「感染拡大のピークに達したと考えられる」と、新型コロナ分科会の尾身会長が指摘したという。一安心といいたいが、まだ高止まりの状態が続ているようだ。
「再び増加するおそれがあり引き続き注意が必要だ」ともいう。まだ気を緩めてはいけないのだろう。
調査会社のTSR東京商工リサーチが、全国の中小企業30万社が廃業の危機に瀕しているという衝撃的なニュースを流す。7月28日~8月11日に実施したTSRのアンケート調査の結果をもとにした見解のようだ。
アンケート回答の業種別では、飲食店の廃業検討率が4割近く(38.2%)に達する。また、旅行や葬儀、結婚式場などを含む「その他の生活関連サービス業」は33.9%、宿泊業は26.4%で、個人向けサービスを展開する業種の廃業検討率が平均を大幅に上回っている。 (出所:東京商工リサーチ)
1年以内の廃業検討率3.7%は決して楽観できる数値でなく、「検討」が「実行」に移行しないようきめ細やかで迅速な支援が求められると、TSRは指摘する。
こうした事態からすれば、「Go To キャンペーン」に意義を見出すことはできるのだろう。
そのGo To キャンペーンのひとつ「Go To トラベル」が始まって1か月経つ。
「異例の夏」とNHKはいう。
人の移動のデータからみると、単に「減った」という言葉だけでは表せない深刻な現実が見えきたと指摘する。
全国平均で去年の同時期に比べ、人の移動が61%に落ち込む。
大都市圏から離れたところで顕著で、交通や観光に携わる人が多い地方にとっては、1年の中で最も稼げる時だけに、非常に厳しいデータだという。
東京女子大学の矢ケ崎紀子教授は、「旅行者が重視している感染対策を付加価値としてしっかりと売り出すことも大切だ」と指摘しているそうだ。
「気軽に行けて価格が高い温泉旅館や「1人参加」が条件のツアー商品が好評な一方で、都内の宿泊施設は苦境が続いている」とJIJI.COMは伝える。
「Go To」をきっかけに感染症対策を強化し、業績を回復させた有馬温泉の旅館「欽山」の事例を紹介する。
『Go To』が回復の背中を押してくれた。
「神戸から近く、感染症対策をしていて安心して宿泊できる点が評価されている」と欽山の小山社長は話しているという。
コロナ対策として宿泊客1組に対し2部屋を用意、客がくつろぐ間に別部屋で食事を用意するプランを導入した。
価格は4万円前後からで、社長の小山嘉昭さん(52)は「食事を運ぶ従業員らとの接触が避けられる」と狙いを説明する。
提供できる部屋数は減ったものの、以前は稼働率が低かった平日の宿泊予約が増加し、売り上げは前年比8割まで回復。 (出所:JIJI.COM)
浅草経済新聞は、蔵前駅近くのラーメン店「蔵前元楽総本店」のコロナ対策を紹介する。
「本当は無菌室と同等の仕様にしたかった」
天井には「高性能電子空気清浄機」を新たに設置。店内の浮遊ウイルスを除去するもので、病院や製薬、飲料、食品メーカーでも使われるというクリーンルーム用フィルターの酵素技術を応用している。 (出所:浅草経済新聞)
店長の滝澤恒央さんは「ここまで対策を施す店舗もなかなかないと思う。安心して食事を楽しんでもらえたら」といい、常連客からも好評だという。
こうした事例が増えれば、感染リスクも幾分かは減少するのだろうか。
また、それが業績を回復させるきっかけになれば、それこそ感染予防と経済の両立が成り立つ。
ロイターは、オーストラリアのグリフィス大学で都市・環境計画の上級講師を務めるトニー・マシューズ氏の提言を伝える。
観光業に大きく頼っている都市は、異例の危機に直面しつつある。
「彼らは大量の観光客を再び目にするまでじっと耐えるのか」。
それとも、「目玉となる新しい産業や経済の開発に着手するのか」。
だが、都市経済を再構築するのは難しい。
少なくとも利益が出るぐらいのモデルが既に整っていない限り、観光依存モデルからは簡単に脱却できない。 (出所:ロイター)
ロイターによれば、コロナ対策の導入を機に、一部の都市では、従来の観光一辺倒の戦略を見直す方向に動いているという。
スペインのバルセロナ市は、観光客について「量より質」を重視する方向にかじを切り、地元の食文化を前面に出して、より支出額の大きな旅行客の誘致を目指すと表明。
アムステルダム市が推進するのは、住居や医療などの生活改善や温暖化対策、生物多様性のための社会的、環境的目標をより優先する経済振興モデルだ。 (出所:ロイター)
グリフィス大学のマシューズ氏は「観光収入の目減りが見込まれるので、アムステルダムが他の方法で経済の土台を改善しようとするのは妥当だ」という。
「とはいえ、都市というのは、長年かけて観光地としての側面を築き上げ、経済と結びつけてきた。やむを得なくなるまでは、そのやり方を変えたくはないだろう」ともいう。
人間の心理なのかもしれない。
公明党の山口代表が、「Go Toトラベル」の効果検証を求めたという。
感染が始まった頃は、何もかもが初めてのことであった。その時期に比べ、多くのことを経験し学びがあったはずである。
「特別な夏」が通りし過ぎようとしている。コロナ対策を見直す時期なのかもしれない。
インフルエンザの季節になる前にコロナ対策を確立しておく必要があるのだろう。
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