Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

グレタさんも登壇したダボス会議 話題は「気候変動」が中心 長期リスクでも

 

 毎年恒例でスイスで開催される「ダボス会議」と呼ばれる「世界経済フォーラム(WEF)」の年次総会が21日から始まった。

 年次総会の1日目にはトランプ大統領やグレタトゥンベリさんらだ登壇、スピーチを行なった。

 

 「化石燃料に支えられた経済をすぐにも終わらせよう」と訴えたグレタトゥンベリさんのスピーチの模様をWEFが伝える。

 

Averting a Climate Apocalypse - Greta Thunberg - Full Speech

 

「みなさんは、『子どもは心配するな』、『大人にまかせろ。何とかする。失望させないと約束する。そう悲観的になるな』と言います。

そして、何もしない。沈黙する。沈黙よりもっと悪いのは空虚な言葉と約束で、十分に対応しているという印象を与えていることです」。

 (出所:世界経済フォーラム

 

www.weforum.org

 

この他にも、セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフ氏が、「私たちがなじんできた資本主義は終わりました。株主のために利益を最大化することだけが大切という妄念こそが、気候変動による危機的状態を招いたのです」と語ったという。

 

jp.weforum.org

 

 

 年次総会に先立ち、世界経済フォーラムWEFは「グローバルリスク調査報告書2020」を発行した。今後10年間で発生する可能性があるグローバルリスクの上位5位まですべてが「気候変動」が占め、世界的な政財界のリーダーたちも、この現実を認めざるを得ない結果だと、一般社団法人環境金融研究機構は伝えた。

 そのグローバルリスクの影響度には、①気候変動の緩和・適応の失敗、②大量破壊兵器、③大規模な生物多様性の喪失を生態系の崩壊、④異常気象、⑤水関連が上がっている。

 

rief-jp.org

 

 世界経済フォーラムの「グローバルアジェンダ」というWebページに、「行動を起こさないことが、企業にとって最大の気候変動リスクである理由」という論説がある。

 

 株価のベンチマーク指数であるS&P500企業は、世界68か国で物的資産を持っており、そのうちの60%は、少なくとも1種類以上の気候変動の影響による物理的リスクが高い資産を保有しています。このような状況を踏まえると、温室効果ガスの排出量を削減し、気候変動の影響を軽減していくために、断固とした行動が必要です。しかし、こうした行動は、規制を敷くことや、市場力学とテクノロジーの変化などの形で企業と投資家に重要な移行リスクをもたらします。(出所:世界経済フォーラム

 

 また、論説では、二酸化炭素の排出量が2050年までに約50ギガトンに急増すると予測する。二酸化炭素の排出量の傾向が大きく変わらない限り、気候変動はこれからもインフラと資産に大きな損失を引き起こし、さらには、疾患や死者の数を増やすことに繋がるのはほぼ間違いと指摘する。

 

 世界保健機関(WHO)は、2030年から2050年の期間の年間死者数を25万人と予測し、広範囲にわたる断固とした行動を起こさなければ、将来の世代のみならず、今生存している80億人近い人類が差し迫った危険にさらされることは明らかだという。

 

 洪水、干ばつ、山火事、熱波などの異常気象によるさまざまな物理的リスクが資本レベルまで影響を与えることがにわかに理解されてきた。金融市場でもESGに注目が集まっており、貸し手や投資家など、誰もが持続可能な金融の見通しについてより明確な答えを求めるようになってきたとこの論説では指摘する。

 

jp.weforum.org

 

 ロイターは、こうした動きを総括するようなコラム記事を報じた。こうした気候変動リスクに対する、現在の金融業界の対応やジレンマを解説し、『銀行と保険会社、資産運用会社が地球温暖化を管理すべき金融リスクとして取り扱う傾向が強まっているということだ。そうした流れは、恒久的なものだと今後証明される公算が大きい』と指摘する。

 

jp.reuters.com

 

 

 オーストラリアでの森林火災が深刻化し、投資家が気候変動を意識せざるを得ない状況になっていると英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のニューズレター「モラル・マネー」も指摘する。

オーストラリアはこの28年間、不況知らずの良好な経済状況を謳歌してきた。だが、森林火災と干ばつの深刻化で状況は変わりつつある。格付け会社フィッチ・レーティングスは今月6日にリポートを公表し、ブラジル・アマゾンの熱帯雨林、米カリフォルニア州、そして今回のオーストラリアと続く森林火災は、投資家に対して気候変動を信用リスクの審査に組み込むことの重要さを改めて警告していると指摘した。(出所:日本経済新聞

 

 今回の森林火災で、オーストラリアの保険業界団体は、火災関連で受け取った申請件数の合計が8985件に達したと発表した。保険会社の損失が7億豪ドル(約520億円)に上ったと日本経済新聞は報じた。

 

www.nikkei.com

 

 昨年様々な異常気象が観測され、気候変動によるリスクが鮮明になった。世界の政財界のリーダーたちも、そのリスクを認識せざるを得なかったことを、世界経済フォーラムWEFは「グローバルリスク調査報告書2020」で報告した。

 それでも、ロイターが伝えたように、シティグループのような抵抗勢力があるのも、また事実なのであろう。

 

  多くの企業が「TCFD」に賛同、「気候変動」によるリスクや機会、財務情報を含め開示することになっていく。昨年9月には、多くの金融機関が国連「責任銀行原則(PRB)」に署名した。今年、金融市場に何か変化が起きるかもしれない。

 

 セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフ氏の言葉をもう一度記してみる。

 

私たちがなじんできた資本主義は終わりました。株主のために利益を最大化することだけが大切という妄念こそが、気候変動による危機的状態を招いたのです

 

 日本の政財界は、まだ古い資本主義にしがみついてはいないだろうか。何かアクションの遅さを感じてしまう。国際社会と共同歩調でアクションして欲しいものだ。

 

 

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