を行ったそうです。

 冒頭「私は、戦後の日本を引っ張ってこられた創業型の経営者の後ろ姿を学びながら、今日までやってきました。皆さん、素晴らしい経営をされてこられましたけれど、晩年までいい会社の状態でもって、ハッピーリタイアメントされた方というのは非常に少ないんですね」、こう語ったといいます。

 

 

 時が移ろい時代が変われど、何も変わらないということなのでしょうか。過去の失敗が活かされていれば、今日このような事態になることもないのでしょう。

 そんな中、IT大手のサイバーエージェント藤田晋社長が、2026年に会長に退き、新社長を社内から起用すると表明したといいます。日本のITを牽引してきた稀代の経営者が後任探しを始めたそうです。

「藤田晋、60歳」社内資料に愕然…サイバーエージェントが本気の後継者選びに乗り出したワケ | 渋谷ではたらく社長の「最後の仕事」 | ダイヤモンド・オンライン

本物のパブリックカンパニーを作ることは最初から頭にありました。会社そのものが、みんなで作る作品のようなものです。ちゃんと続かなきゃいけないという意識は強いですね。そもそも『21世紀を代表する会社を創る』というビジョンを達成できたという感覚は、まったくありません。まだまだドメスティックな会社で、世界的な会社になるのがビジョン達成の大前提です。それを僕がいなくても、無理なくやり遂げる会社にならないといけません。(出所:ダイヤモンドオンライン)

 藤田社長はこう語っています。最近では株価が低迷したりしています。いいタイミングでの表明なのかもしれません。会社が数字を追うようなことは避けるための英断だったのでしょうか。

 日本のインターネット黎明期に創業したIT企業の創業者たちがいまだに要職に就き、その企業を牽引しています。しかし、世界的な企業になるとの野望を達成できていないようです。それぞれが何かしらの問題を抱え、また不祥事や不正が露見するようにもなってきました。

 

 

私は一生懸命に頑張って会社を立派にし、数十億円の利益が出るようになった。そのとき、これはオレがやったんだ、オレの才能で、オレの技術で、オレが寝食を忘れて頑張ってきた.......(中略)....才能をオレが持っていたから京セラが上場し、大変な利益を上げるようになった....(出所:日経ビジネス

『オレがオレが』『もっともっと』と際限もない欲望を膨らませてはいけないと稲盛氏は語ったようです。「エゴが増大して、自分でも、そして周囲からも手がつけられなくなったとき、経営者は判断を誤り、社員の心も離れていく」と言いたかったようだといいます。

半導体が勃興していくには、ある人間が必要だった。たまたまそれが「稲盛和夫」であっただけで、ほかの存在が「稲盛和夫」と同じ才能を持っていれば、その人が代行していてもよかったはずだ。私が一介のサラリーマンであってもおかしくはない(出所:日経ビジネス

 企業の中で、目新しい変化が乏しくなり、マンネリに陥り成長に翳りがあるようなら、代替わりを考えてみるのがいいのかもしれません。そうすれば自身の晩節を汚すことなく、また違った分野での活躍もあるのかもしれません。

 

「参考文書」

SOMPO、桜田CEOが退任へ 若返り、ビッグモーター問題も | 共同通信

 

社会に蔓延するようになった不祥事に不正、改めて問い直すガバナンスの重要性

「不祥事」に「不正」、企業ばかりでなく、政界をはじめ色々なところで露呈するようになりました。低成長の時代になっているにも関わらず、まだかつてのような成長を夢見て、数字をKPIに仕立てそればかりを追い求めます。こうしたことが不正、不祥事を生む温床になっているのではないかと言われていました。

 無理に数字を追えば道理が引っ込み、ついつい.......。企業統治、ガバナンスの失敗といってもいいのではないでしょうか。産業界ばかりでなく、他の業界における「不祥事」も、元を正せば同じなのかもしれません。「数字」おカネばかりを追いかけたことの弊害といってよさそうです。

 

 

金融業界は上場経営者に四半期ごとの業績を増収増益であることを求めます。ROE自己資本利益率)の数字も改善することを求めます。自身も年間100社の取材で、常にそれを求めてきました。(出所:NEWSPICKS)

 こうも荒んだ社会を目の当たりにするようになってのことか、こうした数値至上主義だった専門家たちの意見にも変化が現れているようです。

【※更新】超富裕層が多い国・都市ランキング 日本は世界4位~失われた30年で「失ったもの」とは~

「足元の業績に答えることがゴールになっている企業が多い」...... この専門家は講演会ばかりでなく、上場企業の社外取締役も務めているそうで、そうした立場で、経営者たちに求めていたといいます。これが経営者の思考回路を固めさせることになっていたのではないかといいます。これは金融業界においても同様で、企業を発展させるためと良かれと思っておこなっていたといいます。こうした風潮で数字が独り歩きするようになり、ガバナンスが軽視されるようになっていったのでしょうか。

自身は、これまで足元の業績やROEの数字を求めてきましたが、それだけでなく経営者がリスクを取れる意思決定ができるようサポートできるように、多くの現場を知り、学びを深めたいと思うようになりました。(出所:NEWSPICKS)

 ようやくミスリードに気づいたのでしょうか。「信頼を積み重ねる経営」について語り始めています。産業廃棄物処理業者石坂産業を例に挙げています。

dsupplying.hatenablog.com

 

 

「ガバナンスとは具体的に何をすれば正解なのか?」、ガバナンスの重要性にようやく気付いたようです。偏った知識による専門家が、戦略や事業計画、経営を吹聴してきたことに恐ろしさを感じたりします。

 資産運用大手の大和アセットマネジメントが2024年度から、人的資本や顧客満足度など企業の「無形資産」に着目した投資信託を投入するそうです。

来年度にも日本版ドラッカー投信 人的資本重視―大和アセットマネジメント:時事ドットコム

  米国の経営学ピーター・F・ドラッカー氏が提唱した企業分析手法を採用し、財務情報から見えにくい成長力を探り当てるといいます。昨年12月に同様の基準で選定した米国株ファンドは、基準価額は45%上昇したそうです。

「数字」は結果にすぎないのでしょう。そのプロセスをマネジメントしてこそ結果が現われ、それが数字によって表現されるということのはずです。その数字を良くもするのも悪くするのもガバナンス次第ということではないでしょうか。

 ガバナンスとは、一般的には、企業経営において公正な判断・運営がなされるよう、監視・統制する仕組みといいます。それを活かすのも人次第ということでもありそうです。専門知識ばかりでなく、優れた人格が求められるのではないでしょうか。

 

「参考文書」

「個と企業」を新時代へ誘う人的資本経営・前編 「人的資源」と「人的資本」には明確な差がある | phronesis | 東洋経済オンライン

低PBR改善策開示まだ3割 来年も日本株の推進力に - 日本経済新聞

相模屋に数値目標がないのは「ないほうが売れるから」です:日経ビジネス電子版

ガバナンスとは?意味や具体的な施策、事例をわかりやすく解説 | 記事・トピックス一覧 | 法人のお客さま | PERSOL(パーソル)グループ

 

 

万博が目指したはずの「SDGs」「Society5.0」、実現できそうにない人間中心の社会

 IOC 国際オリンピック委員会が、冬季五輪・パラリンピック開催候補地を2030年はフランスアルプス地方、34年は米国ソルトレークシティーに絞り込んだそうです。また、38年大会はスイスと独占的に協議することになったそうです。

札幌オリンピック招致は事実上白紙に IOCと日本、蜜月終わる - 日本経済新聞

一時は30年の本命とみられた札幌市は東京五輪汚職・談合事件の影響もあって急失速し、34年に仕切り直す道も早々に絶たれた。 (出所:日本経済新聞

 不幸中の幸いのような気もします。今の大阪・関西万博のゴタゴタを見ていると、とても適正に開催できそうには思えません。巨大イベントを運営する能力を失い、日本の実力が急速に低下していそうです。このまま信用を失い、世界からも見放されかねないのではないかと心配になります。

 

 

大阪・関西万博

開幕500日前、費用はすでに2倍近くに膨れ上がり、日本の納税者全員に飛び火している。参加国や企業にとっては、これは逆宣伝になりかねない。(出所:東洋経済オンライン)

 問題を上げたらきりがないようです。「参加者のためのホテルの部屋不足」、「万博のためのスタッフ不足」、「夢洲への輸送の難しさ」……。

参加国から不満も「大阪万博」で見えた日本の問題 日本には万博を開催する余裕はすでにない | 建設・資材 | 東洋経済オンライン

大阪万博は、妻に隈研吾の家を約束した夫が、口座に100万円しかないことに気づき、妻に言うのをためらっているようなものだ」、「日本は戦争に負けるとわかっていながら真珠湾を爆撃した。勝つためではなく、ベストを尽くすためだった。今回も同様のことが起きている。止めるべきだとわかっていても、誰も中止の責任を取る勇気がない」、外国人コンサルタントロビイストたちがそうした声があげているそうです。

 開催まで500日となった11月30日、入場チケットの前売り販売が始まったといいます。こちらの準備は万全のようですが、この状況下でどこま販売は伸びるのでしょうか。

 

 

Society5.0

 大阪・関西万博の開催が決まり、テーマに「SDGs 持続可能な開発目標達成への貢献」「Society5.0の実現」などが上がり、万博会場がその展示場になることに期待したものです。

開催目的 | EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト

「Society5.0」、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会と定義されています。IoT(物のインターネット)、AI(人工知能)、ロボティクス、ビッグデータ、バイオテクノロジーといった技術により様々な地球規模の課題が解決されていくといいます。

 しかし、それとは裏腹に、次々と問題、課題が上がっています。これでは「Society5.0」が目指す人間中心の社会には近づいていきそうにありません。

大阪万博、500日前にこの状態で本当に開催できるのか(前編)「理念もマネジメント能力もない」という実動部隊 問題続きの背景に三つの構造的要因 | 47NEWS

 時代が変化し、夢みた「Society5.0」はもうこの時代に合わなくなっているような気もしますし、その理想を推進する体制に問題を抱えているのかもしれません。高貴な目標もエゴが表面化すれば、もめごとが多くなってしまうのでしょう。

膨らみ続けて3187億円に…大阪万博に「身を切る改革」は必要ない? もっと膨らむことはないのか:東京新聞 TOKYO Web

 政界が政治資金パーティー問題で揺れています。その影で裏金作りがあったのではないかとささやかれています。今の日本の病巣のような気もします。

 万博開催までに問題が解決され、思い描いた通りの万博となるのでしょうか。

 

 

「参考文書」

30年フランス、34年ソルトレーク開催へ 札幌は38年も厳しく―冬季五輪:時事ドットコム

大阪万博開催まで"500日" チケット販売開始 - Impress Watch

「1970年大阪万博」に「全人口の半分以上」が来場したワケ(池上 彰) | 現代新書 | 講談社(1/3)

【初心者向け】Society 5.0を徹底解説!定義・技術・事例まで|ビジネスブログ|ソフトバンク

 

 

関心事は「賃上げ」、国の支援と実現可能性

 国で賃上げをさかんに議論されるようになり、税制などについても検討がまたはじまっているようです。それが一助となって、持続的な賃上げが実現できればよいのでしょうが、そう上手く成果がでるのでしょうか。

法人税率引き上げ、自民税調で浮上 投資促進の企業減税の原資に | 毎日新聞

 現下の状況を鑑み、企業がとっとと賃上げすればいいのではないかと思いますが、なかなか進まないのが現実のようです。

 

 

 賃上げについて多くの人が語るようになっています。それだけの関心が高いテーマということなのでしょう。

「新しいことをなにもやっていないのだから当たり前」「イノベーションを進めて、1%でも付加価値を高めていくしかない」と、デービッド・アトキンソン氏といいます。

【アトキンソン】給料は上がらない。「上げる」のだ

「従業員は羊」「得してきたのは経営者だけ」、従業員と経営者双方に厳しく注文を付けています。

 経営者はイノベーションを推進しようとせず、インフレでも負担を従業員に押し付けてやり繰りしてしまう。そんな会社なのに従業員は会社を辞めない、こういう不条理がまかり通ることが、病巣ではないかといいます。

 諸外国のようにもっと従業員が声を上げてもいいのではないかとの意見もあります。

部下に「給料上げて」と言われたら

「人事評価制度」があるのだから、これを上手に活用すればよさそうなものですが、そうなかなかうまくできていないのでしょうか。

「テキトーな目標設定」が横行することが問題を生むといいます。適切な目標設定の仕方を知らないのではないかと指摘し、目標設定は「SMARTに」といいます。具体的に、効果測定ができて、達成可能性が高く、それでも部門目標との適合性があり、納期とスケジュールが明確になっている、そんな要素が含めるといいそうです。

 

 

 入社当時の課長さんが、あれよあれよという間に出世していきました。だいぶ時をおいて再開したときに、「達成できない予算を作るから評価されない」との一言を聞いてはっとしました。ついつい高望みして達成できない計画を作っていたものだと反省したものです。

 上司との面談ではお互いが納得できる形で実現可能な計画を作る。その上、期末には目標を上回る結果が出るようにしていくのがいいのかもしれません。いずれにせよデータ分析など事前準備を怠りなく進め、また期中も目標以上の結果が出るよう努めるという意識をもつようにすればいいのではないでしょうか。業績の上振れは会社にとってもプラスですし、それを還元していくれというのは正当な権利のような気もします。

今のままでは日本の未来は決して明るいとは言えないが、アトキンソン氏は意外に楽観的でもある。彼が知る日本には、変化に対して臆病であり、ギリギリまで抵抗を続けるが、ある転換点を超えた瞬間に一夜にしてこれまでのこだわりを捨て、新しいものに飛びつくような国民性があると言う。江戸末期に尊皇攘夷派が一夜にして開国派に転向したり、戦後、昨日まで天皇陛下万歳を声高に叫んでいた天皇主義者が一夜にして我先にと民主主義者に転向してきた歴史をわれわれは身をもって知っている。(出所:VIDEO NEWS

「ある日突然転向する変わり身の早さ」、それが日本人の特性といいます。それを活かして、手遅れになる前に実行できるかどうかにかかっているとアトキンソン氏はいいます。

 

「参考文書」

【全社員必読】不満爆発‼「揉める人事評価」を救う8の視点

日本が東アジアの貧乏小国に堕ちるのを防ぐための唯一の処方箋はこれだ(デービッド・アトキンソン小西美術工藝社社長) -マル激