Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

コロナが不安 それでもブレーキを踏めない「Go To」

 

 東京都内で新たに293人のコロナ感染者が確認され、また過去最高を更新した。

 感染が若い年代から他の年代にも拡がり始めたのだろうか。40代、50代がで全体の2割近くとなってきたという。

 全国への拡がりも気になる。

「患者が増えるスピードが病床の数を上回りそうで危惧している」と専門家が危機感を示していると NHKが伝える。

 菅官房長官は、「医療供給体制は逼迫している状況ではない」といい、「直ちに再び緊急事態宣言を発出する状況に該当すると考えていない」と明言したという。それに加え、Go Toトラベル事業について、「東京都以外の実施は差し支えないという専門家の意見を聞いている」と述べたという。

 

 時事通信によれば、東大の児玉龍彦名誉教授は「国の総力を挙げて(感染を)止めないと、ミラノ、ニューヨークの二の舞いになる。来月には目を覆うようなことになる」と指摘しているという。

 与党からも「タイミングが早すぎる」「慎重に対応を」との意見があるという。

 

首相は、今回のキャンペーンや10万円給付など新型コロナ対応だけでなく、検察庁法改正案の成立見送りなど土壇場での方針転換が目立っている。今回は国民の間でキャンペーンを見据えて旅行を予約する動きが既に出ていただけに、政権への一層の打撃になりそうだ。(出所:JIJI.COM)

 

www.jiji.com

 

 「旅行ツアーでは早くもキャンセルが相次ぎ、混乱が広がる」と毎日新聞が伝える。

 

「やっとここからって時に……残念です」

 旅行業者などが加盟する「東京都旅行業協会」の植竹孝史専務理事(67)によると、加盟社からは16日以降、「なぜ東京だけなんだ」「この先どうしたらいいんだ」という問い合わせが相次いでいるという。植竹専務理事は「都内の旅行業者にとっては致命的な状況。弱り切っている」と話す。

 植竹専務理事は団体旅行を中心に手がける「関東観光社」(東京都)の代表も務める。同社には夏場の予約キャンセルだけでなく、秋以降の予約も「保留させてほしい」との連絡が寄せられている。「希望が打ち砕かれました。9~11月は団体旅行シーズンでかき入れ時。いつ収束するのか不安で仕方ない」とため息をつく。 (出所:毎日新聞

 

mainichi.jp

 

 

 

  ブルームバーグによれば、菅官房長官が16日の記者会見で、インバウンドがほぼゼロで新幹線の輸送人員も大幅に減っており、国内の観光業は「大変厳しい状況にある」と指摘し、キャンペーンによる支援策で地域経済を回復させることができればいいなどと語ったという。

 

 みずほFGの佐藤康博会長は、経団連フォーラムで記者団に対して、厳しい経済状況を語ったという。

新型コロナで打撃を受けている旅館、ホテル、飲食店などは「いろんな政府の支援で資金繰りが当面なんとかもっている」が、キャンペーン開始が1-2カ月遅れた場合は「いよいよ持たなくなるところがある」と指摘。

延期する場合はさらなる支援策も必要との考えを示した。 (出所:ブルームバーグ

 

www.bloomberg.co.jp

 

 帝国データバンクは、「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2020 年 6 月)」を公表した。

 『マイナスの影響がある』と見込む企業が84.5%となり、2 カ月連続で減少したという。その内訳では、「既にマイナスの影響がある」(66.6%)、が前月から増加し、「今後マイナスの影響がある」(17.9%)は 5.4 ポイント減少したという。

 6月の調査という結果を反映したものだろうか。今後に期待があったということだったのかもしれない。


『マイナスの影響がある』と見込む企業を業種別企業でみると、以下資料のような結果だったという。

 

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(資料出所:帝国データバンク公式サイト「特別企画 : 新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2020 年 6 月)」

 

特に、「旅館・ホテル」や「飲食店」などの4業種では5カ月連続で企業の8割超が業績にマイナスと見込んでいた。

企業からも「営業努力によって需要の回復を図るには限界があるので、消費意識の早期回復を望む」(旅館、新潟県)や

従業員の雇用を守り、生活を守ることに主眼を置きたいが、非常に厳しい状況である。旅行業、観光業、飲食業などが大きな影響を受けているが、他業種から理解されていない」(一般食堂、三重県)といった意見が聞かれた。

(出所:帝国データバンク公式サイト「特別企画 : 新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2020 年 6 月)」) 

 

 

 

 政府が、17日、今年の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」を閣議決定したという。

  報道機関ごとで伝える内容が微妙に異なる。それだけ盛沢山、どれこれも一斉にと、優先順位のなさがあるのかなと感じてしまう。

 「政策の一丁目一番地を経済の再生」と位置付ける政府のことだから、こうした方針になってしまうのだろう。

 

西村康稔経済再生担当相は17日の記者会見で、

「今は財政を気にしていたら、国民の生命、雇用守れない」

とし、当面コロナ対策に全力を挙げる意向を示した。

一方、今回の骨太方針での目玉は、新型コロナで新たに露呈した課題や、相次ぐ自然災害への対応だ。

行政のデジタル化やテレワークの推進、東京一極集中の是正、人材育成、弱者へのしわ寄せによる格差拡大の防止、国内回帰などサプライチェーン改革といった5つの実行計画を年内に策定すること掲げた。

自然災害への対応としては、20年度を最終年度とする「防災・減災・国土強靭化のための3か年緊急対策」の後も、中長期的視点に立ち、必要かつ十分な予算を確保する方針を盛り込んだ。 (出所:ブルームバーグ

 

 ブルームバーグによれば、巨額債務を抱える日本の動向は「マーケットも注視しており、財政健全化の計画は持っているとアピールしていくことが必要」と、第一生命経済研究所の星野エコノミストが語ったという。

「経済」を政策の中心におくのであれば、マーケットの存在を無視することはできないということであろう。

 

新型コロナ対策に伴う第1次、第2次の補正予算編成の結果、20年度の一般会計の歳出総額は160兆円と前年の1.6倍に膨らんだ

その財源を賄うための新規国債発行額は90兆円を超えた。20年度末の国債発行残高は初めて1000兆円を上回り、PB赤字は当初9.2兆円から66.1兆円に膨らむ見通し。20年度1-3月期の名目GDPは年546.8兆円だ。 (出所:ブルームバーグ

 

www.bloomberg.co.jp

 

 気になることは、「気候変動対策と防災・減災」「感染症に対する防疫体制と公衆衛生」「財政再建」。

 将来世代に「つけ」を残さず、「SDGs」を考慮し、国際貢献を果たしつつ、持続的な成長が実現できればいいのだろう。

 本年度単年で、前年の1.6倍にも及ぶ160兆円を使う必要があるのだろうかと感じる。

 

 

 

  政府が示した「経済財政運営と改革の基本方針2020~危機の克服、そして新しい未来へ~(案)概要」にはこんな文言がある。

 この文言だけを切り取れば、理念としては合格点なのかもしれない。

 

ポストコロナ時代の新しい未来

新たな経済社会の姿の基本的方向性

= 「新たな日常」を通じた「質」の高い経済社会の実現

●個人が輝き、誰もがどこでも豊かさを実感できる社会
(柔軟性・多様性、変化や失敗の許容、ワーク・ライフ・バランスの実現)

●誰ひとり取り残されることなく生きがいを感じることのできる包摂的な社会
セーフティネット、人とのつながり、不安に寄り添う)

●国際社会から信用と尊敬を集め、不可欠とされる国
自由貿易の維持・発展、新たな国際秩序・ルールづくり、国際協調・連帯)

 

  今回政府が示した骨太方針に関する資料が官邸公式ページに示されている。どの資料も膨大であまり読む気になれない。

 Go To キャンペーンにもかかわるところ「観光」について、まず確認してみた。

 以下、政府が示した資料から引用する。

 

「経済財政運営と改革の基本方針 2020 ~危機の克服、そして新しい未来へ~ (案)」

① 観光の活性化
ポストコロナ時代においてもインバウンドは大きな可能性があり、2030 年に 6000 万人とする目標等の達成に向けて、観光先進国を実現するために官民一丸となって取り組む。
各国との人的交流回復までの時間を活用して、空港やCIQ60など入口の整備、多言語表記などストレスフリーで観光できる環境整備、スノーリゾート整備や文化施設・国立公園などの観光資源としての更なる活用等、新たなコンテンツづくりに取り組む。

高額な消費を行う旅行者をも念頭に宿泊施設の整備や経営内容の見直し、外国人接遇能力の向上、体験型アクティビティの更なる充実など着地整備を促す。

(出所:首相官邸公式ページ「経済財政運営と改革の基本方針 2020 ~危機の克服、そして新しい未来へ~ (案)」

 

 「成長戦略フォローアップ案」

 観光立国の実現
新型コロナウイルス感染症の影響により、観光需要は大きく減少し、全国の旅行業、宿泊業はもとより、地域の交通や飲食業、物品販売業など多様な産業に深刻な影響が生じている。

こうした観光関連産業は、我が国が観光立国として生きていく上で重要な基盤であり、宿泊施設等の観光インフラが損なわれることのないよう、まずは雇用の維持と事業の継続を最優先に取り組む。このため、持続化給付金や実質無利子・無担保融資、雇用調整助成金等の支援策を実施していく。さらに、内外の観光客を呼びこむ意欲のある中核的な宿泊施設を中心に、施設の改修や経営内容の見直しを促すとともに、多様な資金の確保のために必要な措置を講ずる。

この中で、感染の状況等を見極めつつ、「Go To Travel(観光)」事業を開始し、旅行商品の割引と旅行先で幅広く使用できる地域共通クーポンの発行により、観光需要を強力に喚起し、需要の平準化も進めつつ、国内観光の回復を図る。

また、これを契機に、ワーケーション、ブレジャー、サテライトオフィスの活用など働き方改革とも合致した、より安全で快適な新しい旅行スタイルを普及させる。

安倍政権発足以来、外国人旅行者は約4倍の約 3,200 万人となり消費額も約5兆円と地域経済に貢献する存在となっている。インバウンドに大きな可能性があるのは今後も同様であり、2030 年 6,000 万人の目標は十分達成可能である

そのため、「明日の日本を支える観光ビジョン」(平成 28 年3月 30 日明日の日本を支える観光ビジョン構想会議策定)及び「観光ビジョン実現プログラム 2020」(令和2年7月 14 日観光立国推進閣僚会議決定)等に基づき、2030 年に訪日外国人旅行者を 6,000 万人とする目標等を達成し、観光立国の実現をすることを目指して、官民一丸となった取組を進める。

 (出所:首相官邸公式ページ「成長戦略フォローアップ案」

 

  ここまで、成長戦略として力を入れてきたことは理解はできる。後戻りすることが難しいこともわかる。

 しかし、ウィズコロナ、ポストコロナにおいて、観光を成長戦略に位置付けたままでよいのであろうか。

 優先順位の変更があってもよいのではないか。

 経済を優先したいのだろうが、国民の生命を脅かすような行為は許されないはずだ。

  

 

 

 Forbesによれば、「IMFの試算では、景気悪化による2020〜21年の経済損失は、世界全体でおよそ12兆ドル(約1280兆円)にのぼる」という。

観光業や娯楽産業に依存した国はとくに大きな影響を受けると予想する」という。

 

経済を「再開」すべきかどうかをめぐる政治的な議論はいっさい時間の無駄だとしたらどうだろう。

なぜなら、不況を深刻化させているのは政府の命じる閉鎖措置ではなく、新型コロナウイルス感染症にかかることへの人々の不安だからだ。 (出所:Forbes) 

 

forbesjapan.com

 

 少し極端な意見のような気もするが、経済は人々の感情によって左右されることを思えば、正しいのかもしれない。

 安心・安全が何よりも求められているのであろう。

 

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(出所:首相官邸公式サイト「未来投資会議(第41回) 配布資料」

 

 

「関連文書」

www.nikkei.com

 

www.sankeibiz.jp

  

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