ユニクロの柳井氏の記事があるとついつい読んでしまう。今まで読んできた柳井氏の著作をおさらいしつつ、学ぶべきポイントを再整理して復習すると感じであろうか。
Nikkei StyleにD2Cについての柳井氏のコメントがあった。
注目はしていますが、まだ小売りの域を出ていません。服というのは当然のことながら基本的な知識や生産ノウハウがないといけない。デザインをし、素材を選択して、コーディネーションと全体のバランスもみる。そこまでの能力を持った企業があったらすごいと思いますけど、いまのD2Cはまだ小売業のノウハウだけ。作る方がよっぽど難しいのです。
顧客に低価格で、安心して使える商品を提供する、それがモノづくりの最大のミッションかもしれない。その実現のために、商品開発ばかりでなく、サプライチェーンを作くり維持する作業がある。そこには様々な問題が実は内在する。
昨年、文春オンラインが報じたこの記事もその一例なのかもしれない。ユニクロと取引関係にあったインドネシアの会社が、ユニクロが生産を引き上げた後に倒産した事例。ユニクロがなぜ生産を引き上げたかの理由についての言及はない。しかし、こうした事実は残る。
これと同じようなことを経験したことがある。電機メーカに勤めシンガポールに駐在していた時のこと。取引関係にあった現地のとある会社のキャッシュフローが行き詰まっているとの情報が入った。取引先が倒産となれば、自分たちの商品の生産が止まり、顧客にも影響を及ぼすことになる。
早速、問題の取引先を訪問、未払いなどの実態調査をした。状況は極めてよろしくなかった。取引先が持つ買掛を一時的に引き取り、急場をしのぎ、その取引先からの返済を受けながら、徐々に発注を減らすことで対応した。取引先の経営に気を配りつつ、ある時間をかけてすべての生産を引き上げた。その後、その会社は倒産した。
だいぶ時間をあけてから、元従業員たちとも会話するようにもなった。こうした経験はあまりしたくない。新たな取引先を選ぶときはより慎重に経営状態を確認するようになる。
そうした経験から、他業界のサプライチェーンを学ぼうした。アパレル業界のサプライチェーンについても見聞きした。正直、アパレルってたいへんだなとその時思ったものだ。
このnoteにはこんなことが書かれている。
「日系の優良企業の生産をこの工場で行って良いのか?」と言う場面に...
中には、長期賃金未払いだったり、染色汚染水をそのまま川に流していたり、コンプライアンスの低い工場で日系企業の生産をしている場合がある。この場合、ハイコンプライアンスの工場で受けた仕事が値段が合わず、下請け工場に流れているケースです。
おそらく発注している日系企業も知らずに行われているケースですが、これはバングラデッシュのみで行われている事ではありません。
これがものづくり、サプライチェーンの実情なのかもしれない。
倫理観、フェアトレード...
フェアトレードは、貿易のしくみをより公平・公正にすることにより、特に開発途上国の小規模生産者や 労働者が、自らの力で貧困から脱却し、地域社会や環境を守りながら、サステナブルな世界の実現を目指す取組みです。(出所:Fairtrade Japan)
スタバがコーヒー農家を支援し、フェアトレードで調達したコーヒー豆が99%になったと聞く。
どこまで取引先を支援するかというのは、非常に難しいテーマだ。そこには支援すべき、すべきではないとの意見がまだ存在する。
スタバのように、地域全体を底上げしつつ努力する農家からはプレミアムを付けて買い取る。そうしたことが理想なのかもしれない。しかし、それは低価格を求める顧客の声と相反する。
それもまた現実である。SDGsの目標のひとつになることもわかる。
「参考文書」