Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【デジタルとSDGs】1次産業を人々が集う魅力ある職業にできないだろうか

 

 デジタル社会、炭素中立社会への変革を円滑に進めるためには、 スキル向上、再教育の充実、副業の活用といった人的投資の充実が鍵と首相が17日、施政方針演説で述べていました。

【全文】 岸田首相 初の施政方針演説 | NHKニュース

 気候変動問題への対応について、「新しい資本主義の実現」においても克服すべき最大の課題といっています。

 そして、2050年のカーボンニュートラルの目標実現に向け、単に、エネルギー供給構造の変革だけでなく、産業構造、国民の暮らし、地域の在り方全般にわたる、経済社会全体の大変革に取り組むといいます。

 しかし、まだその内容はエネルギー分野に偏っているとの印象を拭えませんでした。この先、「クリーンエネルギー戦略」をまとめ示すそうです。それによって日本の目指すべき方向が見えてくるのでしょうか。

 

 

デジタル田園都市国家構想とSDGs

「高齢化や過疎化などに直面する地方においてこそ、スマート農林水産業などにおいてもデジタルサービスを活用できるようにする」と首相はいいます。

5G基地局を信号機に併設するなど多様な手法で民間投資を促し、自動運転や、ダイナミックな交通管制、ドローンなど、未来のサービスを支えるインフラを整備します。

デジタルサービスの実装に向けて、規制・制度の見直しを進めます。

単なる規制緩和ではなく、新しいルールを作ることで、地域社会に新たなサービスを生み出し、日々の暮らしを豊かにすることを目指します。(出所:NHK

 これまでもデジタル、デジタルと何度も聞かされきました。そうは言いつつも、いつも分厚い規制に阻まれ、一向に進んだ印象がありません。どちらかといえば、既得権益保護しているようにさえ見えていました。

例えば、「運転者なし」の自動運転車、低速・小型の自動配送ロボットが公道を走る場合のルールや、ドローン、AIなどの活用を前提とした産業保安のルールを、新たに定めることで、安全を確保しながら、新サービス展開の道を拓きます。(出所:NHK

 どれもこれも必要なことかもしれません。必要に合わせて整備できればいいのでしょう。今さら、これらで世界を相手に競争するには出遅れているのですから。

 

 

 それよりは、SDGsウエディングケーキの底辺を為す、目標6,13,14、15、それに加え、目標2を対象に、優先的にデジタル化を進めてみてはどうでしょうか。

(資料:stockholm resilience centre)

 1次産業が魅力的な職場になれば、地方も活性化し、もしかしたら、生態系維持に役立ち、自然環境保全につながるかもしれません。

模索始まる持続可能な農業

 JIJI.comによれば、地球環境に優しい農業への転換が各地で始まっているそうです。政府は、2050年までに化学農薬の使用量を半減、化学肥料は30%減とする目標を掲げ、これに呼応するように、持続可能な農業の実現へデータやITを活用した効率化で環境負荷軽減に取り組む農家が増えてきたといいます。

動きだす「持続可能な農業」 データ活用し環境負荷軽減:時事ドットコム

地球温暖化で気温や湿度が上昇して病気や害虫の発生が増える中、「農薬や化学肥料を一切使わないのは非現実的」という。その上で、環境への負荷が大きい農薬や廃棄物をどこまで減らせるか。データ収集による効率化で、種苗や農薬の費用を平均の半分~3分の1まで縮小させた。(出所:JIJI.com)

 これ以外にも、ドローン利用による農薬散布でも農薬、肥料の削減の動きもあるそうです。農水省によれば、ドローンによる農薬散布⾯積は約12万haに達し、これまでの約6.5万haから約2倍に拡⼤しているといいます。ドローンによるピンポイントでの農薬散布を⾏うことで、動⼒散布機械に⽐べて散布量を30〜50%削減することができ、作業時間も 50〜75%削減できるまでになったといいます。

 

 

農業による気候変動対策「カバークロップ」

 米国では農務省の新たな保全プログラムが始まり、2030年までにカバークロップの作付け面積を3000万エーカーに倍増することを目指すそうです。

カバークロップは、作物を作らない期間に土壌侵食の防止などを目的に栽培される作物のことで、これにより土壌が改善するほか、炭素を吸収・貯蔵することができるといいます。

米、カバークロップ作付け面積倍増へ 気候変動対策で | ロイター

 ロイターによれば、農務省傘下の自然資源保全局(NRCS)が、3800万ドルを投じて11州で農家のカバークロップ作付けを支援するそうです。

 日本でも取り組むことができるかは不明ですが、こうしたことで農家の収入増にもつながればいいのでしょう。

「今年をスタートアップ創出元年とし、5か年計画を設定して、大規模なスタートアップの創出に取り組み、戦後の創業期に次ぐ、日本の「第2創業期」を実現する」と、首相が述べたそうです。都会だけが創業の地とならないよう、1次産業にもその門戸を開いたらどうでしょうか。

 

「関連文書」

アングル:米農家、炭素を吸収する「カバークロップ」に着目 | ロイター