米アップルが、環境活動家でもあるレオナルド・ディカプリオらとともに食料基金を立ち上げたという。
アップルが新型コロナウイルスのパンデミックを受けレオナルド・ディカプリオや故スティーブ・ジョブズの妻ローリーン・パウエル・ジョブズとともに、食料基金のアメリカズ・フード・ファンド(America’s Food Fund)を設立した。フォード財団と協力して、食事を必要としている人々を支援するために1200万ドル(約13億円)を寄付する。(出所:Vogue)
アップルは、この他にも医療用防具フェイスシールドを供給していると発表した。このフェイスシールドには、アップルの設計、エンジニアリング、オペレーション、およびパッケージングの各チームが、サプライヤとも協力して、設計製造、出荷しているとティムクックCEOがTwitterで語った。
Apple is dedicated to supporting the worldwide response to COVID-19. We’ve now sourced over 20M masks through our supply chain. Our design, engineering, operations and packaging teams are also working with suppliers to design, produce and ship face shields for medical workers. pic.twitter.com/3xRqNgMThX
— Tim Cook (@tim_cook) 2020年4月5日
日本経済新聞は、アップルがこのフェイスシールドをすでに米カリフォルニア州にある医療機関に供給し、現場の医師から高い評価を得ていると伝えた。今後、1週間で100万個規模を供給できる体制を整えるという。
アップルの行動に唯々敬服する。この危機下にあっても、従業員に新たなミッションを与え、サプライチェーンを守り生産を続け、社会に貢献していく。
こうしたアップルの活動によって、どれほどの「命」が守られるのだろうか。
米自動車メーカのフォードやGMは異業種連携で、人工呼吸器を製造するメーカに部品を供給するなどして協力するという。感染拡大が続くニューヨークでは、人工呼吸器が不足しているとニュースで聞く。
日経クロステック/日経デジタルヘルスは、こうした背景に規制当局であるFDA(食品医薬品局)が規制緩和したことによると報道する。
「旭化成は2020年3月25日、子会社の米ZOLL Medicalが人工呼吸器の生産数を月間1万台に増やすと発表した」と日経クロステック/日経デジタルヘルスは伝える。
この人工呼吸器は日本にも輸入されてくるのだろうか。
ロイターは昨日、「迫る日本の医療崩壊、コロナ院内感染で人材ひっ迫」と報じた。
重篤患者の命を救う人工心肺装置「ECMO」の東京都の保有台数は今年2月時点で196台に過ぎないとロイターは伝える。
<明日は我が身>
一般の病院に勤務する30代の女性看護師はここ最近、医療用マスクを繰り返し使用するようになったと打ち明ける。
医療現場では通常、マスクは外すたびに破棄する。それが原則1日1枚に制限され、食事の際はビニール製の袋で密閉して管理、食べ終わったら取り出して装着する状況だという。
「米国でゴミ袋を防護服にしていた看護師が亡くなったという報道があった」
と、その女性看護師は言う。
「正直、明日は我が身なのかもしれない」。
(出所:ロイター)
これが医療現場なのかと絶句する。
昨日、小池都知事は記者会見で、「命守るのが最大の目的」と強調し、非常事態宣言への対応について説明したという。
先日、志村けんさんが亡くなられた。ご遺族のお話を聞いて身につまされた。
感染してしまえば、面会はできない。重篤化、命の危機に際しても会うことすらできない。荼毘にふされ遺骨となって帰ってくる本人を迎えるしかない。
日経ビジネスは、「米NY市が45台の遺体収容トラック調達、葬儀システムが崩壊」と報じた。
米ニューヨーク・タイムズは4月2日、ニューヨーク(NY)市が新たに45台の冷凍トラックを臨時の遺体安置室として調達したと報じた。新型コロナウイルスの感染拡大で死者が急増した同市では、医療システムだけではなく葬儀システムも崩壊しつつある。ブルックリン地区の病院では院内の遺体安置室だけでは足りず、遺体を収容するための袋も欠品している。市の検視機関は遺体の収容に駆けずり回り、火葬場も昼夜を問わず稼働している状況だ。(出所:日経ビジネス)
昨年、父は脳梗塞で倒れて1か月ほどして亡くなった。半身不随となり、しゃべれず、食べれずになった。2週間の病院生活ののち、医師に「回復の見込みがない」「難しい選択をして欲しい」と言われた。延命治療を施すか否かの判断であった。
「命の選択」
倒れる前の父の意志を尊重して延命治療を施さないことにした。
看護婦に「最後の食事は少し多めにしておきました」と言われた。
食事といっても鼻から栄養を補給することではあったが。
もう父は一滴の水も口にすることはできない。死を待つしかできなかった。
それでも、家族で選択ができ、話すことはできなかったが10日ほど父と目を合わすことはできた。
父が何を思い、何か家族に伝えたかったこともあったのではと思う。
少しばかりつらい経験だったが、今あるコロナに比べれば、一緒の時間を持てただけ幸せだったということであろう。
未知のウィルスは突然襲い掛かり、愛する人、家族を分断してしまう。
家族の意志に関係なく、もし医療現場でトリアージ「命の選択」がされることがあるとしたら。
医師にとっても、残される人にとっても悲劇でしかない。
どれだけの人がこの先、つらく悲しい思いをしなければならないのだろうかと思うと、心が張り裂けそうになる。
ドイツのメルケル首相は、国民に向けてのメッセージで、
『あなた自身とあなたの愛する人を大切にしてください。』
といった。
突然降りかかる災禍、突然の死。
死に目にも立ち会えない悲しみ。これほどきついことはない。
非常事態宣言が発令される。
「命」が最優先されるべきである。患者、そして、医療従事者の命が。