Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【時間の価値】時短、倍速、タイパで、時間という資源を有効活用できているか

 

 時間ほど貴重な資源はないといいます。「時が解決してくれる」といい、難題でさえ、時間が解決してくれるのですから、効率的に時間を使うことにこしたことはないのでしょう。

「倍速」による時間効率を重視する傾向が強くなっているといいます。タイムパフォーマンス(タイパ)志向の消費者が増え、音楽や映画にドラマなどのコンテンツを倍速で見たり、スキップする、家事や買い物も時短、そればかりでなく学習においても、「ファスト教養」があったり、ビジネスでは即断が貴ばれるといいます。

 

 

「無駄な時間を過ごしたくない」ということが背景なのでしょうか。

ヒット曲「サビまで待てない」 倍速消費、企業も走る: 日本経済新聞

 博報堂生活総合研究所の消費者調査では、生活行動の高速化を求める比率は1999年の37.4%から、2019年に57.4%へ上昇していると記事は指摘しています。

 日清食品が攻勢をかける「完全メシ」もその一例のようで、必要とされる33種類の栄養素をすべて含むカップ麺などで、短時間で食事を終えられるようにしているといいます。

 商品としてはありなのでしょうけれども、利用の仕方としては少々行き過ぎはないのでしょうか。これが最近の文化なのかもしれませんが、何事ももう少し余裕を楽しむという価値があってもいいように感じます。

倍速視聴

 デジタル化やサブスクの普及で、コンテンツ入手のコストや手間が急減し、その瞬間に興味でスイッチできるようになっているといいます。「特に若い世代は不安定な低成長期で育ち、少しでも時間という資源を有効に使いたい意識が強い」と青山学院大学久保田進彦教授が指摘しています。

 一方で、「なるべく多くのコンテンツに触れたい」とか「見るべきコンテンツをすべてチェックしたい」とか、そういった場合、落とし穴もあるといいます。

人生はたった4000週間。さて、どう過ごす?

 通常の倍のスピードで映画が観られると「こっちの作品も観てみようかな」と欲が増えて、本当に観たい作品を賢く選択する代わりに、倍速というテクノロジーがなければスルーしていた作品にまで手を出すことになると記事は指摘しています。

 これでは、倍速によって見るコンテンツの量がどんどん増えていくばかりで、かえって時間の価値を損なってしまうといいます。

 

 

ファスト教養

「ファスト教養」は別に悪いことではないと、一橋ビジネススクール教授の楠木建氏はいいます。

【対談】ビジネスパーソンを虜にする「ファスト教養」を斬る

ファスト教養に対するニーズの背景には「勉強しないと競争から脱落してしまう」という焦りや不安がありますが、それは、問題がないから不安が出てくるだけの話です。本当の問題が目の前にあれば、不安なんて感じないですよ。要するに、暇だから余計なことを考えるわけです。不安な人には「まあ、落ち着け」と言いたい。(出所:Newspicks)

「時間がない」という思い込みが、自分を不安させ、拙速な行動を好むようにさせるのでしょうか。

即断してブレない

 「即断」「ブレない」、卓越したリーダーシップの持ち主のように見てしまいます。これももしかしたら、思い込みのひとつなのかもしれません。不確実な現代社会では、「遅く考える」ことも重要であるという意見もあるそうです。

結局「遅く考える人」が賢い理由

ルーティン的な課題に取り組んでいるかぎりは、ある種の習熟に支えられた「磨かれた直観」という意味での即断即決が有効に働く場合もあるでしょう。しかし、テクノロジーの進歩が著しく、政治的な状況もどんどん変わる現代において、即断即決は「実際には有効ではない解決策」をもって問題に取り組んでしまうという危険性をはらんでいます。(出所:Newspicks)

 記事は、「直感は無意識的に働くので、放っておくと人は「連想マシン」になってしまう」と指摘し、それがエラーの原因になるといいます。そこに意識的にストップをかけ、「最初に考えついたことを、まずは「そうじゃないんじゃないか?」という形で否定してみてはどうかといいます。それによって「遅く思考する」が成立するといいます。

 

 

まとめ

 日本はかつてない高速化社会に突き進んでいるかのようだと日本経済新聞は指摘しています。

資本主義経済とは、何かを手に入れたいという欲望の創出と消費のプロセスだ。それがデジタル化を追い風に動画や音楽配信SNS(交流サイト)、ショッピングと人々を新たな行動に追い立てる。(出所:日本経済新聞

 1日24時間、人生にも限りがあり、時間を無限に使うことはできません。時間が最も価値ある資源といわれる所以でしょうか。

 多くの人は仕事と睡眠に1日の半分以上の時間を費やすことになります。残り時間をどう使うかということは非常に関心のあるテーマなのかもしれません。倍速で時間を使えば、効率的で有効活用していると思えるのかもしれませんが、それがかえって時間の浪費につながっていくのではないかと思えたりします。その時々、一瞬一瞬を大切にして楽しみ、仕事や余暇の時間などを有意義で楽しいことにするために使った方が価値があるのではないかと感じます。そのほうが充足感や満足感を得られそうな気がします。

 倍速消費の意義を考えてみてもいいのではないでしょうか。