Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

顕在化する諸課題、途絶える供給網、止まらないエネルギー高騰、企業の力で解決できないか

 

 中国での経済指標の悪化を受けて、円安に一服感があるようです。ただ安値水準に大きな変化はなく、円安の進行が少し止まったというところでしょうか。

 様々な変化が一気に起こり、逆風に晒されているかのようです。円安により輸入価格は上昇し、中国でのコロナ渦の影響でモノの入荷が遅れ、製造業にとっては厳しい状況になっています。

「過去に例がない」原料高が製造業を圧迫-トヨタも値上げ苦慮 - Bloomberg

鉄鋼など素材メーカーを中心にさらなる値上げを模索するが、一般の消費者を顧客とするトヨタ自動車など完成品メーカーでは簡単に上げられない事情もあり、相殺するのは難しいとの見方も出ている。(出所:ブルームバーグ

 製造メーカが踏ん張り、企業努力無くして、この厳しい状況が打開されることはないのかもしれません。

 

 

東電の甘え、政府の助け舟

 日本初となる大型の洋上風力発電の入札で三菱商事陣営が、低価格を売りにして、プロジェクトを総なめにしました。この入札に敗れた東京電力再生可能エネルギー事業を手がける東京電力リニューアブルパワーの永沢昌社長は「欧州並みの価格競争になった。遜色のない価格をつくれるか検討している」と、朝日新聞のインタビューで述べ、次回の入札に向けて戦略の見直しを進めていると明かしたといいます。

東電子会社社長が受けた衝撃 洋上風力「この価格でやれるのか」:朝日新聞デジタル

 少々悠長ではないでしょうか。この苦境を予想できなかったとしても、脱炭素がメインストリームになり、それを加速させるのであれば、コストを低減させ、競争力ある価格を作りこまなければなりません。

売電価格は2海域で応札した東電陣営より2~3割も安く、永沢氏は「本当にこの価格でやれるのかと衝撃的だった」と振り返った。次回からの入札に向け、「(コスト削減の)工夫の余地が見えてきている部分もあるが、遜色ない価格が示せるか、結論は出ていない」と話す。(出所:朝日新聞

 政府は価格がより重視される現在の審査基準を見直し、「地域への貢献」などが評価項目として重視されるそうです。これに対し、東電は期待感を示しているといいます。

 政府の助け舟に期待する甘えが企業の改革を遅らせるのかもしれません。やるべきことをやっていれば、自ずと競争力は見につくはずです。

 

 

 東電の期待もおかしなもので、地域への貢献を果たすのであれば、プロジェクトを受注しなけばなりません。そのためには消費者に低廉な価格を提供することが最低条件です。そのために、どれだけ地域を包含し、競争力あるスキームを作れるかにかかっているのではないでしょうか。地域だけが得することが「地域への貢献」ではないはずです。

 こうした態度で高騰を続ける電力価格に終止符を打てるのではないでしょうか。

品薄解消とサプライチェーン改革

サプライチェーンに多大な影響を与える事象が続く中、製造業はどのようにレジリエンスを高める取り組みを進めるべきなのか」と、MONOistが問題提起しています。

サプライチェーン強靭化のため、まずは現地・現物主義からの脱却を:サプライチェーン改革(1/2 ページ) - MONOist

サプライチェーンレジリエンス向上は、製造業が最優先で取り組むべき課題の1つである。

言うまでもなく、供給網の途絶は顧客への製品、サービス供給の停止を意味し、自社に大きな経済的損失を与えかねない。これを防ぐ上では自社の製品在庫や、人員などのリソース、サプライヤーのリスク評価を適切に可視化し、管理する仕組みづくりが必要だ。(出所:MONOist)

 グローバルサプライチェーンが潮流となったというにもかかわらず、未だにこのレベルにあるのだから、生産性は低いままで、モノの流れの断絶が生じるのかもしれません。

 記事は「国内製造業の基本だった現地・現物主義を脱却し、日本の優秀な人材が成り立たせていたプロセスをデジタル化、自動化で改めてつなぎ直す必要がある。(社会全体で)将来的な人材難が予測される中で、人が介在しすぎないシステムが求められている」と指摘しています。

 それで供給網の断絶を回避でき、品薄解消につながるのでしょうか。

 

 

 コンピュータが登場して以来、その活用からプロセスのデジタル化、自働化は避け得なくなりました。新たなインフラが登場し、社会が変化していけば、課題も変化していくものです。常に完成されたシステムなどは存在することはなく、最新ツールを活用した見直しが求められます。

 あくまでも基本は、現地、現物主義で変わらないはずです。問題は、常に現物と現地において生じるものです。それを最新ツール、デジタル化などを活用して、最適化、システム化していくものです。ツールはツールでしかありえませんが、効率化を補うことはできます。原理原則、基本が忘れられ、手段に走れば、本末転倒のもとです。変革など起きようがありません。

 状況の変化とともに、課題も変化していきます。それに追従していかなければ、常に後追いのままにです。悪循環を断たなければ、状況の改善に時間を要することになるのでしょう。

 まずは、現地、現物主義に則り、問題を科学的に緻密に分析し徹底的に対処し、そこから得られた知見をデジタル化で標準化していく、そうすることによって生産性は向上していき、モノの滞りも解消されていくのかもしれません。