Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【脱炭素とバイオエコノミー】再エネ、水素といわれる中、デンソーは「藻」を研究

 

 IEA国際エネルギー機関(IEA)が、「2050年までに二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにするための工程表」をまとめたそうです。この特別報告書が5月に公表され、その内容を日本経済新聞が解説しています。

www.nikkei.com

IEAは再生可能エネルギーの導入拡大を前提に、電化が気候変動対策の原動力になると考えている

製鉄では電炉、車両では電気自動車(EV)などの電化が高度に進展することで化石燃料需要が減り、CO2の排出も減るとのロジックだ。 (出所:日本経済新聞

 地球上には無尽蔵な再生可能エネルギーが存在しています。太陽光、風力、地熱、波力などなどあげればきりがないほどたくさんあります。

 

 

 IEAは、豊富な再生エネ電力があれば、化石燃料の需要は減り、CO2の地下貯留(CCS)といった技術の必要性も低下すると指摘しているそうです。一方、穀物などを使ったバイオマス燃料については、生物多様性や農業の持続可能性を守るためか、供給量があまり増えるとは見込んでいないといいます。そのためなのでしょうか、航空部門のエネルギーの3分の1は水素からつくる合成燃料で賄われるとのシナリオを描いているそうです。

「シナリオは1つの正解を与えてくれるものではない。想定をみて、実質排出ゼロは難しいと考えるだけか、ボトルネックにチャンスがあると考えるかは、読み手次第だ」と日本経済新聞は指摘します。

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 その通りなのでしょう。世界全体で必要となる再生可能エネルギーは膨大な量となり、それを必要な期日までに設備できるのか、そんな疑問があってもおかしくはないのでしょう。その補完のためには水素が必要になり、それを安価に大量に製造する技術と設備も必要になります。新たな成長のエンジンとも言えそうですが、一方で脱炭素目標もクリアにしていかねばなりません。難しいという理由はこうしたことにあるのでしょう。

 ただ、水素はたいへん危険な物質です。

 1937年にはツェッペリン社の「ヒンデンブルク号」が爆発事故を起こしました。その時に燃料に積んでいたのはヘリウムではなく水素でした。その当時、飛行船技術は、テクノロジーと贅沢の象徴だったともいいます。

 福島での原発事故も同じことが言えるのかもしれません。あの爆発事故も水素に引火してのことでした。

 水素を完全否定する気はありませんが、その危険性と隣り合わせであることは常に考えておかなければならないと思います。

 

 

 太古の昔、誕生したばかりの地球は過酷な環境にあったといいます。その地球を生き物が棲めるような環境に変えてくれたのが、約25億年以上前の海に誕生した「藻」だといわれています。

 デンソーによると、「シアノバクテリア(ラン藻)」 と呼ばれる藻は、地球上で最初に酸素を発生する光合成の能力をもった生き物だといいます。彼らが海中で繁殖した結果、光合成でできた酸素が海で飽和して、次第に大気へと排出、生き物にとって欠かせない酸素を生み出し、地球を緑豊かな多様な生物が住める環境に変えたのですといいます。

 デンソートヨタグループのティア1に属し、自動車関連の製品を作っていますが、今「藻」の研究を進めているといいます。

www.denso.com

ものづくり産業は、変わらなければならない。

「このままの体制で、CO2を出し続けていてはいけない」という危機感を持っていました。そして、カーボンニュートラルに向けた製造プロセスの見直し、よりエコなエネルギー源の検討をする中で、バイオ燃料の原料として注目され始めていた、藻の存在を知ったのです。 (出所:デンソー

 これが「藻」の研究を始めた動機のようです。そして、小さな生き物である藻が集まることで、気候変動を抑制し、カーボンニュートラルな社会へのひとつの解になるとデンソーは言います。

 再生可能エネルギー、水素などの技術開発が重要であることは理解できます。しかし、そればかりでなく、「藻」などを活用したバイオエコノミーの推進も必要になっているように思います。