Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

進まない医療DX、迷走する診療報酬改定、マイナ保険証の利便性ばかり強調する政府

 国民負担率が高止まったまま国の改革は進みません。政府は、少子化対策、防衛力強化など様々な理由をつけては増税のチャンスを窺うばかりで、改革はおざなりのままです。

 さらにそこに与党自民党最大派閥安倍派問題が露呈しました。このどさくさに紛れて政府が何をしでかすのか、不安を感じます。

 より一層、注意深く監視する必要がありそうです。声を上げなければ、ますます悪い方向へと導かれてしまう恐れもありそうです。

 

 

デジタル敗戦

「デジタル敗戦」、首相はそう認め、行政DX デジタルトランスフォーメーション、デジタル行政改革を進めるとしましたが、その後、進捗はあるのでしょうか。

 行政の効率化をより一層推進し、経費節約に努め、その節減計画を明らかにすることが何よりも優先順位が高いのでしょうが、その気配すらありません。

 それに加えて、行政を司る霞が関では、人材流出が続き崩壊の兆しさえあるといいます。そこに改革のメスを入れなければ、より行政が遅滞するようになりそうです。このままでは今の政府のように安直な政策が横行しそうな気がしてなりません。

マイナ保険証と医療DX

 あれだけもめたマイナ保険証は話題になることもなく、紙の健康保険証は廃止されることになりそうです。

マイナ保険証、利用低迷 意義強調も浸透遠く:時事ドットコム

 一方で、未だ医療現場での患者のマイナ保険証の利用は伸び悩んでいるそうです。10月の実績はわずか4.5%だったそうです。一連のトラブルで国民に懸念が広がったことが影響しているといいます。

「より良い医療を提供するため、医療DXは進めなければならない」とマイナ保険証の意義を河野デジタル相は強調したそうです。「実際に使ってもらえば意識は変わる。一人でも多くの人に利便性を理解してもらうよう、地道に取り組むしかない」と厚生労働省幹部は語っているそうです。

「医療DX」とは一体何なのでしょうか。

「診療報酬改定DX」デジタル時代に対応した診療報酬やその改定に関する作業を大幅に効率化し、システムエンジニアの有効活用や費用の低廉化を目指すことをいう。これにより、医療保険制度全体の運営コスト削減につなげることが求められている。(出所:厚労省

(資料:厚労省「医療DXについて」

 

 

マイナカードの利便性というけれど

「世の中を便利にしていくデジタル庁」と、河野デジタル相はいいます。

河野太郎氏、「保険証廃止延期は得るもの少ない」 DXで壊す霞が関の常識:日経ビジネス電子版

アナログのままでも便利にできているじゃないかという感覚ですね。日本経済と同じで、世の中が足踏みしてしまっている。もっと便利になれるのに「今まで便利だったからそれでいいじゃないか」という思い込みや先入観(が強かった)。何かが変わるのは怖いし、今は不便を感じていない。だから、とりあえずこのままでいいという考えが何となくあるのではないでしょうか。(出所:日経ビジネス

 マイナンバーカードの利便性の具体例を語っています。そうじゃないような気がします。

 便利の上にさらに利便性を追求するのもいいのかもしれませんが、今ほんとうに求められているの行政の効率化であって、それによってどれだけ行政におけるムダが省け、どれだけ税金が有効活用でき、増税をしなくても回すことのできる行政、社会保障制度に改革することが求められているのではないでしょうか。

 その計画と期待効果がアピールされるべきなのでしょう。カードによる利便性は改革からもたらされる便益にすぎません。それが本質ではないような気がします。本質で語ってはじめて国民の不安が解消していくのかもしれません。

 

 

診療報酬の改定

 来年度の診療報酬改定について、政府は医師や看護師などの人件費などに回る「本体」部分について0・88%引き上げる方針を固めたといいます。

診療報酬「本体」0.88%上げ、政府方針…「薬価」は1%引き下げで調整し全体ではマイナス改定 : 読売新聞

 薬代にあたる「薬価」部分は1%程度の引き下げで調整しており、診療報酬全体ではマイナス改定となる見通しといいます。

 これに先立ち、財政制度等審議会は診療所の診療単価を5.5%程度引き下げる提言をしていたといいます。

診療所は儲けすぎ? 病院や中小企業を上回る経常利益率8・8%、国民負担軽減へ提言 - 産経ニュース

「状況が良い診療所の収益を守るのか、勤労者の手取りを守るかの国民的な議論をお願いしたい」と、財政審分科会の会長代理はそう語っていたといいます。

 こちらも問題の本質にたどり着くことはなく、医療DXの効果が反映される気配もないようです。ただ利権を巡る駆け引きを続けているように見えてしまいます。

 いつになったら本当の意味での改革が始まるのでしょうか。与党自民党の裏金問題からして、この政府においては無理そうですし、その能力もなさそうです。国が変わることがあるとしたら、旧態依然の自民党政治が終わってからなのでしょうか。

 

 

「参考文書」

誰がための診療報酬改定か 「国民負担」再確認の契機に - 日本経済新聞