Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

経済3団体の新年会は自粛ムード、みなの願いはただひとつ「賃上げ」

 経済3団体の新年会が開催されたそうですが、能登半島地震羽田空港で起きた事故を受けて、金屏風前の出迎えやアルコールなどを自粛、祝賀ムードはなかったといいます。また、経団連の十倉会長は、被災地支援を呼び掛けたそうです。

「極めて重要な1年」、賃上げの流れ後戻りさせず成果を形に-首相 - Bloomberg

 この新年会に参加した首相は、「所得と成長の好循環が本格的に動く新しい経済ステージに向けて、物価上昇を上回る所得増を実現しなければならない」と語り、経済界に対し、力強い賃上げへの協力を要請したといいます。

 

 

 新年会後、記者会見に臨んだ経済3団体の代表も口をそろえて「賃上げ」に言及し、デフレからの脱却に取り組む姿勢も表明したようです。

 政府、日銀、経済界、そして、労働界、みなが願いをひとつにしているようです。これなら期待以上の賃上げが実現できそうです。それともいつものように蓋を開けたら、掛け声だけで終わっていた、そんなことにならないことを願うばかりです。

 大企業の一部は賃上げを表明し始めています。中小企業での賃上げがどこまで進むのかにかかっているようです。

日本企業が抜け出せなくなった貧乏"症"の正体 いつのまにか儲からない事業が氾濫している訳 | 経営 | 東洋経済オンライン

 掛け声で雰囲気を作り出すことも重要なのでしょう。現実、どこまで賃上げが進むことになるのでしょうか。実現する手段を見出し定着させ、これを常識にしていくことはできるのでしょうか。

 目標を定めて頑張ったのに、努力が空回りして違う方向に進んだり、結果がでないこともあるのでしょう。今、何が必要なのか、それを見極めることが肝要なはずです。

 自然には自己治癒力があるといいます。企業もまた同様で、機転を働かせ、ちょっとの工夫でそれを回復させることができることもあるそうです。

 

 

 ユニクロも賃上げに積極的な企業のひとつなのでしょうか。柳井社長は、会社を飛躍させようとするのなら、根本的に前のことを否定しないといけないといいます。同じ方法を繰り返していれば、飛躍どころかどんどんダメになっていくといいます。

栗山英樹 × 柳井正 「世界一を目指す」ためのリーダー論とは | NHK | ビジネス特集

仕事をどういうふうに変えたらいいのか。組織も全部それによって変えて、自分ができることと、全員が協力しないとできないでしょう。(出所:NHK

 もう全部を別会社のように変えていかなければならないと柳井さんはいいます。

 さてどれだけの企業がこれまでの常識を変えて、持続的な賃上げを実現することができるのでしょうか。

経営は科学だ。事実に基づいて分析すれば必ず正しい答えが出せる」――成長期から成熟期に移ろう日本に、海外コンサルティングたちがこの言葉を投げかけたそうです。

 この時期、真面目に経営に向き合った企業だけがその後伸びることになったといいます。言い古された言葉にも聞こえますが、そこにヒントがあるように思います。

 

 

「参考文書」

経済3団体の新年会 祝賀ムードは自粛 地震被災地を支援の考え | NHK | 令和6年能登半島地震

『会社という迷宮』石井光太郎氏と語る、経営の本質―その1 コンサルティングとは何か。 - Executive Foresight Online:日立

ファーストリテイリング柳井正会長「世界で賃上げ」 企業成長に直結 - 日本経済新聞

 

 

株価下落で始まった辰年の大発会、波乱の年始、デフレ経済を脱却できるのか

 辰年大発会 2024年最初の東京株式市場での取引は値を下げてのスタートとなりました。米国での株価下落に加え、年始早々の地震や事故の心理的影響もあってのことのようです。

東証で大発会、一時700円超下落…能登半島地震・羽田空港事故で「打鐘」見送り : 読売新聞

 波乱の新年の幕開けとなりましたが、昇り竜のようになって日本が健全化し、活気を取り戻し、デフレから完全脱却することはあるのでしょうか。

 

 

 日銀が持続的な賃上げに期待を寄せ、それ次第では金融政策の見直しがありそうです。政府も経済界も異口同音に、賃上げに言及します。

経団連会長、賃上げ「24年で終わらず」 3団体が所感 - 日本経済新聞

 みなが口をそろえて同じことを言い、意見が一致しているようです。しかし、まだそれが完全に定着するとは読み切れない面があるのでしょうか。不思議なことです。口から出る言葉はまやかしで、内実が伴わないから、信用されていないということなのでしょうか。

 政府自民党は裏金作りに精を出し、企業がそこに貢いできたように見えてしまいます。そんな悪習を改めることができずに、持続的な賃上げはできるのでしょうか。

「最も強く日本を覆っているのは少子高齢化への不安」と経団連会長は述べ、医療や年金を含めた制度改革を政府に強く働きかけていく考えを示したそうです。社会保障制度の早期の改革は必要なのかもしれませんが、まずは政治改革を要求し、利権政治に決別し、政治の無駄を排除し、国民のための政治を強く求めるべきのような気がします。また企業自身もステークホルダーすべてに等しく貢献できるよう変革すべきなのでしょう。そうできれば経済も自然に好循環となって、業績改善も進みそうな気がします。

 

 

「賃上げを人への投資として、ノルム(社会通念)にしなければならない。ノルムに反する企業は評価されない環境づくりが大切になる」と、経済同友会の代表幹事を務める新浪サントリー社長が述べたといいます。それを実行するのは誰なのでしょうか。経済同友会が先頭に立って、それを実行していくべきのような気がします。いつまでもダメな政治に頼ったところで、それが実現するまでにはとてつもない時間がかかることが明らかになっているのではないでしょうか。

「デフレ経済からの完全脱却、経済好循環を実現していくチャンスにしなくてはならない」と、日本商工会議所の小林会頭は年頭所感でそう述べたそうです。

 政府も経済界もみなが同じことを言い、意見が一致しています。日本が「衰退途上国」から脱するため、一体誰がこれを実行するのでしょうか。間違っても政府自民党であるということはなさそうです。

 

 

「参考文書」

デフレ心理「完全脱却を」 岸田首相が年頭所感:時事ドットコム

恐怖を感じる公正取引委員会の「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」 | 日経クロステック(xTECH)

「弱い日本」を悲観する人は、世界を知らなすぎる 治安も食事も最高な日本で生きていく"リスク" | ワークスタイル | 東洋経済オンライン

「東京がすごかった時代」と既に始まっている衰退 富裕層のための再開発に哀愁が漂う | 政策 | 東洋経済オンライン

情報BOX:能登半島地震による企業への影響 | ロイター

 

深刻なダイハツの認証不正問題、気になる真因、その再発防止策

 ダイハツの全車種が出荷停止になり、生産工場も稼働停止に追い込まれました。認証試験での不正が理由です。あってはならないことが起こってしまったようです。ダイハツへの信頼が失墜、社会に大きな影響を与えています。

「別会社になるくらいの抜本的改革が必要」トヨタ豊田章男会長がダイハツの不正問題に言及 - 自動車情報誌「ベストカー」

 親会社のトヨタ自動車も事態を深刻に受け止めているようです。トヨタ豊田章男会長は、絶対にあってはならない行為とし、いまダイハツ車へ乗るユーザー、納車を待っていたユーザー、事態を知らされていなかった販売店のスタッフやダイハツ従業員へ深く謝罪するといい、「迷惑をおかけして本当に申し訳なく思います」と語ったといいます。

 

 

「世界中の人々に、1mm・1g・1円・1秒に拘ったダイハツらしい商品を届けることを使命としています」、このスローガンが、いつしか社内で曲解され、不正へとつながっていったようです。

ダイハツ不正、スローガンの「1秒へのこだわり」が社内で曲解…第三者委「経営陣はリスク察知が必要」 : 読売新聞

「スローガンは企業である以上問題はないが、経営陣はリスクを察知する必要があった」と第三者委員会は指摘し、経営陣の責任を強調したそうです。

 ダイハツは、トヨタグループにあって、トヨタの小型車戦略を担ってきました。また経営トップもトヨタ自動車から受けれいたといいます。そうであるにも関わらず、その現場においては、トヨタ生産方式「TPS」が活かされていなかったのでしょうか。

  今後、「TPS」を徹底させ、組織風土を変革させるいくことになるのでしょうか。

 その「TPS」は「IE:インダストリアル・エンジニアリング」を基礎として、そこから発展したとものと言われます。

IE」は、最適ワークシステムを志向するエンジニアリング・アプローチで、人間、機械、ものおよび情報を総合し、最適(最経済)なワークシステムを設計・確立することをいいます(引用:「IEの基礎」藤田彰久)。

IEは改善技術」「IEの目的はコストダウン」との見方を「IEの基礎」の著者藤田は否定しないものの、そう捉えてしまうと、研究開発やマーケティングシステムに関わる課題、収益増大志向の課題、経営レベルでの課題などは扱わないということになりかねないといいます。

 現状の見直しにはじまる「改善」は重要としつつも、エンジニアリングである以上、本来機能は「設計」にあり、現状に立脚しながらも、他方では自由な発想からの飛躍や転換を試みるものであるとし、「最適システムを志向する」とのニュアンスの中に、「不断の、そして無限の改善」が含まれるとしています。

 

 

 また、藤田が説く「最適」という言葉には「経済性」が含まれるといいます。ただ「経済性」という言葉を狭く解釈すると、利益さえ得られれば環境問題や人間性尊重の問題はどうなってもよいというような最近にみられるような類の発想になることから、その誤解を避けるために「最適」という言葉を用いているといいます。

IEの基礎

IEの基礎

Amazon

「TPS」の基礎となっている「IE」を再考してみると、ここ近年にみられるようになった諸課題もシステムが持続的に改善されずに陳腐となって、時代に適合しないまま運用するために問題となり、それが不祥事や不正に発展しているのではないかとも推測できます。

 元来、システムは「仕事中心のシステム」と「仕事をする人間中心のシステム」を接合して成り立つものでなければならないといいます。システムも目的に対する手段に過ぎず、真に必要なものは正しい哲理組織を貫く共通理解、またタイミングよく行動することだと藤田は指摘します。さらにこのシステムが効果を上げ生産性を改善していくためには、トップの理解と意欲、またそれによってもたらせる全社的な空気づくりが何よりも大切といいます。

 新しいテクノロジーの登場などによる環境変化やそれに従って移ろいゆく人の心理を受け入れ、それに合わせて不断に改善、改革を続けていくことが求められるということでもあるのでしょう。

 

 

 トヨタ自動車では「TPS」は生産現場が主体で、事務や技術系の職場に導入されてまだ3~4年といいます。

 何が正常かよく分からない。納期がときどき変わるし、上の気分によって変わる場合もある。そういう職場においては、「異常管理」ができないと豊田会長は指摘します。

異常管理=正常ではないと分かるから、異常だけ管理すればいいのです。そうすると現場で、「あ、間違えた」というのが分かるから、管理者に相談しやすい。それができているのは、技能系職場なのです。(出所:Car Watch

 少々意外なような気がします。異常管理ができない職場において、異常管理ができるようにするのがまた「改善」の醍醐味のような気がします。技能系職場と同様にワークフローを定義し、定常業務を標準化(必要に応じてテクノロジーを活用して)させることができれば、異常管理できそうな気がします。豊田会長がいうるような「納期がときどき変わる」「上の気分によって変わる」これが異常であって、問題なのではないでしょうか。これを管理・マネージし、それを次の改善のネタにしていく。それを繰り返していけば、いずれ異常や問題は減少し、事務・技術系職場にも余裕が生まれることになっていくのでしょう。この余裕時間を時間を使って、最新テクノロジーを学んだり、自己を研鑽するための学びにあて「正しい哲理」を探求してみるのもいいのかもしれません。これらが次の高度な改善につながっていくように思います。

「TPSの本当の目的は仕事を楽にすること」と豊田会長はいいます。「楽(らく)」と書いて、「楽(たの)しい」となります。「やっている仕事は楽しいのか?」「まず自分が楽しくしよう」といいます。

 そういう職場になれば、誰も好んで不正や不祥事に手を染めることは無くなっていくのではないでしょうか。

 

「勤勉な国」日本で組織的不正が起こる根因 「アイヒマン実験」が教えてくれる教訓 | リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン

 

「参考文書」

トヨタ 豊田章男会長にダイハツの認証不正問題について聞く 「174項目をしっかり説明していく。間違えた認証についてはやり直していく」 - Car Watch

ダイハツ不正生んだ風土 「で、どうするの?」現場追い込む管理職:日経ビジネス電子版

ダイハツが全車種出荷停止、不正64車種に拡大 「経営陣に責任」 | ロイター

<社説>ダイハツ不正 親会社の責任も重大だ:東京新聞 TOKYO Web

 

続くもめごと、目立つ国の粗雑な対応、膨れるばかりの国家予算

 もめごとがつきません。沖縄では辺野古基地の地盤改良工事ををめぐって、国と対立し裁判沙汰になっています。この裁判の判決が出て、国が沖縄県に代わって工事を承認する「代執行」することになるそうです。

「工事の申請を承認せずに放置することは社会公共の利益を侵害する」と、福岡高等裁判所那覇支部判決理由をそう説明したといいます。

 難しそうな問題です。あまり時間をかけるべきなのかもしれません。しかし、国の手続きが荒っぽく強権的ではないかもと感じます。

 

 

東電柏崎原発運転禁止解除へ

 新潟県にある東京電力柏崎刈羽原発は、テロ対策の不備で長く運転禁止となっていましたが、原子力規制委員会は追加検査を実施した結果、改善が確認されたとして、運転禁止命令を解除するそうです。

柏崎原発、27日にも運転禁止解除 東電社長と面談、改善確認―再稼働時期は見通せず・規制委:時事ドットコム

 原子力規制委員会は、東電に原子力事業者としての適格性があることも確認したそうです。ただ原発の再稼働には、地元自治体の同意も必要といいます。もめごとにすることなく、地元が納得する形で合意が形成されるべきなのでしょう。

 東京電力は、福島での原発事故後、経営危機に陥り、実質的に国有化されています。

膨張する国の予算、進まない歳出改革

 国の2024年度予算案が一般会計の総額で110兆円超になるといいます。「歳出3兄弟」と呼ばれる「防衛費増額」、「少子化対策」、「GX投資」などが予算に計上され、歳出増加圧力が増すことになったそうです。

歳出改革が進まない2024年度予算案:金利上昇が高める財政リスク(ドーマーの条件)|2023年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

 防衛費増額、少子化対策については、財源確保の手段が確定しない中で、歳出が進められることになるそうです。歳出改革は一向に見えず、財政赤字ばかりが拡大していくことになるといいます。

 口では丁寧な説明といいますが、説明責任が果たされることはありません。このままでは負担増のリスクばかりが高まっていきそうです。政府の粗雑な対応が目立ちます。

 

 

半導体

 政府は、半導体の国内生産体制の強化を推進しています。2023年度の補正予算に約1兆9800億円を盛り込んだといいます。昨年度の1兆3000億円から大幅な増額となり、半導体受託製造最大手のTSMC 台湾積体電路製造や、次世代半導体の量産を目指すラピダスの工場整備費用が充てられる予定といいます。

日本の半導体産業の未来 官民連携が加速 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

日本の優れた技術と、加速する官民連携や国際連携が生み出すイノベーションが、日本の半導体産業の未来を切り拓き、日本経済が好循環に向かう後押しとなることに期待がかかります。(出所:Forbes)

 半導体製造装置・材料の展示会「SEMICON Japan 2023」が12月中旬に東京ビッグサイトで開催され、自民党甘利明氏が登壇し、「基幹部品である半導体を供給できる国と、供給を受ける国に二分される。すなわち、生殺与奪の権を握る国と握られる国だ。国内で先端半導体を製造できる可能性が高いのであれば挑戦しなければいけない」と、ラピダスの支援の意義を強調したそうです。

 地政学リスクが高まっているのが現実かもしれませんが、ずいぶん強権的な発言のようにも聞こえます。こうした態度がさらに地政学リスクを高めていきそうな気もします。もう少し智慧を働かせて発言はできないのでしょうか。

 

 

 自民党安倍派と二階派政治資金パーティーを巡る問題が泥沼化、疑獄化していきそうです。多くの国民が不満を口にし、「議員失格だ」など様々な声があげ、あきれています。

「議員失格」「変わらない」 有権者ら、あきれ顔―派閥パーティー問題:時事ドットコム

 首相は相変わらずのようです。この問題でも説明責任を果たせそうにありません。それに加えてアクションもスローのままです。こんな状態がいつまで続くことになるのでしょうか。

 米国では、コロラド州最高裁が、大統領選で返り咲きを目指すトランプ前大統領について、同州での出馬資格を認めない判決を下したそうです。

トランプ氏の出馬認めず 米大統領選、反乱関与で資格なし―コロラド州最高裁:時事ドットコム

2020年大統領選の敗北を覆そうとしたトランプ氏の言動が、21年1月の連邦議会襲撃事件につながったと指摘。国家に対する反乱や暴動に関与した者は「国または州の官職に就けない」と規定する合衆国憲法修正14条3項が、同氏に適用されると判断した。(出所:時事ドットコム

 判決は「トランプ氏は大統領失格であり、州が大統領選予備選の候補者として彼を記載することは違法」と断じたそうですが、トランプ氏は「速やかに連邦最高裁へ上訴するとともに、非民主的な判断の差し止めを求める」と述べたそうです。

 トランプ氏の全米50州での出馬可否の判断は連邦最高裁に委ねられることになるといいます。米国共和党も異常事態が続いているようです。

 

 

「参考文書」

沖縄 辺野古改良工事 県に承認命じる 国の「代執行」が可能に | NHK | 基地問題

 

進まない医療DX、迷走する診療報酬改定、マイナ保険証の利便性ばかり強調する政府

 国民負担率が高止まったまま国の改革は進みません。政府は、少子化対策、防衛力強化など様々な理由をつけては増税のチャンスを窺うばかりで、改革はおざなりのままです。

 さらにそこに与党自民党最大派閥安倍派問題が露呈しました。このどさくさに紛れて政府が何をしでかすのか、不安を感じます。

 より一層、注意深く監視する必要がありそうです。声を上げなければ、ますます悪い方向へと導かれてしまう恐れもありそうです。

 

 

デジタル敗戦

「デジタル敗戦」、首相はそう認め、行政DX デジタルトランスフォーメーション、デジタル行政改革を進めるとしましたが、その後、進捗はあるのでしょうか。

 行政の効率化をより一層推進し、経費節約に努め、その節減計画を明らかにすることが何よりも優先順位が高いのでしょうが、その気配すらありません。

 それに加えて、行政を司る霞が関では、人材流出が続き崩壊の兆しさえあるといいます。そこに改革のメスを入れなければ、より行政が遅滞するようになりそうです。このままでは今の政府のように安直な政策が横行しそうな気がしてなりません。

マイナ保険証と医療DX

 あれだけもめたマイナ保険証は話題になることもなく、紙の健康保険証は廃止されることになりそうです。

マイナ保険証、利用低迷 意義強調も浸透遠く:時事ドットコム

 一方で、未だ医療現場での患者のマイナ保険証の利用は伸び悩んでいるそうです。10月の実績はわずか4.5%だったそうです。一連のトラブルで国民に懸念が広がったことが影響しているといいます。

「より良い医療を提供するため、医療DXは進めなければならない」とマイナ保険証の意義を河野デジタル相は強調したそうです。「実際に使ってもらえば意識は変わる。一人でも多くの人に利便性を理解してもらうよう、地道に取り組むしかない」と厚生労働省幹部は語っているそうです。

「医療DX」とは一体何なのでしょうか。

「診療報酬改定DX」デジタル時代に対応した診療報酬やその改定に関する作業を大幅に効率化し、システムエンジニアの有効活用や費用の低廉化を目指すことをいう。これにより、医療保険制度全体の運営コスト削減につなげることが求められている。(出所:厚労省

(資料:厚労省「医療DXについて」

 

 

マイナカードの利便性というけれど

「世の中を便利にしていくデジタル庁」と、河野デジタル相はいいます。

河野太郎氏、「保険証廃止延期は得るもの少ない」 DXで壊す霞が関の常識:日経ビジネス電子版

アナログのままでも便利にできているじゃないかという感覚ですね。日本経済と同じで、世の中が足踏みしてしまっている。もっと便利になれるのに「今まで便利だったからそれでいいじゃないか」という思い込みや先入観(が強かった)。何かが変わるのは怖いし、今は不便を感じていない。だから、とりあえずこのままでいいという考えが何となくあるのではないでしょうか。(出所:日経ビジネス

 マイナンバーカードの利便性の具体例を語っています。そうじゃないような気がします。

 便利の上にさらに利便性を追求するのもいいのかもしれませんが、今ほんとうに求められているの行政の効率化であって、それによってどれだけ行政におけるムダが省け、どれだけ税金が有効活用でき、増税をしなくても回すことのできる行政、社会保障制度に改革することが求められているのではないでしょうか。

 その計画と期待効果がアピールされるべきなのでしょう。カードによる利便性は改革からもたらされる便益にすぎません。それが本質ではないような気がします。本質で語ってはじめて国民の不安が解消していくのかもしれません。

 

 

診療報酬の改定

 来年度の診療報酬改定について、政府は医師や看護師などの人件費などに回る「本体」部分について0・88%引き上げる方針を固めたといいます。

診療報酬「本体」0.88%上げ、政府方針…「薬価」は1%引き下げで調整し全体ではマイナス改定 : 読売新聞

 薬代にあたる「薬価」部分は1%程度の引き下げで調整しており、診療報酬全体ではマイナス改定となる見通しといいます。

 これに先立ち、財政制度等審議会は診療所の診療単価を5.5%程度引き下げる提言をしていたといいます。

診療所は儲けすぎ? 病院や中小企業を上回る経常利益率8・8%、国民負担軽減へ提言 - 産経ニュース

「状況が良い診療所の収益を守るのか、勤労者の手取りを守るかの国民的な議論をお願いしたい」と、財政審分科会の会長代理はそう語っていたといいます。

 こちらも問題の本質にたどり着くことはなく、医療DXの効果が反映される気配もないようです。ただ利権を巡る駆け引きを続けているように見えてしまいます。

 いつになったら本当の意味での改革が始まるのでしょうか。与党自民党の裏金問題からして、この政府においては無理そうですし、その能力もなさそうです。国が変わることがあるとしたら、旧態依然の自民党政治が終わってからなのでしょうか。

 

 

「参考文書」

誰がための診療報酬改定か 「国民負担」再確認の契機に - 日本経済新聞

 

裏金問題に揺れる政府、国の環境戦略は健全なのだろうか

 裏金問題でゴタゴタする政府が、GX グリーントランスフォーメーション実行会議を開き、GX経済移行債の発行による調達資金を活用した新たな10兆円の支援策を示したそうです。

GX投資、製造業に1兆円超 水素普及には3兆円―政府:時事ドットコム

 鉄鋼や化学など製造業のエネルギー転換には10年間で約1兆3000億円を支援。次世代燃料の水素普及に向け、安価な石炭や石油など既存燃料との価格差の補助に15年間で約3兆円を投じる方向だ。(出所:時事ドットコム

 裏金問題で様々な事実が露呈しています。政府発案で、大切なおカネが有効利用されることがあるのかと心配になります。

 

 

 気候変動の影響と思われる異常気象が頻発するようになっています。夏が異常なまでに暑くなり、先々というよりも来年はどうなるのだろうかと、足元のことが気にするようになりました。

 こうした異常気象は日本に限った話ではなく、世界各地が起きるようになり、「地球沸騰化の時代」と呼ばれています。この問題が国連の会議「COP28」で話し合われ、課題が明確になっています。まずはエネルギー分野における「化石燃料からの脱却」を急ぎ進めなければならずなりません。また他の分野においても同様に、石炭、石油、天然ガスなどに頼らない生産が求められていくことになりそうです。

 こうした問題の解決が地球環境を改善し、社会をより善いものにしていくのでしょう。これこそ貢献と呼べるものなのでしょう。

 やらなければならなくなっています。やらなければ人が暮らすことのできない世界を引き寄せるだけになってしまいます。

 

 

石油化学

 化学メーカ石化事業は、化石燃料を原料に基礎化学品を生産し、そこから様々なプラスチックス製品を生産しています。この世界の潮流からすれば、化学メーカにおいても「脱石化」を意識せざるを得なくなってきているといいます。

三菱ケミカル・ギルソン社長の誤算 石化再編、2年待つも議論停滞:日経ビジネス電子版

石油化学・炭素事業の統合再編は避けられない」、三菱ケミカルGが口火を切り、「日本の石化・炭素事業の再編を主導する」と宣言したそうです。しかし、なかなか言葉通りに進んでいないといいます。

石化事業を再編すべきだという大きな方向性には各社ともおおむね賛同の姿勢を示している。ところが、最も川上に位置するナフサクラッカー(エチレン生産設備)の統合など再編を実際に進めようという議論はなかなか前に進まない。ギルソン氏の再編提起からちょうど2年がたつが、表立った動きはほとんど見られない。逆に、業界から漏れ聞こえてくるのは再編への障害を指摘する声ばかりだ。(出所:日経ビジネス

 

 

戦略とは

困難な課題に直面したとき、あるいは大きなチャンスに遭遇したとき、有能な経営者は実現可能な最大の前進や成果が見込める道を選ぶ。言い換えれば、成否を決するような最大級の障害物が自分の力で克服可能だと判断したとき、その道を選ぶのである。(出所:日経BOOKプラス)

戦略を立てるスキルは3つの要素で形成される | 日経BOOKプラス

 優れた戦略家は、直面する課題の複雑さや困難さをまるごと受け止め、課題の最重要ポイント、すなわち成否を決するような勝負どころを見極めるセンスを持っているといいます。さらに、我慢強く、外から押し寄せる難題を解決するだけでなく、組織自体が健康体であるよう注意を払い、内部崩壊を防くこともできるといいます。

  どうにも日本の政界も経済界も、格好の良い文言を並べるばかりで、内実が伴わず、実現できそうにないことことばかりを口にしているように感じます。逆に変なところで小知恵を働かせては、組織を不健康にして内部崩壊させるような行為をしてはいないでしょうか。

 不祥事・不正が政界と経済界で蔓延しています。この悪しき構造、その相互依存を変えなければならないようです。口ばかりでなく変革、改革を実行できる人物が求められています。

 

「参考文書」

JFE・神戸製鋼の鉄鋼再編に現実味 化学は「脱・石油化学」へ:日経ビジネス電子版

神戸製鋼・JFE・日鉄…鉄鋼大手で出そろうも、「グリーン鋼材」普及へ山積みの課題|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

 

【COP28】化石燃料時代の終わりの始まり、再エネ転換でも中国がリーダーになる可能性

 COP28 国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議で、「化石燃料からの脱却を進め、この重要な10年間で行動を加速させる」という合意がなされました。

化石燃料時代の終わりの始まり」、世界のエネルギーシステムに革命を起こすことになるといいます。

 気候危機を回避するためには、避けては通れない道なのかもしれません。しかし、現実にはまだまだ課題がありそうです。各国が利害を乗り越えていくことはできるのでしょうか。

 

 

進まない米国のEVシフト

 急速に進むと予想されていた米国のEVシフトに早くも黄色信号が灯ったのでしょうか。EV 電気自動車の在庫が114日分と、1年前の53日分から約2倍に増え、過去最高まで積み上がっているそうです。

米自動車ディーラーでEV在庫のだぶつき鮮明、12月は過去最多を更新 - Bloomberg

 EVの割高な価格と充電インフラの未整備が足かせとなっているといいます。自動車メーカ各社も生産計画の縮小を余儀なくされているそうです。

進む中国の脱炭素

 中国が脱炭素を急速に進め、2022年の風力発電太陽光発電の導入量は世界のおよそ半分を占め、EVの販売においても同様で、世界の半分を超えているといいます。

エネルギー危機と中国経済の減速が加速させる世界の脱炭素(IEA見通し)|2023年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

 こうした再エネ拡大路線に、中国経済の鈍化が加わると、化石燃料への需要は低下し、エネルギー需要も2020年代半ばにピークをつけ、その後減少していくことが予想されるそうです。これまで先進各国と軋轢を起こしてきた中国が、今後は世界の脱炭素をけん引するようになっていくといいます。

 さらに中国国内でだぶついた太陽光パネルやEVなどが、海外市場に出回るようになり、「サプライチェーン独占」となって各国と貿易摩擦を生じさせる可能性もあるといいます。

 大量の二酸化炭素排出国であったはずの国が、気づけばリーダーに踊り出る、したたかな中国の戦略なのでしょうか。

 

 

 COP28の会場に、環境省が「ジャパン・パビリオン」を出展、日本の14事業者が参加、次世代型太陽光パネルや水素技術などをアピールしたといいます。また「スタートアップ・ビレッジ」も設けられ、10社が参加したそうです。

COP28で「日の丸技術」をPR、太陽光発電に商機…スタートアップ10社も参加 : 読売新聞

 パナソニックは建物の壁面を使って発電することができる「ペロブスカイト太陽電池」を展示したそうです。ただ量産はこの先5年以内になるといいます。

 世界中の首脳や企業関係者らが集まる場で高い性能を売り込み、新たな商機につなげたい考えだ。(出所:読売新聞)

どれだけ世界にアピールできたのでしょうか。脱炭素で一歩先を行きそうな中国に遅れをとることはならないのか気がかりです。

 

 

「参考文書」

COP28合意 再エネにのしかかる圧力 | WSJ PickUp | ダイヤモンド・オンライン

COP28、曖昧な「歴史的合意」 気温上昇余地あと0.4度 - 日本経済新聞

国産支援も「中国依存」続く太陽光市場、米政府に危機感 | 日経クロステック(xTECH)

中国によるデフレの輸出を警戒する米国|2023年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)