産業技術総合研究所とトヨタ自動車 未来創生センターが、CIS系太陽電池ミニモジュールを共同で開発、世界最高となる光電変換効率18.6%を達成したという。
CIS系太陽電池の軽量かつフレキシブルな特性を活かし、従来製品では導入が困難だった場所への設置が可能となり、太陽光発電の普及を後押しする可能性があるそうだ。
「これからの太陽光発電には、立地制約克服型の新たな太陽電池と、さらなるコストダウンが求められている」と産総研はいう。
場所の制約を受けずに太陽光パネルの設置拡大につながればいいのだろう。
山梨県で6月上旬、再生可能エネルギーの電力でグリーン水素を製造するP2G(パワー・ツー・ガス)システムの試運転が始まった。このプロジェクトには、山梨県や東京電力ホールディングス、東レなどが参加する。ここで製造された水素は、山梨県内の工場やスーパーマーケットへ輸送され利用するそうだ。水素の本格利用に向けたアクションということであろうか。
東レの日覚昭広社長は朝日新聞のインタビューに答え、「『環境プレミアム』なんてないと思っています。それは、「環境に良いから高く買ってもらえる」という考え方は甘いということです。既存の製品よりも付加価値をつけた上で、安くしないといけません」と語る。
気候変動対策とは、緊急性を要するかもしれないが、何ももう特別なことではないのだろう。日覚社長が指摘するように「環境プレミアム」ということはナンセンスなのかもしれない。他の新商品と同じように扱われるべきであろうし、そうしなければならないのだろう。
黎明期なら兎も角、これほどニーズがはっきりしてきているのだから、特別視するのは不要なことなのかもしれない。意識を変えていくことが求められている。
太陽光発電関連の「テクノシステム」が融資金詐欺事件を起こして、社長が会社法違反(特別背任)などの容疑で再逮捕されたという。会社を私物化した放漫経営の典型例かもしれない。驚くのはこういう会社が上場を目指し準備を進めていたということ。たいへんショッキングな事件だ。
成長産業などと過度な期待が、特別視につながったりしたのだろうか。そうしたことで、太陽光事業者も勘違いを起こしてしまったのだろうか。SDGsの悪用といってもいいのかもしれない。
米国でも、太陽光パネルの設置が加速しているようだ。バイデン大統領が進める「クリーンエネルギー普及計画」で劇的に拡大するとみられるが、原材料価格と輸送コストの高騰という大きな課題にも直面し、太陽光発電システムの設置事業者は、人員逼迫にも見舞われているとロイターはいう。
価格上昇圧力があるため、事業者は既存契約の再交渉を働き掛けてきたが、市場の競争が激しいため、有利な条件を引き出せないでいる。 (出所:ロイター)
太陽光だ、環境ビジネスなどといっている時期はもう過去のことになったのではなかろうか。他の産業と同じように、ごく普通に、市場の状況を鑑みては、新たな技術開発を急ぎ、早急に立ち上げていくことが求められているのだろう。そこには競争が働ているし、楽してできるということはもうないのだろう。襟元を正してもらいたい。