昨年12月に中国武漢で新型コロナの感染が始まり、2月にダイアモンド・プリンセスが入港、3月にWHOがパンデミックを宣言、もう4か月以上の時間が経過した。
感染の震源地中国や韓国がコロナから抜け出し、4月末、「コロナとの闘いに勝利した」と宣言したニュージーランドでは新規か感染者が「0」になったという。
短期的に終息するとの期待もあったが、それは単に希望的観測に過ぎなかった。日々流れる世界のニュースに一喜一憂し、一時は「コロナとの戦い」と思い込み、コロナを封じ込めねばとの使命感みたいなものもあったりしたが、今では、コロナは日常の中にあり、知らず知らずのうちに、コロナとの共生する生活が始まっているのだと気づかされる。
世界で最も長く続いていたイタリアでロックダウンの緩和が始まったとAFPが伝える。9週間ぶりの自由な外出といい、400万人以上が工事現場や工場に戻ったという。
イタリアでも、マスク着用が新たな習慣になったのだろうか、エスプレッソバーでの社交を楽しめなくても、それでもエスプレッソはイタリア人の生活に欠かすことのできないものかとAFPの写真をみて感じる。
世界各地で緩和が始まり、世界が少しずつ動き出したようだ。
スペインの様子をバルセロナ在住の日本人がブログに綴る。
既に先週の日曜日から、子供の外出が許可された。一日に1時間、家族の大人1人と一緒になら外出しても良し。
意外なことにこれが街の景色をガラリと変えた。
厳戒なロックダウン中のあの異様な世紀末感は街から子供の姿が消えていたせいもあったのだ。子どもの姿を目にするのがこんなにも癒しになるとは思いもしなかった。
花や動物に癒されていたのとは訳が違う。外で思いっきり遊びたい年頃の子供たちが家の中に閉じ込められて今までどんな気持ちだったんだろう。マスクをしながらも、自転車やローラースケートに乗って嬉しそうだ。(出所:デザインストーリズ 林真弓さんのブログ)
昨日、首相の記者会見があった。緊急事態宣言が今しばらく続くことになる。
安倍さんは、不安が、差別や誰かを排斥しようとする行動につながることを強く恐れると訴えた。
『感染のおそれを感じながら、様々な行動制約の下での生活は緊張を強いられるものです。目に見えないウイルスに強い恐怖を感じる。これは私も皆さんと同じです。しかし、そうした不安な気持ちが、他の人への差別や、誰かを排斥しようとする行動につながることを強く恐れます。それは、ウイルスよりももっと大きな悪影響を私たちの社会に与えかねません。誰にでも感染リスクはあります。ですから、感染者やその家族に偏見を持つのではなく、どうか支え合いの気持ちを持っていただきたいと思います』 (出所:首相官邸公式ウェブサイト)
観光地に出かけてしまう人、自警団みないな行動をする人、色々な人が現われては、政府や自治体が注意を促し、そんなことが当たり前になっていくのかもしれない。
そうしたことが幾度も繰り返されていき、いつしかそれも日常の中にとけ込んでいく。
ロックダウンが続くニューヨークでは、気温が上がった週末に多くの人が講演に出かけ、社会的距離のガイドライン違反で罰金を科せられたとAFPが報じた。
どこの国も同じということだろうか。
AFPによれば、クオモ知事は、「住民が退屈しているのは良くわかるが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者が減っていることや、他の州が経済活動を再開していることを見て「偽りの安心感」を得るべきではない」と訴えたという。
「他人を尊重、敬意をもって」と、人々の道徳心に呼び掛けていたようだ。
昨日、政府の専門家会議が会見し、「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」を公表、その中で、「感染拡大を予防する新しい生活様式について」も発表された。
今までに実践してきていることが主な内容だろうか。改めて確認ということなのだろう。
業種ごとの感染拡大予防ガイドラインが、気になる所だが、今回は、基本事項、留意事項の開示だけであった。今後、これをもとに各業界がガイドラインを作成することになるようだ。
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議
「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020 年 5 月 4 日)
「外出禁止で家庭関係が良好に? 不安増でもポジティブさ見いだす米国人」
とAFPは伝える。少しばかり意外だなと感じる。
AFPによれば、封鎖下の生活で不安を募らせる一方、パートナーや子どもと過ごす時間が増えた生活を喜び、趣味にいそしんでクリエーティブな活動を探求し楽しんでいる米国の人々の姿が、ある調査の結果から浮き彫りとなったという。
親の半数近くは親子関係が改善したと答えている。この理由としてはおそらく、80%超の親が子どもに対して、就寝時間やテレビやゲームの時間について家庭内のルールを緩めていることが考えられる。(出所:AFP BB News)
時事通信によれば、環境省がSDGsに関して新たな取り組みを始めるという。
新たな日常が始まるこの機を狙っての発表なのかと勘ぐってしまう。
環境省は、地球温暖化防止や水質・大気の改善といった普段の事業に取り組む際、環境だけではなく、「男女平等」や「経済活性化」といったさまざまな目標を併せて設定する取り組みを始める。女性の声を環境政策に反映させたり、雇用につながる気候変動対策を検討したりといったことを通じて、環境と社会、経済のそれぞれの側面でバランスのよい発展を目指す。 (出所:JIJI.COM)
AFPが「中国が俳句で日本にエール」と伝える。
「風雨同舟(困難を共に切り抜ける)」
一衣帯水の隣国同士で困難を共に切り抜けていこうということらしい。国ばかりでなく、自分のまわりの人々と共にということでもあろう。
世界各地で新しい日常が始まっている。失われたモラルを学び直していく時間なのかもしれない。
常識も変わっていくのだろうか。