Up Cycle Circular’s diary

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ペットボトルからアルミ缶への転換はあるのか

 

 共同通信が 『ペットボトルから缶へ切り替え プラごみ削減でシフト加速も』と1月4日付け記事で報じた。 

プラスチックごみの大量排出国の日本には世界から厳しい目が向けられており、2020年、缶へのシフトが加速する可能性がある

 缶は一度開けると閉められないのが弱点だったが、開閉可能なスクリューキャップのアルミ缶の登場で弱点を克服。プラごみ削減を追い風に14年以降、アルミ缶の国内年間消費量は200億缶の大台を超えて推移している。(出所:共同通信) 

 共同通信が指摘する通り、ペットボトルの缶へのシフトは進むのだろうか。 

 

 

ペプシはアルミ缶を推進するのか

 米ペプシは、アルミ缶ミネラルウォータを食料品店だけで現在販売しているという。米ペプシは『いずれサプライチェーンを通じて広く普及させる計画』があるとTechCrunchは報じている。 

同社は、LIFEWTRブランドの製品は100%再生ペットボトルでのみ販売し、炭酸飲料はプラスチック容器で販売しないことも発表した。この方針変更は来年から実施され、未使用プラスチック8000トン、および温室効果ガス約1万1000トンを削減すると同社は言っている。

ペプシは、2025年までにリサイクルあるいは堆肥化、生分解が可能な容器のみを使用するという目標を設定している。(出所:TechCrunch) 

jp.techcrunch.com

  

 炭酸飲料からアルミ缶に切り替えようということだろうか。

 

国内のアルミ缶の需要

 さて、日本ではどうなのであろうか。大手飲料メーカから「ペットボトルからアルミ缶への変更」という発表資料は見当たらない。そこでアルミ缶の需要から確認してみた。

 アルミ缶リサイクル協会は、2019年2月に「2019年の見込」を公表し、『非アルコールは96%。ボトル缶は増加(102%)するが、その他は横這い』と予想していた。2020年の見込はまだ発表されていない模様。

 アルミメーカである昭和電工の国内市場の予測をFood Navigator-Asia.comが伝える。この情報によると、国内のアルミ缶の総需要は停滞と見込まれているようで、この需要に合わせ生産能力を調整するとも報じている。

www.foodnavigator-asia.com

 

 国内アルミ動向には大きな変化は見られないようだ。

 アルミの調達リードタイムは長い。急激の需要増には速やかに対応できない。こうしたことも考慮して、米ペプシは『いずれ』と表現をしているのではなかろうか。アルミの調達具合を見ながら、ペットボトルからの変更を図るのだろうか。 

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ペットボトルのリサイクル、バイオプラスチック化を急ぐ飲料メーカー

 国内飲料メーカからはアルミ缶ではなく、「ペットボトルのリサイクル、バイオプラスチック化」について相次いで発表があった。キリンは、『2027年までに、国内で清涼飲料などのペットボトルに使う樹脂の50%をリサイクル品にする目標を掲げた』、サントリーは、「プラスチック基本方針」を策定、2030年までにグローバルで使用する全ペットボトルの100%サステナブルを目指すと発表した。2025年までに国内清涼飲料事業における全ペットボトル重量の半数以上に再生ペット素材に、2030年までに、リサイクル素材あるいは植物由来素材のみを使用し、化石由来原料の新規使用をゼロにするとしている。他のメーカも同様な計画を発表している。

www.nikkei.com

 

 

使用済みペットボトルの争奪戦

 ペットボトルのリサイクルには良質は使用済ペットボトル確保が必要だという。日本経済新聞は使用済ペットボトルの争奪戦が始まったと伝える。 

日本の廃ペットは値上がりした。背景にあるのは再生ペット需要の急拡大だ。

PETボトルリサイクル推進協議会(東京・中央)によると、18年度のペットボトル販売量は62万6千トン。一方、回収された廃ペットからボトルやシート、繊維、成形品などの原料とした「リサイクル率」は84.6%だった。10年間も8割台を維持し「リサイクルの優等生」ともいわれる。

とりわけ、市町村が回収する廃ペットはほとんどがキャップやラベルを分別済み。良質とされ、需要が集まりやすい。(出所:日本経済新聞) 

www.nikkei.com

 

 そうしたことを見越していたかのように、サントリー大阪市と連携、新たなペットボトル回収のスキームを作った。 また、リサイクル設備も増強、本格的に再生ペットに切り替えようとする姿勢が窺える。 

www.sankei.com

 

まとめ

 こうした流れを鑑みれば、まずは、リサイクルペットから始まり、その後に、アルミ化という流れになるのだろうか。脱プラに真摯に取り組む姿勢を強調するために、特定商品のアルミ缶採用をはかる飲料メーカがあるかもしれない。

 いずれにせよ、10年後にはバージンのペット材から作られるボトルが減ることになる。ペットボトル関連の業界マップに変化が生じるのだろうか。古き産業が淘汰され、リサイクル関連で設備投資が起きれば、産業構造、サプライチェーンに変化が生じるのかもしれない。そうしたことが定着していく中で、「使い捨て」や「不法投棄」がなくなることにつながってほしい。

 

 グローバル企業のP&Gは、台所用洗剤JOYに、日本の海岸で回収したプラごみを使った容器を採用した。飲料メーカもこうした動きに追従できないであろうか。「使い捨て」文化を変えるきっかけ作りも必要と思う。

 

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