Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【それぞれのサステナビリティ】サントリーの植物由来のペットボトル、ユニクロはビジネスモデルを転換へ

 

 サントリーが「植物由来原料100%のペットボトルの開発に成功」と発表した。

 米国バイオ化学ベンチャー企業・アネロテック社と進めてきたペットボトル素材の開発に成功し、植物由来の原料100%による試作品が完成したという。

 ペットボトルの原料のひとつであるテレフタル酸の前駆体「パラキシレン」は、植物由来素材で生成するのが容易ではなく、既往技術では複数段階に渡って変換する必要があったが、それをワンステップで生成できる技術を開発したという。

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(資料:サントリー植物由来原料100%使用ペットボトルの開発に成功」)

 何事も研究開発することは価値あることかと思うが、ペットボトル素材をバイオプラにするかといってあまり誇れることではないように感じてしまう。

 ごみ、廃棄物をなくそうとリサイクルを強化し、リサイクル素材でペットボトルを作ることには賛同するが、そもそも論で、「使い捨てプラをなくそう」との活動を強化すべきように感じる。

使用する素材は、食料用原料のサプライチェーンに影響が出ないよう、非可食のウッドチップのみから生成しています。(出所:サントリー

 そればかりでなく、ウッドチップを原料にするからといって、大量に使えば、原料も大量に必要になる。バイオマス発電と競合する原料で、森林に負荷を与えずに供給は可能なのだろうか。

 

 

ケミカルリサイクル

 ENEOS三菱ケミカルと共同で、廃プラを原油に近い油に戻す「ケミカルリサイクル」の設備を2023年度にも稼働させるという。国内最大級の年間2万トンの処理を目指すそうだ。生成した油は原油やナフサ(粗製ガソリン)に混ぜ、既存設備でプラスチックスに再生するという。

ENEOS、廃プラを「原油」に 燃やさず分けず再利用: 日本経済新聞

 日本経済新聞によれば、「ケミカルリサイクル」に、石油・化学品大手の参入が相次いでいるという。ただ、まだ課題が多く、改善の余地が大きい。コストは高く、廃プラの回収コストや生成油をナフサなどに混ぜる割合などに左右されるという。その廃プラの回収ルートは既に確立されているケースが多く、ケミカルリサイクル向けに新たに構築するのは容易ではないと指摘する。

 また、環境負荷軽減に過度な期待は禁物との声もあるようだ。ライフサイクルアセスメントの厳密なる評価も必要になるのだろう。ただ廃棄物を資源化にするという意味では一定の評価があってもよさそうだ。

 

 

ユニクロサステナビリティ、それはビジネスモデルの転換

 ユニクロなどを展開するファーストリテイリングが、サステナビリティに関しての「2030年度目標とアクションプラン」を公表した。

LifeWearは「新しい産業」へ 2030年度目標とアクションプランを策定 - 社会の持続可能性と事業の成長を両立する新たなビジネスモデルへの転換を加速 | FAST RETAILING CO., LTD.

 ファーストリテイリンググループ全体で、LifeWearのコンセプトにもとづき、持続可能性と事業の成長を両立する新たなビジネスモデルへの転換を加速していくという。

あらゆる人の生活を豊かにする「究極の普段着」というLifeWearの考え方を進化させ、品質やデザイン、価格だけでなく、環境・人・社会の観点を含むあらゆる「よい服」の定義に応える服づくりを進めていきます。(出所:ファーストリテイリング

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(資料:ファーストリテイリング

2030年度までに、全ての素材の約50%をリサイクル素材などに切り替え

「お客様が本当に必要とするものだけをつくり、服の生産から輸送、販売まですべてのプロセスにおいて、温室効果ガスや廃棄物を徹底的に排除した環境負荷の少ないモノづくりを実現する」という。

 また、それと同時に、すべてのプロセスにおいて、人権に配慮し、お客様が安心して商品を購入できるサプライチェーンを構築するそうだ。

 これがビジネスモデルの転換を意味するということであれば、今までの取り組みにはまだ不備があったということなのだろうか。

 

 

まとめ

 ごみや廃棄物が資源に変り、地球から採取する資源が減れば、サステナビリティ、持続可能性に一歩近づくのかもしれない。ただ、急速に進む温暖化を鑑みれば、今まで以上に、「カーボンフットプリント」、LCAライフサイクルアセスメントが重要視され、炭素排出の軌跡を公表することが求められるのかもしれない。

 遅々とした動きかもしれないが、ようやくそうした環境が整い始めてきたともいえるのではなかろうか。