トヨタ自動車は、電動車の開発で培った電池技術と車載部品などを活用した住宅用蓄電池システム「おうち給電システム」を開発したと発表しました。6月2日より先行予約を開始し、8月より総合施工会社を通じて、日本国内で販売するそうです。
米テスラも日本国内で、「パワーウォール」という家庭用蓄電池システムを販売しています。
自動車メーカが単なる自動車メーカではなくなっていくのでしょうか。自動車を構成する要素技術ごとに、商売に変えていくのかもしれません。
トヨタ自動車のTier 1であるデンソーは、この「おうち給電システム」の車両給電アダプタや蓄電池ユニットの中に搭載されるインターフェース、スマートフォン・タブレット端末向けの専用アプリケーション、蓄電池システムの情報を収集する蓄電池システムサーバーの開発を担当したといいます。
自動車生産で培ってきた技術を、自動車ばかりでなく、応用できる他の分野に広げたということなのでしょうか。
デンソーの半導体戦略 ~半導体不足に対応
「電動化や自動運転など、モビリティのテクノロジーの進化が加速するにつれ、半導体の役割は重要になり、車載半導体は今後ますます増加していく」と、デンソーのCTOの加藤 良文氏は、「半導体戦略説明会」でそう述べています。
デンソーは、「半導体を、マイコン&SoC、パワー&アナログ、センサーの3つの領域に分け、安定調達と開発に取り組む」といいます。
足元の半導体不足には、「N+1年」でオーダーを確定させ、「N+2年」で内示、半導体の長いリードタイムに合わせた発注に変えていくようです。これまでの在庫レスの流れに逆行するずいぶん思い切った施策ではないでしょうか。需給が振れれば、大量の在庫を発生しかねません。トヨタの需給予測の正確性がこうした大胆施策を可能にしたのでしょうか。
マイコン&SoC、パワー&アナログ、センサーの3種にカテゴライズされた半導体はそれぞれに異なった戦略でアプローチしていくといいます。単に半導体を調達するのではなく、取引先を含めそれぞれの強みを活かしていくということでしょうか。この先キーとなるパワー半導体では内製化対応を選択しています。それぞれの半導体ごとにサプライチェーンを分析、把握したうえで、その最適化のために、自社の持つ技術を組み込んでいるようです。キーとなる部品においては、その取引先と不可分の協業という形態に見えます。
こうした戦略で調達力が強化され、それと同時に技術開発により差別化も強化されていくのかもしれません。
TPS、トヨタ生産システムによって、あくなき効率化を追求するトヨタグループの強みといっていいのでしょうか。
自動車部品のデンソーが農業に進出
そのデンソーが定款を変更して事業目的に農業を追加すると発表したといいます。農業の関連設備や農産物の生産・販売を手掛けるそうです。
日本経済新聞によれば、6月の定時株主総会に付議するそうです。
自社ロボットによるトマトの自動収穫の実証を2020年から進めてきたといいます。これに加え、品質管理ノウハウも農業に応用することもできるといいます。自動車部品の生産に加え、そこで培った自動化技術を生かした農業の効率化を新規事業として強化するといいます。
技術などの知を深耕、進化させ、それを応用できる場を常に探索することを怠らなかった結果ということでしょうか。
入山章栄教授×電通デジタルが語る「両利きの経営」にDXが必要な理由 | Business Insider Japan
「参考文書」
デンソーが半導体の調達強化、2025年に内製2割増 外部発注も前倒し | ロイター
「デンソー半導体戦略説明会」を開催 | ニュースルーム | ニュース | DENSO - 株式会社デンソー / Crafting the Core /
デンソー、住宅用蓄電池システム向け製品を開発 | ニュースルーム | ニュース | DENSO - 株式会社デンソー / Crafting the Core /
トヨタ、電動車用バッテリーの技術を活用した住宅用蓄電池システムを発売 | コーポレート | グローバルニュースルーム | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト