「プラスチックボトルを廃止しない」
依然として消費者からの需要があることが理由だと伝える。
コカ・コーラのベア・ペレス最高持続可能性(サステナビリティ)責任者(CSO)は、消費者の間では、何度もふたを閉めるられる軽量のプラスチックボトルが人気だと説明した。(出所:BBC)
コカ・コーラ 海洋プラスチックをペットボトルに
物議を醸しだしそうな発言のような気もするが、その一方で、昨年、米コカ・コーラは、海洋プラスチックごみを原料としたペットボトルの試作品を発表した。この試作品のペットボトルは、スペインやポルトガルの海岸で集められた海洋プラスチックから再生されたプラスチックを25%含む。
この試作品に使用されたプラスチックごみは、スペインやポルトガルの海岸でボランティアによる清掃活動で集められた。また、地中海の漁師たちも協力したようだ。
Introducing A World-First: A Coke Bottle Made With Plastic From The Sea
誰かが回収しない限り海洋プラスチックは減らない
海洋に漂うプラスチックが問題視されている。2050年には、海洋プラスチックの量が魚の量を超えるという報告もある。
脱プラの動きが急速に拡がり、使い捨てプラスティックの使用禁止やペットボトルのリサイクル、生分解性プラスチックも登場し、企業がその対策に乗り出したように見える。
たとえ、海へのごみの流入が減ったとしても、誰かが海に漂うプラスチックごみを回収しない限り問題は解決しない。
アディダスは、環境保護団体「Parley for the Ocean」と協働して、海洋廃棄物を回収、それから再生した繊維でランニングシューズやTシャツを作る。
(写真出所: Parley for the oceans)
プラダも同じように海洋の廃棄物を回収してできた再生ナイロンECONYLを使って製品を作る。コカ・コーラもこうした先駆的な動きを模したプロジェクトを動かし始めたようだ。
新たなリサイクルで作る再生ペットボトル
コカ・コーラのプレスリリースによれば、Mares Circularesを通じて収集された海洋ごみは、Ioniqa Technologiesによってアップサイクルされ、食品グレードに適したPETに再生されるという。
Ioniqa Technologiesは「解重合」という方法で、ポリマーの分子構造を溶解させるという。
あらゆる種類のPETプラスチック廃棄物から不純物、たとえば着色料を除去します。Ioniqaの最終製品は、価格競争力のあるレベルで最も純粋な形の「新しい」原材料です。したがって、プラスチックを生産するためにオイルは必要なくなりました。(出所:Ioniqa Technologiesプレスリリース)
国内では使用済ペットボトルの争奪戦
国内飲料メーカも、ペットボトルのリサイクルに積極的だ。汚れた使用済ペットボトルは、リサイクルに向かないと言われ、一般家庭から出る使用済ペットボトルは不純物の付着も少なく良質と言われる。サントリーなどは自治体と連携して、この良質ペットボトルの確保を急ぐ。
まだ、ボトル to ボトルのリサイクルが主流だ。
米コカ・コーラは低品質ペットボトルもリサイクルする?
米コカ・コーラのプレスリリースによれば、以前はリサイクルできなかったプラスチックや低品質のペットボトルを使用したリサイクルを、今年から始めるという。
初めは、Mares Circularesが集める海洋ペットボトルを使用するのだろうか。それとも、もっと大規模に展開されるのだろうか。Ioniqa Technologiesのプレスリリースによれば、処理能力は、10キロトンあるようだ。
このテクノロジーが普及すれば、 従来廃棄処分するしか方法がなかった低質なペットボトルも「資源」になる。もっと大規模に海洋に漂うプラスチックを回収することができれば、それさえも資源に変えることができるということなのだろうか。
何が違うのだろうか
サントリーは、ペットボトルリサイクル業者と連携し、従来のリサイクル工法を改善、工程短縮した技術を開発したという。サントリーのWebページにこんな記述がある。
そもそも日本のリサイクルPETがここまで高品質なのは、消費者の方々や各自治体の努力により再循環しやすい状態で回収できているからです。だからこそ、飲料メーカーとしても、ペットボトルの開発担当者としても、その努力を無駄にすることなく、リサイクルPETを貴重な資源として有効に使えるようにする責任があると考えています。(出所:サントリー)
サントリーがいう通り、私たちがきれいに洗浄して出したペットボトルをきちんとリサイクルしてくれれば、確かに新たな資源の投入を減らすことができるかもしれない。
でも、それだけに留まってはならないはずだ。いまだに海洋には大量のプラスチックが漂っている。
もちろん、捨てることを正さなければならないことだが、誰かが海洋プラスチックを回収し処理しなければ、問題は解決されない。
サントリーなどメーカーがイニシアティブをとってそうした活動を始めることはできないのだろうか。
ダボス会議「世界経済フォーラム」に参加したサントリーの新浪社長は「気候変動に対するプレゼンスをつくるのが、日本の課題だ」と語ったと読売新聞が伝えた。
「関連文書」
「参考文書」