日本中の住宅の屋根や農地を太陽光パネルが埋め尽くす、そんなシナリオも荒唐無稽なものではなくなりつつあるとブルームバーグがいいます。
国の脱炭素政策あってのことか、急激に太陽光発電が急拡大しているといいます。IRENA国際再生可能エネルギー機関によると、太陽光発電能力は20年時点で中国と米国に続き世界3位となっているそうです。
日本は主要国の中で、国土面積1平方キロメートル当たりの導入量が最大だといいます。それでも、50年時点の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合を約5~6割にするためには、260-370GW規模の太陽光が追加で必要との見方を経済産業省が示しているとブルームバーグは指摘します。
それによりますと、屋根置き型:107GW(ギガワット)規模、地上設置型:152GW規模、メガソーラー発電所:110GW規模。これまでに約67GW導入されてきたことからすると、その規模の大きさがわかります。
この数字を是とするなら、相当大胆な施策実行がなければ、実現できないよう気もします。逆にそれだけ大胆にアクションできれば、必然経済成長するということでもあるのでしょうか。
省エネと効率性改善の必要性を痛切に感じます。
国の脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会が6月3日に開催されました。
日本経済新聞によると、国や自治体が公共建築物をつくる場合は原則として太陽光発電設備を設置し、再生可能エネルギーの導入量を増やすといいます。新築住宅での太陽光の設置義務化は見送ったそうですが、断熱材の活用などの省エネ基準を満たすようにするといいます。
外壁や窓に高断熱材を使ったり、高効率な空調、発光ダイオード(LED)照明を導入したりする対策が重要になる。
国交省の試算では、平均的な戸建て住宅で省エネ基準を満たすには約11万円の追加費用が必要で、光熱費が下がって回収できるまでに37年かかる。
米政府が、中国の太陽光発電関連企業5社が新疆ウイグル自治区で強制労働を行っているとして、その関連企業からの輸入を禁止したといいます。その影響が心配されます。輸入規制の対象となる太陽電池の主原料ポリシリコンの高騰、それに伴うパネルの高騰などの憂慮もあるようです。
そのポリシリコンの世界の供給量の45%は、新疆ウイグル自治区で生産されているといいます。
国内ではシリコンに頼らない新たな太陽電池の開発が進んでいるようです。次世代の太陽電池として普及が期待されているのが、ペロブスカイト太陽電池。次世代の本命として実用化競争がすでに始まっているといいます。従来のシリコン系の太陽電池より製造コストの低減が期待でき、また、発電効率もシリコン系と同等の20%の水準までに達してきているといいます。
軽薄短小となれば、場所の制約がなくなり、効率化の改善は設置面積を縮小させることが可能になります。また、サプライチェーンの制約がなくなれば、シリコン系のような高騰の危機にさらされることもなく安定的な調達が可能になるのではないでしょうか。
これまでの太陽光発電関連の様々な失敗の経験を活かして欲しいものです。無秩序な設置を抑制することも求められるはずです。適度に規制があることで、SDGsに準拠した持続的な経済成長にもつながっていくはずです。