Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

イーロン・マスクはどこへ行く、言論の自由と言葉の暴力の問題を解決できないのだろうか

 

 ツイッターイーロン・マスク氏が、自身がツイッターのトップを辞任すべきかどうか問いかけた投票で、辞任すべきとの意見が多数を占めたといいます。
「投票結果に従う」としていたマスク氏の今後の行動が焦点といいます。

岸田首相「国民の責任」発言に広がる反発 修正はしたけど…公約も説明もないまま 防衛費増の財源に増税:東京新聞 TOKYO Web

 ここ最近、矢継ぎ早に様々な施策が投票によって決められ実行され、批判を集めているといいます。

アメリカの大手メディアの記者のアカウントを停止したり、ツイッターの投稿ルールを変更したりしたことに批判が高まり、マスク氏は18日「今後は大きな指針の変更では投票を実施する」と投稿していました。(出所:NHK

 自身のやり方に批判があれば、自身の進退もまた投票によって確認しようとするのも彼らしく潔さもあったりするのではないでしょうか。

 

 

「肩をすくめるアトラス」、イーロンマスクの愛読書

 マスク氏を含むこれまでのイノベーターたちが愛読してきた一冊の本を日経ビジネスが紹介しています。

 それは、個人の自由や利益を否定する集団主義を憎んだロシア系米国人作家アイン・ランドが1957年に発表した「肩をすくめるアトラス」という小説です。

イーロン・マスクとスティーブ・ジョブズが読んだ「危険な思想書」:日経ビジネス電子版

「名だたる起業家や経済界のリーダーは、なぜ「肩をすくめるアトラス」に魅了されたのでしょうか」? 

この本は、発明家や事業家などの優れた天才たちが、強い意志と徹底的な利己主義により社会を正しく導こうとする物語です。(出所:日経ビジネス

 この本の中で、帝政ロシアに生まれたランドは集団主義を憎悪し、実体験に基づき、自由がない暴力的な世界の恐ろしさを批判的に描いているそうです。

 ランドが憎んだ社会では、国家のような集団に奉仕することが最優先とされ、個人の自由は制限され、また、思想は統制され、言論の自由もなかったそうです。政府に刃向かう人間は容赦なく逮捕され、処刑されるような世界で、集団のために個人は命を差し出すことさえ求められるといいます。

 また、ランドは利他主義を否定し、「自己犠牲は人間にとって最高の道徳的義務であり、価値であり、美徳である」と考えるような体系は集団主義の道徳的基盤であり、あらゆる独裁制の道徳的基盤であると断じたそうです。

 

 

 一方、利己主義について、ランドは「人は自分自身のために存在する」とし、「自分自身の幸福を追究することが、人にとって最高の道徳的目的である」という考えだといいます。また「自分を他人の犠牲にしてはならないし、他人を自分の犠牲にしてもならない」といった考えも持ち合わせていたそうです。

 ランドはイノベーターに至上の価値があると考え、イノベーターが、特別な力を持ち、世界を救うヒーローのように描いていたそうです。この他にも「理性」の重視や、経済活動は民間にできるだけ任せて、国家は可能な限り介入しない「自由放任資本主義」がランドの思想といいます。

 記事が指摘するように、マスク氏がランドの影響を受けていたのであれば、「言論の自由」を守ろうとするのは理解できますし、それが崩れれば集団主義に傾斜しかねないとの危機感を持っているのではないかとも推測できます。

 記事は、マスク自身が「世界を救う超人」のように捉えている印象があるといいます。それはあのスティーブ・ジョブズにも共通していることといいます。

 

 

ツイッターの未来

 ツイッター上から悪意の批判や誹謗中傷、暴言がなくなることを実は期待しています。こうしたことは、単に規制を強化すればよいというものではないような気がしています。どんなに細かな網をかけたところでそれをすり抜けようとする者が必ず現れるのではないでしょうか。

 中国の思想家荀子は「性悪説」と説きました。人間の本性は欲望的存在にすぎないが、後天的努力、すなわち学問を修めることにより「公共善」を知り、人間の本性は根本的に変えられないとしても、「礼儀」を正すことができるとして、教育の重要性を説いたといわれます。

 

 

 できることであれば、ツイッターがそうした「公共善」を知る場となり、それによって理性を鍛え、良心や道徳心を育むようになるのがいいのではないかと考えたりします。

 それをテクノロジーで解決できないのか、この難問の解決をマスク氏に期待していたかもしれません。さて、この先、ツイッターはどうなっていくのでしょうか。