「不祥事」に「不正」、企業ばかりでなく、政界をはじめ色々なところで露呈するようになりました。低成長の時代になっているにも関わらず、まだかつてのような成長を夢見て、数字をKPIに仕立てそればかりを追い求めます。こうしたことが不正、不祥事を生む温床になっているのではないかと言われていました。
無理に数字を追えば道理が引っ込み、ついつい.......。企業統治、ガバナンスの失敗といってもいいのではないでしょうか。産業界ばかりでなく、他の業界における「不祥事」も、元を正せば同じなのかもしれません。「数字」おカネばかりを追いかけたことの弊害といってよさそうです。
金融業界は上場経営者に四半期ごとの業績を増収増益であることを求めます。ROE(自己資本利益率)の数字も改善することを求めます。自身も年間100社の取材で、常にそれを求めてきました。(出所:NEWSPICKS)
こうも荒んだ社会を目の当たりにするようになってのことか、こうした数値至上主義だった専門家たちの意見にも変化が現れているようです。
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「足元の業績に答えることがゴールになっている企業が多い」...... この専門家は講演会ばかりでなく、上場企業の社外取締役も務めているそうで、そうした立場で、経営者たちに求めていたといいます。これが経営者の思考回路を固めさせることになっていたのではないかといいます。これは金融業界においても同様で、企業を発展させるためと良かれと思っておこなっていたといいます。こうした風潮で数字が独り歩きするようになり、ガバナンスが軽視されるようになっていったのでしょうか。
自身は、これまで足元の業績やROEの数字を求めてきましたが、それだけでなく経営者がリスクを取れる意思決定ができるようサポートできるように、多くの現場を知り、学びを深めたいと思うようになりました。(出所:NEWSPICKS)
ようやくミスリードに気づいたのでしょうか。「信頼を積み重ねる経営」について語り始めています。産業廃棄物処理業者石坂産業を例に挙げています。
「ガバナンスとは具体的に何をすれば正解なのか?」、ガバナンスの重要性にようやく気付いたようです。偏った知識による専門家が、戦略や事業計画、経営を吹聴してきたことに恐ろしさを感じたりします。
資産運用大手の大和アセットマネジメントが2024年度から、人的資本や顧客満足度など企業の「無形資産」に着目した投資信託を投入するそうです。
来年度にも日本版ドラッカー投信 人的資本重視―大和アセットマネジメント:時事ドットコム
米国の経営学者 ピーター・F・ドラッカー氏が提唱した企業分析手法を採用し、財務情報から見えにくい成長力を探り当てるといいます。昨年12月に同様の基準で選定した米国株ファンドは、基準価額は45%上昇したそうです。
「数字」は結果にすぎないのでしょう。そのプロセスをマネジメントしてこそ結果が現われ、それが数字によって表現されるということのはずです。その数字を良くもするのも悪くするのもガバナンス次第ということではないでしょうか。
ガバナンスとは、一般的には、企業経営において公正な判断・運営がなされるよう、監視・統制する仕組みといいます。それを活かすのも人次第ということでもありそうです。専門知識ばかりでなく、優れた人格が求められるのではないでしょうか。
「参考文書」
「個と企業」を新時代へ誘う人的資本経営・前編 「人的資源」と「人的資本」には明確な差がある | phronesis | 東洋経済オンライン
低PBR改善策開示まだ3割 来年も日本株の推進力に - 日本経済新聞
相模屋に数値目標がないのは「ないほうが売れるから」です:日経ビジネス電子版
ガバナンスとは?意味や具体的な施策、事例をわかりやすく解説 | 記事・トピックス一覧 | 法人のお客さま | PERSOL(パーソル)グループ