ウクライナに侵攻したロシアに対して軍事行動を直ちに中止するようICJ 国際司法裁判所が命じたという。ICJの決定は拘束力を持つが、それを行使する直接的な手段はないという。ロイターによれば、これまで判決が無視されることがまれにあったという。今回もロシアは無視することになるのだろうか。
ウクライナのゼレンスキー大統領はツイッターで「完全な勝利だ」と歓迎した上で、「ICJの命令は拘束力がある」とし、「ロシアが命令を無視すれば、さらに孤立する」と述べた。(出所:ロイター)
ICJは、ロシアの武力行使を「深く懸念している」と表明したという。
守るべき国際秩序が存在するのに、それらが等閑にされ、今も戦争が続き、犠牲者が増え被害が拡大している。
諸行無常、万物はいつも流転し、変化、消滅がたえないというが、これまでの常識、これまで正しいとされたことが覆り、「力が正義」とばかりに、自己主張の強いものがルールを作っていくのではないかと恐怖を感じる。
資金流入が減るサステナブルファンド
今も続いている戦争は投資の世界にも影響し、サステナブルファンドの魅力が欠損、資金流入が減っているという。
アングル:サステナブルファンドへの資金流入鈍る、ウクライナ侵攻で | ロイター
サステナブル(持続可能)株式ファンドへの資金流入が2月に鈍化したとロイターが報じている。ロシアのウクライナ侵攻で投資家心理が下向き、天然ガス価格の高騰やエネルギー安保を巡る懸念を背景に石油・ガス部門の魅力度が増したという。
サステナブル株式ファンドの大半を占めるESG(環境・社会・統治)ファンドへの資金流入額は前月から60%減り、94億ドルとなった。(出所:ロイター)
なんとおぞましい現実ではないか。平和や人道、人権が蹂躙され、気候変動対策までにも影響しそうだ。たった一人の人間が起こした行動が、折角、ここまで培ってきた世界の規律に悪影響を及ぶことになってしまうのだろうか。
Tシャツ姿で演説する大統領は新しい規範を示しているのか
一方で、一人の勇気ある者が、この試練に果敢に挑み続けている。
ウクライナ大統領ウォロディミル・ゼレンスキー。Tシャツ姿であちらこちら国々の議会で演説を行い、支援、協力を求めている。
ウクライナ大統領のTシャツ批判、ネットで炎上-金融界の通念も変化 - Bloomberg
米国では議会でオンライン演説した大統領のTシャツ姿を批判した投資家がネットで炎上したという。
もしかしたらゼレンスキー大統領は、新しい規範を示しているのかもしれない。服装もさることながら、危機的状況における協力の必要性も示しているのだろう。理不尽な行為を単独では止めることはできなくとも、みなが力を一致させれば、どんな困難も越えることができると示そうとしているのだろう。
そのゼレンスキー大統領が23日、国会でビデオ演説するという。何に言及し、何を訴えるのだろうか。米議会では真珠湾攻撃に言及し、どっきりさせられたが、米軍によって続けられた日本各地への空襲や原発投下、その後のソ連によるシベリア抑留や北方領土問題、原発事故など、日本人が忘れてはならない歴史にふれ、共感を呼び覚ますのだろうか。そこでは思いやりとか助け合うということが説かれるのだろうか。
「民主主義国家において、主権者たる国民の心を揺さぶることが一番と考えて行動するのでしょう」と、ジャーナリストの江川紹子さんがツイッターで指摘したという。
江川紹子氏がゼレンスキー大統領の演説に私見「かなりの戦術家。スピーチライターはすごく優秀」 - 社会 : 日刊スポーツ
新しいリーダー像をゼレンスキー大統領が今示してくれているのかもしれない。対立を煽り、分断を助長するような風潮からもうそろそろ抜け出るときなのかもしれない。