毎年のように異常気象が世界各地で発生するようになり、地球温暖化の影響を意識せざるを得なくなりました。パキスタンで発生した大洪水には北部山岳地帯の氷河の融解も影響したといわれており、それが証になっていないでしょうか。
こうした問題の解決の目途が立たぬうちに、新型コロナのような感染症のパンデミックが起こり、サプライチェーンが混乱するようになり、物価高騰の引き金を引きました。それに加え、ウクライナ危機によって混迷が深まり、物価高騰に歯止めがかからなくなりました。
しかし、この問題の解決の糸口はまだ見えていません。たいへん厳しい時代に突入してしまったかのようです。
どの国も似たり寄ったりのでしょうが、エネルギーと食料品の価格が著しいようです。
米国では、食料品の高騰を背景に、消費者の節約志向などもあって、PB プライベートブランドが急成長しているといいます。
食品価格の高騰が収まらない米国で、プライベートブランドが躍進 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
「インフレ傾向が続くなかで、多くの消費者にとっては、ブランド名よりも価格のほうが重要になりつつある」、米国においてもそんな傾向が現れているそうです。
収入の高低を問わず、節約できれば誰でもうれしくなるものだ。こうした消費者心理が、プライベートブランドにチャンスをもたらしている。(出所:Forbes)
節約の価値は普遍的なもので、どの国においても同じということでしょうか。
平時においてもどんなときにおいてもそれは変わることのない価値なのであれば、日銀が、物価の上昇を目標にしてきたことが間違いだったのではないかと考えてしまいます。
日本においてもPBが奮闘し、価格抑制に尽力しているように映ります。また、スーパーマーケット業界も商品値上げの圧力から客を守っているといわれます。
日本に迫る「食料危機」に英紙が警鐘…このままでは戦後の「コメとサツマイモの時代」に逆戻り | 円安と物流の停滞で供給システムが大打撃 | クーリエ・ジャポン
しかし、過度に低価格路線を維持すれば、賃金の改善は期待できず、また、原材料価格の上昇分を商品価格に転嫁できなければ、自分で首を絞めかねず企業が生き残るのは難しくなるといいます。
こうした危機下にあって、日本の食料供給システムの構造的なリスクが露呈しているといいます。
記事によれば、食料安保専門家は「農業改革をただちに実行に移さなければ、現代日本の洗練された食生活は、コメとサツマイモでしのいでいた1940年代に逆戻りしかねない」と警鐘を鳴らしているといいます。
もはや「日本は世界のどこからでも、好きなものを好きな価格で買える」という状況ではありません。いまこそ、すべての人に食料を供給するための新しい戦略を考えるときです。
日本の農業が抱える最大の問題は、挑戦への意欲がないこと。高齢化が進むと、違う方法を試すのも難しくなります。だから若い世代が必要なのです。(出所:クーリエ・ジャポン)
日本の経済的な地位は低下する一方で、そこに円安が加われば、食料安全保障が危機的な状況になることは避け得ないのでしょう。日本政府も、これを認めるといいます。
「稲作を特別扱い」する日本の食料政策には大誤算があった | 「食料危機が起きたら、コメを食べればよい」はほんと? | クーリエ・ジャポン
「問題は、惨事を回避するために必要な時間、インセンティブ、人材、イノベーションの力があるかどうかだ」と記事は指摘します。
政府は他の案件を含めて今たいへん厳しい状況におかれているようです。その上、たびたび政策がぶれます。優先順位を整理して、効果的な政策運営ができるのか少々不安も感じます。
岸田首相「所信表明」原案に“安いニッポン”頼みの成長戦略…発想はまるで途上国|日刊ゲンダイDIGITAL
記事論調が正論か否かは別にして、「もはや先進国ではない」という言葉が印象的です。
日増しに状況が悪化していくように感じます。目先の対処にばかり追われているようで、戦略が文言の羅列で戦略になっていないからでしょうか。
首相が今日、臨時国会で所信表明するそうです。国民の負託に応えることはできるのでしょうか。