エネルギー価格など物価が高騰し、政府のばらまき施策が脱炭素化の流れに逆行しかねないとの意見もあるようです。
エネルギー価格を抑えようと、関連業界に補助金を注入する施策を批判する声もあるようです。
出口なき財政拡大 脱炭素化と逆行も―経済対策:時事ドットコム
物価が上昇している分、消費税の税収も増えるのでしょうから、単純にその分減税してもいいのではないかと考えてしまいます。それで時間を稼いでいる間に、安価な再生可能エネルギーをどこまで普及、拡大できるか、その強化に乗り出すべきと思いますが、そう安直には進められないでしょうか。再エネ拡大も政府施策のひとつのはずなのに、そうならないのが不思議ではありますが。
経営再建を進める東芝が6月に新たなビジョンを公表しました。
「人と、地球の、明日のために」
東芝の社長に3月就任した島田太郎氏は、ビジョンを納得してもらえるようその『コンセプト』を説明し、それを広げる努力しているといいます。
「僕より頭のいい人は社内にいくらでもいるから」東芝・島田太郎新社長が考える経営者のやるべき仕事 だから社長になってもSNSを続けている | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
自分より頭のいい人は社内にいくらでもいる。だから私のやるべき仕事は、頭の良さや細かい指示ではない。みんなに納得してもらえる『コンセプト』を示し、それを広げる努力をすることだ。(出所:プレジデントオンライン)
ビジョン策定にあって、島田社長は「世界で最も稼いでいるGAFAの企業たちと東芝との差はどこにあるのか」と考えたそうです。
技術レベルで言えば原子力や量子といったことをやっている東芝に優位性があるはずなのに、現実にはGAFAのほうがはるかに儲かっている。その違いは、巨大なプラットフォームを持ち、そこに集まる膨大なデータを有効活用できているからと分析したそうです。
ただ、GAFAが取得できるデータはデジタルの世界のものだけで、実世界にはもっと膨大なデータがあり、まだその8割が活用されていないとみているそうです。そして、東芝はその埋もれたデータを持っていて、これらデータをビジネスに生かせばGAFAに勝てるのではないか、と考えたといいます。
ビジョンでも「ソフトとハードを分離する」と掲げましたが、よく考えれば完全に分離できるわけがないんです。そうすると「どういうことですか」と社員からたくさん質問がくるので、それに一つひとつ答えていく。つまり、一緒に考えていく余地が生まれるのです。(出所:プレジデントオンライン)
ビジョンに掲げる「デジタル化を通じて、カーボンニュートラル・サーキュラーエコノミーの実現に貢献」とプラットフォーマーの関係性がいまいち釈然としませんが、資料に目を通せば、東芝が何をやりたいのかが理解できます。また、経営再建のための構造改革としてはごく普通なのようにも見えますが、社内外の理解を得るために、十分に練られた内容に感じます。
渋谷の街はいま、大変貌を遂げています。何百万人も行き来する状態を止めることなく、根本的に変えようとしている。これはまさにわれわれと重なります。
モノを売る総合電機の会社から一転、データサービスの会社へと業態を変えながらも、顧客の事業は止めない、投資家の期待に応えるという思いを、「渋谷の街のように、いくつものステップを経てビジネス(電車)を止めずに会社(街)を再生する」。(出所:プレジデントオンライン)
この考えを「SHIBUYA型プロジェクト」と表現しているそうです。
企業と行政では異なって当然なのでしょうけれども、政府ももう少しわかりやすくビジョンを描き、そのコンセプトを説明すればいいのかもしれません。
行き先がわかっていて、今どのあたりにいるかがわかれば、不安はすくなるのかもしれません。
植物由来の代替肉を製造する米ビヨンド・ミートが、従業員の約2割にあたる200人を解雇すると発表したといいます。
気候変動や食糧難対策の旗手として脚光を浴びたが、インフレ下で割高な植物肉への支持を広げるのに苦戦しているそうです。
植物肉ビヨンド・ミート、人員2割削減 逮捕のCOO離職: 日本経済新聞
少々ショックでありますが、そうなったのかと思います。インフレの逆風下、需要が伸び悩むなかで競争が激しくなり、業績不振に陥っているためといいます。
日本でもそうですが、気候変動対策の一環として、温暖化ガス排出の多い畜産業への依存を減らせるとして注目が集まり、多くの企業が参入しました。
成長が期待できれば、参入者は増えて競争が激化する、世の常なのでしょう。しかし、代替肉も、早くも構造改革が求められるような業界になったということには少々戸惑います。
ビヨンドミートはどんな戦略を示すことになるのでしょうか。