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消費電力で規制されそうな仮想通貨、失った信用の回復はあるのか

 

 ビットコインなど暗号通貨の採掘マイニングを禁止する法案が、米ニューヨーク州で可決したといいます。環境に与える影響への懸念の高まりに対処するものといいます。先に中国でマイニングと取引が禁止され、米国やカザフスタンでマイニングされるようになっていたそうです。

NY州議会、ビットコインのマイニングを禁止する法案を可決 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

 Forbesによれば、今回禁止されるのは、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)と呼ばれる方式のマイニングだそうです。PoWは、プルーフ・オブ・ステークPoSなどの方式に比し、エネルギー消費が多いと言われています。新たなコインのためのマイニングなどで消費される電力は、小さな国の年間消費量と同程度とみられているそうです。ただセキュリティ面では、PoWが最も安全な方法であるとも言われているようです。

 ニューヨーク州知事がこの法案に署名すると成立するといいます。

 

 

 米政府もまた、ビットコインなどの暗号通貨のエネルギー消費量と環境への影響に焦点を当てた政策提言の作成に取り組んでいるといいます。ビットコインやその他の暗号通貨のプラスとマイナスの両側面を掘り下げたレポートが、8月に発表される予定といいます。

米政権、暗号通貨の電力消費量に関するレポートを準備中 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

 中央支配機関を持たずに、ネットワーク参加者全体によってその信用を形成されるとしたビットコインなどが、環境面から国や自治体から規制されようとは、始まった頃には想定もできなかったことではないでしょうか。この先、この他にも国による干渉を受けることはあるのでしょうか。

 一方で、マイニング業者は急増するコストを賄うため、保有するビットコインを売却し始めているといいます。

仮想通貨採掘業者、保有ビットコイン売却-業界減速や価格低迷で - Bloomberg

 業界の成長が減速しているほか、ビットコイン価格は過去最高値からの急落後、回復する兆しをほとんど示していないといいます。

 「仮想通貨の冬」と言われるようになり、業界での人事の見直しにも影響しているようです。 米最大手の仮想通貨取引所であるCoinbaseが、社員の新規採用計画を見送り、既に決定していた社員の採用を取り消すことを発表したそうです。

世界最大級の仮想通貨取引所・Coinbaseが内定取り消し、 ソフトバンク出資の仮想通貨取引所も次々とリストラ - GIGAZINE

 さらに、ブラジル最大の仮想通貨取引所の親会社が社員の10%分の人員削減を実施するなど、市場低迷による影響が現れているといいます。

 

 

 そうした中、オンライン決済サービスの米ペイパルは、暗号資産チーム拡大を続けていくそうです。ブルームバーグによると、特定の暗号資産(仮想通貨)を対象に、他のユーザーや取引所、外部電子財布(ウォレット)との振り替えを可能にする新たなサービスを提供するそうです。

ペイパル、仮想通貨の振替サービス開始へ-NY州のライセンスを取得 - Bloomberg

 ペイパルのシニアバイスは「デジタル通貨の商業利用や決済は将来、著しい規模になると当社は考えている。われわれが参加しているのは長期戦だ」と述べているといいます。

 ただ足下では「不安定でリスクが大きく、インフレにも弱いとみなされているビットコインにとって、足元のマクロ環境は追い風とは程遠い」とロイターは指摘しています。

仮想通貨は今どんな投資家の購入対象にも入らない。(出所:ロイター)

 元々、ネットワーク参加者全体で信用を形成するのが仮想通貨だったはずです。信用から大きく乖離してしまっているのかもしれません。信用の回復はあるのでしょうか。何のための仮想通貨なのかも問われていそうな気がします。

 

「参考文書」

アングル:「暗号資産の冬」終わりのサインか、下げ続く余地も | ロイター