Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

成功するグローバル企業は、サスティナビリティと利益のどちらを優先するのだろうか

 

 アフリカ南東部にマラウイという国がある。内陸国で、大地溝帯マラウイ湖によって隔てられた高地の地形が特徴だという。そのマラウイでは、まだ電気を使えない人々がいるそうだ。

 AFPによれば、北部の村ヨベヌコシに住む一人の男性が自家製の水力発電機で、周辺世帯に電気を供給していると伝える。

冷蔵庫部品でDIY水力発電機 村に電気を運ぶマラウイ男性の挑戦 写真12枚 国際ニュース:AFPBB News

 家の前の小川で水力発電をはじめたという。ありあわせの部品で発電機を作り、小川の水力を利用して発電、家に電気を引いたそうだ。

うわさは瞬く間に広まり、近所の人たちが携帯電話の充電をしに定期的に訪れるようになった。

「電気を使いたいという声が届き始めたので、規模を大きくすることにした」 (出所:AFP BB NEWS)

 

 

 その男性は、古い冷蔵庫のコンプレッサー(圧縮機)を再利用、タービンに改造して小川に設置、6世帯分の電気をつくったそうだ。現在は、使われなくなったトウモロコシの実を軸から外す機械のモーターを再利用し、より大きな水車を回し、村に電力を供給しているそうだ。村人は月に1ドル(約110円)あまりの維持費を支払っているという。

 SDGs、持続的な開発目標のお手本のようなものなのかもしれない。

 その小さな発電所を開設した彼は、小規模電力網を周辺地域にも広げたいと考えている.....

 1ドルの維持費では、ビジネスとしては成り立たないのだろう。それより、それを広めて困っている人々の役に立ちたいとの動機が彼をかりたてているのだろうか。もしかしたら、その彼も何年後には立派なビジネスマンになっているかもしれない。

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 飲料メーカのサントリーは、社会との約束として「水と生きる」を掲げ、水資源の保全活動に力を入れているそうだ。天然水がビジネスの生命線ということが理由のようだ。

サステナビリティーは競争戦略: 日本経済新聞

 日本経済新聞によれば、サントリーは2003年から「水源涵養(かんよう)活動」に力を注ぎ、グループの国内工場でくみ上げる地下水量の2倍以上の水の涵養を実現という目標を19年に達成したそうだ。今後は、その知見をグローバルに広め、世界の水危機回避のために貢献していくという。

 

 

 そう話すのは、サントリーの新浪社長。「サステナビリティを新しい産業にしていく、新たな成長の糧にしていくという考え方が大変なスピードで広がっています」といい、「世界はその競争戦略の渦に巻きこまれ、我々もいや応なくその中で戦うことになります」と指摘する。

お金を動かしてもうけるというグリーディー(貪欲)な考え方の中に、リサイクルなどを通じて自然資本の使用を最小限に抑える仕組みを持ち込むことで、サステナビリティを実現しながら経済を成長させなくてはなりません。(出所:日本経済新聞

 環境保全活動のルール作りが欧州で進み、そこに中国や米国も入り込んできている.....

「日本の企業もグリーディーな部分を強く出していかないといけません」、「より貪欲にもうける、勝ち抜く強い意志と企業の新陳代謝をどんどんやっていかないと更に海外に後れをとってしまう。そんな危機感を持っています」と、新浪社長はいう。

 違和感のある発言だ。

 欧米のグローバルに成功している企業は、「サスティナビリティの実現」を目標にし、ビジネスによってそれが達成できることを知っている。それを実現すれば、顧客からの支持を得て、信頼が増し、さらにビジネスが発展していくことも知っている。そして、その結果が利益だ。利益は顧客からの支持のバロメーターに過ぎない。

 

 

 彼らは「サスティナビリティ」の実現に貪欲なのかもしれない。だからこそ、大きな利益が上げることができ、グローバル企業にも成長したのだろう。世界一の企業になったアップルはその好例だろう。

 結果だけをみれば、勘違いするのかもしれない。

 ティムクックCEOは、アップルは地球環境のために働くとはいうが、決して利益のために働くとはいわないだろう。そして、毎年期末にはこれだけ利益があったと報告するだけだ。

「日本はもっとグローバルな戦いの方向にかじを切らなければやっていけません」、「日本は多くの場面で蚊帳の外だった」と新浪社長はいう。儲けることばかりに執着し、貪欲になるから蚊帳の外になったのではなかろうか。

 もうけることばかりのサントリーは、「水と生きる」といいながらも、マラウイの彼を支援しようとはしないのだろう。儲からないという理由で.....