Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

減少続ける実質賃金、達成できそうにない目標、それなのに達成しそうな目標

 名目賃金に物価の変動を反映させた実質賃金が14カ月連続でマイナスになったといいます。「歴史的な春闘の賃上げ効果」はどこへいったのかと批判の声も上がっているようです。

賃上げ効果「段階的に表れる」=実質賃金マイナス継続で―十倉経団連会長 | 時事通信ニュース

「物価と賃上げのタイムラグに基づくものだ。効果は段階的に表れてくる」と、経団連の十倉会長が述べたそうです。苦しい説明のようにも聞こえます。政府・日銀の物価対策が機能しないままで、実質賃金が持続的に伸びていくことはあるのでしょうか。

 

 

準備遅れる大阪・関西万博

 この発言の翌日、十倉会長が2025年に開催予定の大阪・関西万博について言及し、パビリオン建設などの準備が遅れていることについて、「何があっても開催日に間に合わせる」と明言したそうです。十倉氏は大阪・関西万博の運営主体である日本国際博覧会協会の会長も務めているそうです。

経団連会長、万博の開幕「何があっても間に合わせる」 - 日本経済新聞

 こちらも問題を抱えているようです。会場整備を巡っては、工事価格が当初の予定価格を超えたケースが増え、計66億4千万円の増額となっているといいます。資材価格高騰や人手不足が要因とみられるそうです。会場整備費1850億円の上振れ懸念が一段と強まってきているといいます。

 十倉会長は、会員企業に対して万博の前売り券を購入するよう求める方針も示したそうです。

 巨額の費用をかける割には機運の盛り上がりに今ひとつ欠けるところがあるのでしょうか。

円の乱高下、円高・株安

 円が乱高下しています。円安方向に進むのかと思ったのもつかの間、円高方向に転じたようです。円安で上昇した株価も連日値を下げるようようになってきました。

日経平均一時3万2000円割れ、円高嫌気-電機など輸出関連、商社安い - Bloomberg

 米国の景気と日銀の日銀のイールドカーブコントロール政策の修正期待が交錯しているようです。

 

 

さえない話ばかりですが、そんな中でも、積年の目標であった名目GDP600兆円が、2024年末には達成できそうだといいます。「あと4.9%増......」。

経済規模600兆円の時代到来 ~2024年末に名目GDPが大台に到達する予想~ | 熊野 英生 | 第一生命経済研究所

 目標達成と聞くと喜ばしいように感じますが、現実はそう甘くないようです。

 これは物価上昇による効果が大きく、実質賃金が伸びないままで、国民生活はあまり改善しないのではないかといいます。「労働生産性を高めるような経済活動の質的向上がなくては、経済規模が独り歩きして大きくなるだけ」と記事は指摘しています。

 いつまでも経済規模を追っているだけでよいのか、そう思うことが日増しに強くなります。規模を追うが故の弊害、問題が顕在化し、それに対処するはするものの、「豊かさ」はいつまでたっても実現できそうにありません。それなのに名目GDPの目標が達成できてしまう。不条理のようなものを感じます。

  価値観を変えればいいのでしょうが、口でいうほど簡単に変わることはないのかもしれません。国がこうした数値目標や成長戦略を掲げる必要もないような気がします。

山口周が語る「社会の価値観を変えるために『声』をつないでいこう」 | もう「成長」を追求しなくていい | クーリエ・ジャポン

 やりたいことができて、夢中で仕事していたら、驚くように収入が増加していく、気づいたら企業も国も成長していた、そうあればいいのにと思うのです。

 

「参考文書」

万博工事費、膨張で66億円増 協会発注9件、入札不成立 | 共同通信

ドル・円が約1カ月ぶり140円割れ、米金利低下と日銀政策修正観測で - Bloomberg