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アサリ産地偽装の解決に一役買って出たデンソー、自動車部品メーカの新規事業は農業

 

 熊本県産のアサリで産地偽装の問題があり、熊本県はこれを問題視し、2月に出荷を停止しました。その後、熊本や福岡県で販売が再開されていたようですが、6月に入ってからは西日本を中心とする全国に拡大したといいます。

アサリの産地偽装なくせ QRコード活用、水揚げから店頭まで追跡:朝日新聞デジタル

 この問題では、輸入アサリを熊本県内の海で短期間育て熊本産と偽っていました。再発防止のためでしょうか、消費者がアサリの産地情報を的確に確認できるトレーサビリティーのシステムを導入したといいます。

 このシステムを開発したのは、大手自動車用部品メーカのデンソー。使い勝手は悪くないといいます。

 

 

 そのデンソーは、熊本県と「くまもとの食の流通管理システム構築等に向けた覚書」を締結、あさりトレーサビリティシステムの定着支援や他の農林水産物への活用、農林水産物の価値向上に向けた流通面での取り組みの検討を進めていくといいます。

 なぜ自動車部品メーカのデンソーだったのか。

 そんな疑問がわきましたが、デンソーは新規事業のひとつとして農業を既に始めており、不思議なことではないようです。

モノづくりの技術で農業を変える、デンソーが進める食分野事業とは:スマートアグリ(1/2 ページ) - MONOist

生産から流通、消費に至るまで、デンソーが食分野への事業展開を強化していると、MONOistはいいます。

 記事によれば、「自動車領域で培ったカイゼンや環境制御、自動化などの技術をフードバリューチェーンに展開したい」と、デンソー フードバリューチェーン事業推進部の清水室長はそう意気込んでいるそうです。

(写真:デンソー

 デンソーは2019年、創業100年超の浅井農園と合弁会社を設立し、国内最大級となる4haの大規模ハウスでトマト栽培を始めたそうです。そこには、収穫ロボットや収穫物の自動搬送、タブレット端末なども活用した生産管理システムなどを導入しているといいます。

箱の中で毎日のように作り、出荷するのは工場と何も変わらない。同じモノづくりとして、さらに効率的に、よいものに変えられないかと取り組んでいる。農業と工業を融合した技術開発を進めて、施設園芸の新しい在り方を追求していく。(出所:MONOist)

 ユニークな取組なのでしょう。自分たちの強みを理解し、その応用ができる分野を探索した結果ということなのでしょうか。

 

 

「効率化」、「改善」というと、無機質で冷たいとの印象があるのかもしれませんが、そうではなくて、本来は人にとって優しいものでなければなりません。人の負荷を下げるための活動とか、その例ではないでしょうか。

 農業においても、そういうニーズがあったということなのでしょう。

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「非常に新しい取り組みだと評価されている。何よりも、ほとんど退職者がいない。まるでデンソーの工場のように働いてくれている」と笑顔を見せる。そして、既存施設向けには温度や湿度、光などを24時間自動制御するプロファームコントローラーなどを販売、「静岡県や愛知県を中心に使われている」。(出所:MONOist)

 こうした事例がもっともっと増えていけばいいのかもしれません。「効率化」、「改善」を必要とする仕事は多々あるのではないでしょうか。

 

「参考文書」

熊本県産アサリ、11日から全国出荷再開へ 流通監視強化: 日本経済新聞

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