Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【サスティナビリティの成功事例】欲深くならなければ持続可能な社会は実現するのか

 

 サスティナビリティ活動を続ける企業の成功事例が増えてきているのでしょうか。

 米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が開発したケミカルリサイクル技術が花開き、年内に竣工予定の向上には20年分の注文が集まる事態になっているそうです。

P&GがESG経営で新機軸、プラごみ削減を収益に:日経ビジネス電子版

市場での再生プラの需要は供給を大きく上回っている。循環型経済を促進することによって、当社が求める高品質の再生プラを供給できるようにしていく。(出所:日経ビジネス

 自社開発した再生プラスチックスの技術を他社にライセンス供与、生産することで、そこから収入を得ることができているといいます。

 P&Gは今年10月、こうした技術をパートナー企業と共有するため「サステナブルソリューションプラットフォーム」を立ち上げたそうです。

 

 

 P&Gは、2040年までにサプライチェーン全体でネットゼロを目指すと宣言しています。この目標に向け難関となるのは、容器包装や原材料サプライヤーなど約2万社ある取引先における排出量の削減で、そこには投資が必要となります。

 P&Gは「気候移行行動計画(CTAP)」を開示し、自社がどの方向に進もうとしているのか、取引先に何を期待しているのかを明確にしているといいます。

期待感を明確にすることで、お互いにどんなふうに進んでいけばいいかが分かるようになる。(出所:日経ビジネス

 まずは現状を把握し、主要な取引先とロードマップを作成することから始めているそうです。

 またこの他にもP&Gは、サステナビリティ目標「アンビション2030」を掲げ、2030年までに容器包装をすべてリサイクル可能かリユース可能なものに切り替え、またバージンプラスチックの使用量を50%削減するといいます。

 サスティナビリティの目標を達成するためには、これまであったサプライチェーンを、それに見合ったものに再構築できるかということなのかもしれません。

 化石燃料を極力排除し、それ以外から得られるものをエネルギー源や原料にする工夫が求められるのでしょう。また、それはこれまでのような単なる流通経路ではなく、その中にいかに収益ポイントを作りだせるかということでもあるのかもしれません。

 それをP&Gの事例から知ることができるのではないでしょうか。固定概念を取り払わなければならないのでしょう。

 

 

 飲料メーカーが「水平リサイクル」を進め、ペットボトルごみの争奪戦を繰り広げるがために、その取引価格が前年度の4倍弱に急騰しているそうです。

ペットボトルごみ、争奪戦 取引価格4倍、リサイクル原料に 飲料メーカー【けいざい百景】:時事ドットコム

 しかし、それが新たな産業を生み出しているかのようです。記事によれば、商社までが再生ペットボトル原料の製造に乗り出しているといいます。

 これまでは「きれいな」廃ペットボトルの取りになっていたそうですが、ここにきて「きれいでない」廃ペットボトルもリサイクル原料にする動きとなり、豊田通商の子会社は滋賀県日野町で年間4万トン処理しているといいます。

人手や機械を使って異物などを選別し、入念に洗浄することで水平リサイクルを可能にした。リサイクルにかかるコストは家庭ごみを原料にするより高くなるが、廃ボトルの仕入れ値の安さで補えるという。(出所:JIJI.com)

 三井物産岡山県津山市に、年間2.5万トン処理する工場を建設し、23年度の完成を目指しているそうです。飲料メーカーの需要に応えるには、これまで輸出に回っていた低グレードの廃ボトルリサイクルも必要になっているといいます。また、生産能力も充分とは言えず、第2工場の建設を検討する可能性があるそうです。

 変われば変わるものだと感じます。あり得ないと思われたことが現実となり、それが新しい産業となり、そこから新たな成長が始まっているのかもしれません。

 一方で、廃ペットボトル価格の高騰は、これを原料に用いていた繊維や食品トレーなどにおける原料の調達難になっているそうです。

 

 

 少し時代が前に進み始めているのでしょうか。

 サスティナビリティを追求することで、カーボンニュートラルが目標となり温室効果ガスの排出に規制がかかりました。増加し続けるエネルギー消費を低減させようと省エネ技術が再度注目され、最新の半導体は驚くほどに低電力対応になりました。そのための技術開発も進行中です。

 また、これまでは使い捨てが当たり前でしたが、ごみや廃棄物が資源に替わり、化石燃料の消費の抑制につながっていそうです。ムダに無計画に大量に生産されていたものが、AIなどで需給予測が改善し、より最適な生産ができるようになり、大量廃棄が抑制されるようになっているのかもしれません。

 進歩は止まりません。しかし、まだゴールではないのでしょう。これを続けていくことが「サスティナビリティ」ではないでしょうか。

 

 

 これまでのように驚くような画期的な商品を開発し、大ヒットさせることが企業活動ではなくなっていくのではないでしょうか。

 バリューチェーン全体を通して、出来るだけ多くのところで新たな付加価値が創造できるようになればいいのでしょう。そして、それが持続的な成長につながる糧にすべきなのでしょう。

 欲深くならず、こうした探究と技術開発を続ければ、いつかはまた大ヒットする商品が生まれることがあるのかもしれません。それはおまけのようなものと考えるくらい余裕がもてるようになるのがいいことなのかもしれません。