世界の新型コロナウイルス感染症による死者が150万人を突破し、週平均では9秒間に1人が亡くなるペースとなっているとロイターが伝える。
米疾病対策センター(CDC)のレッドフィールド所長は前日、今後数カ月が「米公衆衛生の歴史において最も困難な時期になるだろう」と予想。「2月までに米国で45万人近くの命が失われる可能性がある」と述べた。 (出所:ロイター)
米国ではすでに27万人超える人たちが亡くなっているというのに、この先3か月余りでさらに同数以上の人たちの命が奪われる可能性があるという。信じ難い話だ。国内は大丈夫なのだろうかと心配にもなる。
赤信号
国内では、大阪のコロナ感染状況が、赤信号になったという。重症者が増え、医療崩壊の可能性が否定できなくなってきたようだ。吉村知事は「医療非常事態宣言を発令する。緊急事態宣言とは違うが、今はその一歩、二歩手前だ」と話したという。府民にできる限り不要不急の外出を自粛するよう求めているという。
今日4日夕方、菅首相が記者会見を開くという。どんな話になるのだろうか。
厳しい論調も報道も増えているようだ。感染拡大防止を第一優先、そんな話が聞きたいと思う。
回復している経済指標とあるべき感染対策
ロイターは今年5月ごろを底に景気は回復局面に入ったと考えるのが素直だと指摘する。景気動向指数の基調判断は、早ければ来年1月に発表される11月の指数で「上方への局面変化」に変更されそうだという。
そう指摘したうえで、「成長拡大だけでは命と経済は両立しない」という。
目先の経済成長を高めるよりも、地道な感染防止に注力するべきだ。成長率を無理に高めようとする政策が感染リスクを拡大させる。
もちろん、このままでは立ち行かなくなる会社、自営業、個人が増えているのは事実だ。しかし、それは特定の業種に限った話ではない。需要誘発的な刺激策で救われる会社や個人は限られる。本当に救いたいのであれば、景気刺激効果が乏しく、予算規模もはるかに大きくなるが、社会保障としての政策で幅広い救済措置をとるべきではないか。 (出所:ロイター)
このロイターのコラムを書いた鈴木氏は、単純に米国の経済回復を比較し、自ら成長率が低いとすべきではないという。
米国の高成長が、世界最悪の感染状況と引き換えに実現したのであれば、日本が見習うべき姿ではない。 (出所:ロイター)
公益重視すべきとき
気候変動に対峙しようと世界の多くの国がその方向に動きだし、企業の多くが、「株主利益」より「公益重視」の姿勢に転じるようになったと聞く。だが、コロナの不意打ちはそれを実行することの難しさを浮き彫りにしているという。
足元の危機を乗り越えるためには、企業はレイオフや早期退職を進めなければならなったのかもしれない。しかし、それでは「公益重視」とも言い難い。
中国が早くコロナを収束させたことで、今年、世界で唯一経済成長がプラスになるという。中国の感染対策が100%正しいとは言い切れないが、何かを学び、対策すべきときなのかもしれない。
「感染予防と経済の両立」という難解な課題を設けて、その解決に苦慮しているだけのことではなかろうか。少々嫌気もさしてくる。成長率の多寡を別にすれば、もう経済は回復している。そろそろ潮時、優先順位の変え時なのかもしれない。
命を大切にするときが来ているような気がする。