Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

共通の規範を作ってサステナブルなワイン造りを進めるカリフォルニアから学ぶべきこと

 

 サステナブルな取組が活発な米国カリフォルニア州、カリフォルニアワインもまたサステナブルな方法で生産されているといいます。

 Forbesによれば、カリフォルニアワイン協会が20年以上前から、ブドウ栽培とワイン造りが持続可能なものになることを目指し、規範作りを進め、認証基準や指針を出すなど、その促進に努めてきたといいます。

ワイン造りもサステナブルが要に。カリフォルニアワインの取り組み | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

 その規範は500ページにも及ぶといいます。中核となる理念は、「environmentally sound」環境面で健全で、「socially equitable」社会的に公正で、また「economically feasible」経済的に妥当であることといいます。

 カリフォルニアのワイナリーの80%がこの認証を受けているそうです。こうした取り組みが、消費者に透明性と信頼を与えるといいます。

 

 

 昔ながらの伝統的なワイン造りを大切にするワイナリーのリッジ・ヴィンヤーズは、有機農法によって、ブドウを育て、また、ワイナリーを改築した際には、建物の屋根を南向きに設置し、太陽光発電を始め、ワイナリーで使用する電力の75%を賄っているといいます。また、建築資材には、リサイクル資材や自然な断熱効果が期待できる藁素材を使うなど、様々なところで工夫がなされているそうです。

 伝統を墨守するのではなく、そこに新しさを加えることで「サスティナビリティ」が実現するのかもしれません。

 自然に過負荷をかけ続ければ、自浄作用が奪われ、持続可能なブドウ栽培ができなくなるのかもしれません。農薬や化学肥料に大量に使えば、品質を維持することはできるのかもしれませんが、健全とはいえず、今この時代の情勢にも適合するものではありません。

 手間はかかるのかもしれませんが、伝統的な方法がより柔軟であり、土地土地がもつ強みに気づきを与えるものなのでしょう。

 

 

 日本では、飲料大手のキリンが高品質なブドウを持続的に生産するために、周囲に田畑や雑木林、草原が混在する、世界でも珍しいブドウ畑「椀子ヴィンヤード(長野県上田市)」を2003年に作ったといいます。

 そして、2019年には、「シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー」 をオープンさせ、「日本を世界の銘醸地に」というビジョンを掲げ、日本をワイン産地として世界にアピールしていくといいます。

『キリン流・CSV経営学』先進の気候変動対応と生物多様性保全への取り組みでポジティブインパクトを世界に広げていく- 日経ビジネス電子版 Special

 このブドウ畑の生態系調査を2014年から、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構と共同で行い、これまでに希少種を含む258種の野生植物と168種の昆虫が確認したそうです。その流れを受け、今年4月には環境省が主導する「生物多様性のための30by30アライアンス」に加盟、また、将来的には国際的な認定制度である「生物多様性保全に貢献する場所(OECMs)」に登録することも視野に入れているといいます。

 素晴らしい活動なのでしょう。また、ビジョンにマッチするものなのかもしれません。ただそれで十分なのでしょうか。

 

 

 世界的にも有名なカリフォルニアワインが業界一致してサスティナビリティに取り組んでいます。日本ワイン全体としてはどうなのでしょうか。

 国内のひとつのワイナリーだけを世界にアピールするのではなく、日本全体で底上げした方がより効果的に思えます。既にあるものを活用するのも有効なことかもしれませんが、カリフォルニアのように業界基準を自ら作り、それを世界にアピールしてもよいのではないでしょうか。

 兎角、日本は国際ルール作りが弱いといわれます。自らのことには汗をかけるのでしょうが、業界のため、社会のためには今ひとつ動機がわかないということでしょうか。このままでよいのでしょうか。