「おせっかいバンカー」というタイトルにひかれて「目撃!にっぽん」(NHK)をみた。
「おせっかい」、他人のことに対して、よけいな行動をとること、そんな意味があるのだろうか。
他者への手助けになれば、良い結果を生み、度が過ぎて、出しゃばり、いらぬ世話と思われると干渉になって悪い結果を生んだりするのだろう。その匙加減が難しい。
「おせっかいバンカー」とは、京都信用金庫が、縮小する地方で、生き残るために始めた独自の道だとNHKは説明する。 この信用金庫には営業のノルマがないという。
営業マンが客を訪ねてもカネの話はしない。
業績が低迷する中小企業、起業する若者…「おせっかい」と称して1人1人にじっくりと向き合い、支店総出で課題解決に全力を注ぐ。
地域の企業が元気にならないと、自分たちの利益は生まれないと、目先の利益は捨てることにしたのだ。 (出所:NHK)
www.kyoshin-business-assist.jp
前のことだが、とある信用金庫と取引があった。
ある営業マンは、ここでいう「おせっかい」をよく焼いてくれた。互いに相手が何を求めているのだろうかと会話なかで探りあっていたのかもしれない。こういうときは、それが起点になって不思議にものごとがうまく進んだりしたものだ。
あるとき、営業マンが変わった。銀行マンであると、ある周期で転勤になることは仕方がないことなのだろう。新しくきた営業マンは自分たちの用事があるときしか来ないようになった。当然会話も弾まない。新たなものが生まれないのは当然ことなのだろう。
「おせっかい」には、1+1を3にする力があるのかもしれない。
ソニーが、新規事業開発を推進する「SSAP(Sony Startup Acceleration Program)」というプログラムを立ち上げたのは2014年のこと。この話を聞いてソニーも変わったと、当時感じたものだった。
そのSSAPの責任者の小田島氏が、ソーシャル経済メディア NewsPicks主催のトーク番組「NewSession」に登壇し、SSAPについて話をする。
SSAPは、ソニーの「おせっかい」かと感じた。
このプログラムからは、ソニーの新たなスマートウォッチ「wena3」が生まれたり、スマートロックなど、今までのソニーになかった新たな商品が生まれたそうだ。
新規事業開発のフローに、あまりテクノロジーの力が入っていないこと。この分野においては、いまだ精神論が根強く残っていると感じました。
スタートから精神論の要素が強いと、新規事業にチャレンジする人はさらに少なくなってしまいます。(中略)テクノロジーを活用して、新規事業に取り組む最初のハードルを下げることが重要だと思っています。 (出所:NEWSPICKS)
小田島氏が語る話に思い当たる節が多々ある。
かつて同じ職場にいっということで、声がかかり、力を借りて一緒に仕事を進めることができるかと思ったが、内部を説得できずに、大魚を取り逃がしたことを思い出す。
sony-startup-acceleration-program.com
「おせっかい」を焼いてくれる人のことを疑ってしまえば、そこからは何も生まれずに、後悔だけが残る。
ソニーも京都信用金庫も、「悪循環」ではなく、「善循環」を生み出そうとしているのではなかろうか。
しかし、「悪循環」がなくなることはないようだ。
激化する米中対立が心配になる。「人権問題」でおせっかいを焼くと、それを出過ぎた行為とし干渉という。
国家となると「おせっかい」は受け入れがたいものだろうか。
せめて企業や個人は、そんなことを模倣せずに、「おせっかい」から善循環を生み出していきたいものだ。
「時代は変わった」「改革が必要だ」。そうした言葉が溢れる昨今ですが、大切にしたいことは何か、それさえ見失わなければ、きっと未来は自分たちの力で築いていけると、NHKの番組ディレクターはいう。
「あげなきゃいけない実績って何なのか・・・」
「おせっかい」が誰かのためになれば、そこから生まれてくるものの価値は計り知れないのだろう。