日本経済新聞が国内企業を対象に、SDGs経営調査を行ない、その結果を公表した。
SDGs経営を「環境価値」や「社会価値」など4つの視点で評価、総得点を偏差値で格付けしたという。評価方法はアンケートと、企業財務データ、コーポレートガバナンスデータをもとにSDGsの取り組みを評価しているという。また、4つの視点での評価をウェイトづけ、「環境価値」230、「SDGs戦略・経済価値」が170などになっている。
日経SDGs経営大賞
5日にはこの「日経SDGs経営大賞」の表彰式を行ない、4社を表彰したという。
大賞のコニカミノルタは、調達先など社外での二酸化炭素(CO2)削減に貢献した量が自社の排出量を上回る「カーボンマイナス」を目標に設定。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」を介護現場で活用するなど、幅広い取り組みが評価された。(出所:日本経済新聞)
SDGs戦略・経済価値賞はオムロン、血圧測定可能なスマートウォッチを開発したことが主な理由のようだ。社会価値賞はイオン、環境価値賞はリコー、「RE100」に日本企業で初めて加盟したことが理由となっている。
同じ視点で、欧米企業と相対比較があれば、もっとわかりやすいのではと感じる。国内企業だけの比較では自己満足になったりしないだろうか。
生活の木 「自然と暮らす Well-earth」という理念
「生活の木」は、Wellness(ウェルネス)&Well-being(ウェルビーイング)なライフスタイルを提案する。その「生活の木」は、この地球を未来につなげていくために、「自然と暮らす Well-earth」という理念をもって企業として行動するという。
限りある資源大切にし、地球環境との調和を図ります。
#地球環境保全 #バランス #再生
と、生活の木はいい、「もったいないチャレンジ」を展開し、「マイアイテム宣言」を応援する。福祉をビジネスまで高めようと「ウェルフェアトレード」を進める。そこには「エシカル」という共通概念があるのかもしれない。
SDGsを積極的に語らないけど、SDGsをまるで取り入れたかのようにビジネスを展開する会社もある。生活の木のビジネス活動そのものが「SDGs」を体現していうようだ。「日経SDGs経営大賞」の評価基準では、どんな評価になるのであろうか。
SDGsという言葉にこだわることなく、自分の言葉で、自分たちのビジネスの目指す世界を表現してもいいのかもしれない。「生活の木」の「エシカル」のように。
欧米企業にとってのSDGs
そうした事例は欧米企業でも多くあるようだ。多国籍企業のユニリーバは非常に熱心にSDGsとの関連をアピールするが、アップは積極的にSDGsを語らないが、アップルの活動のひとつひとつがSDGsと矛盾するところがないように見える。
アディダスのサステナビリティ ごみをスポーツウェアに
独アディダスもその例ではないであろうか。本業であるシューズやウエアの一部に、積極的にリサイクル素材やサステナブルな新素材を開発、使用している。
SDGsが採択された2015年、アディダスは、環境保護団体であるパーレイ・フォー・ジ・オーシャンズ(以下パーレイ)と協業をはじめ、ひとつのシューズを作った。
2019年、アディダスは、海のプラスチック廃棄物をアップサイクルした素材を採用した1千100万足のシューズを製造します。2015年以来、adidasとParleyとのパートナーシップでは、1,400トンを上回るプラスチック廃棄物を海から回収し続けています。アディダスは、店頭からプラスチックバッグを排除し、商品を紙袋に入れてお客様にお渡ししています。そして、世界中のオフィスでプラスチックの使い捨てを禁止しています。(出所:アディダス)
そのアディダスは、2024年までに全ての製品に100%リサイクルされたポリエステルを採用することを公約した。
アディダスは、今年 「FUTURECRAFT.LOOP」を発表した。FUTURECRAFT.LOOPは100%リサイクル可能なランニング シューズ。LOOP CREATION PROCESSを作り、返却された製品を新しいランニング シューズに再生するという。
2021年春夏の一般発売にむけ、第一世代モデルは世界的ベータ版プログラムとして展開されていた。その1回目のリサイクルループで再生されたシューズが完成したという。
こうしたアディダスの活動は、SDGsという視点で見たらどうであろうか。多くの目標に符合する活動ではないであろうか。
真実を知る
IDEAS FOR GOODは、スマートタグを使ったトレーサビリティの事例を紹介する。こうしたテクノロジーを使って、真実を知ることもできるのかもしれない。
個人として気がかりなことも、企業人として企業の力をうまく利用することで解決できるのかもしれない。
どれだけの企業がSDGsを自分事にしているのだろうか
たとえば、SDGsの9番目の目標「産業と技術革新の基盤をつくろう」はすべての企業に求められ、製造業であれば12番目の「つくる責任 つかう責任」は避けられない。CSR活動ばかりでなく、自らのビジネス、経済活動をSDGsが示す課題に紐づけて解決するようすればいいのかもしれない。
9.「産業と技術革新の基盤をつくろう」
「強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る。」この目標には8つのターゲットがある。
12.「つくる責任 つかう責任」
「持続可能な消費と生産のパターンを確保する。」 この目標には11のターゲットが設定される。
個人は企業に属すると企業人になる。そうかといって、それで自分の人格を否定するようなことは必要ないことなのであろう。
個人と個人の集合体である企業、その企業に属する個人個人が互いに協力すれば、どんなに大きな問題でも解決できるはずだ。SDGsもパートナーシップの重要性を説いている。
「関連文書」