Up Cycle Circular’s diary

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【高騰を続ける食品価格とバイオテクノロジー】「ゲノム編集」はその解決に役立つのだろうか

 

 食品価格の高騰が続く。J-オイルミルズは、2021年8月2日(月)納品分より、家庭用油脂製品などの価格を再値上げすると発表した。

 今年3回目の値上げで、今回の値上げ幅は50円/kg。原料である大豆や菜種、パーム油などの市況が高騰し続けていることが理由のようだ。

www.j-oil.com

 今年4月1日出荷分、6月1日出荷分でも、それぞれ30円/kgの価格改定を発表していたが、その後も米国の大豆相場は需給逼迫や今作付け期の低温懸念により急騰しているという。 

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 その米商品市場では、農産物価格が8年ぶりの高値になったという。ブルームバーグによれば、小麦とトウモロコシ、大豆はいずれも2013年以来の高値を付けたそうだ。

農産物相場の高騰は主要生産国の悪天候が主な原因。

乾燥した天候は米国やカナダ、フランスの小麦と、ブラジルのトウモロコシに悪影響を及ぼす一方、アルゼンチンでは雨が大豆の収穫を遅らせている。

米国の穀倉地帯がこの夏、干ばつに見舞われるとの懸念も相場高騰の背景にある。 (出所:ブルームバーグ

www.bloomberg.co.jp

 このコロナ渦にあって厳しい現実だ。天候不順の影響と聞けば、この先、食糧危機が現実化するのかとやきもきし、改めて農業の重要性を感じずにはいられない。

 

 

「砂漠化や土地の劣化、干ばつによって毎年地球上で1200万ヘクタール以上の土地が失われ、農地の半分以上を含む、地球の5分の1以上の土地が傷付いている」、そう指摘するのは国連総会議長のボルカン・ボズクル氏。

 地球の土地劣化の現状を語り、その対策を毎日新聞に寄稿する。

mainichi.jp

「砂漠化」が進むと、生物を育むことができなくなってしまうほど、土壌が大きなダメージを受ける。砂漠化の深刻な影響が土地の劣化だという。

 豊かな農地をゆっくりと侵食していく砂丘や干上がって河川や水路なども砂漠化の一部という。

 今後25年間で土地の劣化が進めば、世界の食料の生産性が最大12%低下し、食料価格が30%上昇する恐れがある。 (出所:毎日新聞

「土地を回復させることは、より栄養価の高い食物を育み、きれいな水を安定的に供給し、生物多様性の喪失に対処できるようになる。気候変動を緩和し、そして変動に適応することにもつながる」と指摘する。

 

 

 こうした現状を鑑みれば、輸入ばかりに頼ることなく、食料自給率を向上させていけばと思うが、その国内でさえ、異常高温や低温、大雨など気候変動の影響を受け、野菜などの価格は乱高下する。

 農林水産省が5月12日、「みどりの食料システム戦略」を発表した。

www.maff.go.jp

 その内容は多岐にわたり、気候変動に適応するスーパー品種の開発などが戦略に上がり、病害の抵抗性を有し、生産性や品質の優れた品種の開発も取り上げる。

 こうした品種開発は「ゲノム編集技術」が支えることになるのだろうか。

「ゲノム編集」、思い通りに標的遺伝子を改変する技術のことをいう。自然の摂理に反するようで、まだ抵抗感を感じる。ただ今後予想される食糧危機や気候変動を思えば、避けて通れないことなのかもしれない。

「毒がないジャガイモ」がゲノム編集で作り出され、そのイモを野外栽培すると朝日新聞が伝える。

digital.asahi.com

「バイオエコノミー」の時代が始まっているということなのだろうか。 

 脱炭素を進め、世界の国々が2050年のカーボンニュートラルを達成したところで、地球の平均気温は1.5℃前後上昇することが予想される。そうした現実を前提し、持続可能な社会を目指すのであれば、こうしたバイオテクノロジーの利活用は不可避なのかもしれない。

 しかし、そこには常に「倫理」の問題があることを忘れてはならないのだろう。