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【COP27閉幕】日本は気候変動対策で貢献できる国になれるのだろうか

 

エジプトで開催されていた「COP27」国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議が、気候変動で発展途上国に生じた被害に対する支援基金を設立することで合意し、閉幕しました。

 温暖化対策の輪に途上国をつなぎとめることはできたが、被害の根本原因である温室効果ガス排出削減に関しては、化石燃料の段階的廃止など強い方針が打ち出せなかったそうです。

COP27、気候被害へ新基金 「化石燃料廃止」示せず | 共同通信

 防災に取り組んでもなお生じる「損失と被害」への手当てに特化した初の基金で、途上国が要求していたといいます。この調整にかなり難航したようで、会期を2日延長しての合意になったといいます。

 対立分断が続く世界にあって、先進国と途上国の対立にならずに、交渉がまとまったことに安堵します。合意を成果にしていく努力がこの先求められるのでしょう。

 

 

 COPが閉幕するたびに、解決しなければならない課題が増えていくようです。途上国と協調し、「緩和と適応」を進めていかなければならなくなったということが年々、より鮮明になってきたとように感じます。

 一方で、世界の対立と分断は相変わらずで、ウクライナ侵攻が止まる気配はなく、さらにウクライナ国民を苦しめるような状況になっています。また、米中首脳会談が開かれて、米中対立は、多少は緩和方向に向かったように感じますが、それでもまだ対立状態にあることは変わらないようです。引き続きエネルギー安全保障を加えた経済安全保障全般が求められることになりそうです。

 それに加え、世界的なインフレは続き、日本を除く各国が実施する金融引き締めで、世界的な景気後退の懸念は高まり、また金融政策の差から生じる歴史的な円安はじわじわと生活に影響を及ぼしています。

 これまでのグローバリゼーションが終わり、新たなグローバルなつながりを作っていかなければならなくなっているのでしょうか。そうしなければ、今見えてきている諸課題に対処することはできそうにありません。

 

 

「助けを必要としている人に手を差し伸べる」という意識や行動は、ここ10年、社会全体でむしろ後退しているような気がします。

車椅子に乗った人を差し置いてエレベーターに乗るなどといったことは、先進諸国だけでなく、どこの国でも決して許される行為ではありません。(出所:東洋経済オンライン)

人助けをしない日本人に「グローバル人材」は無理 | 商社マン流 国際ニュース深読み裏読み | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

 記事は、日本人一般として「見知らぬ人、もしくは助けを必要としている人を手助けする(人助け)」との意識に欠け、「社会貢献の意識が低すぎ」といい、「教養」の低さを指摘しています。

 これでは、SDGsにしろ、「COP27」でどんな採択したにせよ、日本が率先して貢献していくことはできないのではないかと感じます。

 

 

 こうした意識の改善には、「自由に生きていくための教養(リベラルアーツ)」が求められ、それは哲学、歴史、社会科学、自然科学、芸術、外国語などの幅広い教養を指すといいます。また、「社会貢献教育」をひとつの柱に据える欧米の名門スクールでの教科になっていると記事は指摘しています。

 しかし、いかに意識を高め、美意識を育んだとしても、その活かし方がわからなければ、社会に貢献することはできません。

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 中堅社員になる前に「インダストリアルエンジニアリング(IE)」の研修を受け、改善について座学と実地研修で学習をしました。あまり気乗りしなかった研修でしたが、いざ研修が始まると、知らない知識に興味をそそられ、引き込まれていったことを思い出します。

 研修を終えて戻った職場では、それまであまり良好と言えなかった上司との人間関係も改善され、結構気持ちよく仕事ができるようになったりして実りある研修でした。

 その研修を通して学び得たことと言えば、「改善」とは結局手段であって、その目的は突き詰めれば他者のために役立つことをすることでした。

 自分の身の回りで始まるその活動の範囲を広げていけば、職場であったり、会社そのものを対象にすることできると、口酸っぱく研修で聞かされました。さらに、その活動を通して企業は地域社会にも貢献しなければならないとも何度も何度も聞かされたものです。企業が永続的に利益がある目的も、そこにあって、安定的な雇用を地域創出しなければならないと学ばされました。

 そのための「改善」「IE」、企業そのものをひとつのワークシステムと捉え、その効率化を図り、生産性の向上を図っていく。それは賃金の改善となって自らに帰ってくると学びました。

 

 

 それは究極的には理想なワークシステム、しくみを作り上げることで、そのためには「経済的な考察」「技術的な考察」に加え「人間的な考察」が求められるといいます。

 そして「人間的な考察」においては、「仕事中心のシステム」を「仕事をする人間中心のシステム」に接合することを目的とし、人間を人間として扱い、人間そのものを知らなければ、考察することもできず、役立つしくみは出来ないといいます。

 しかし、こうした手法を扱うにしても、真に必要なものは正しい哲理、組織を貫く共通理解、そしてタイミングよく実行力することと、「IEの基礎」は解説しています。

IEの基礎

IEの基礎

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 小さな改善なら成し得ることも、それがもっと広範なものとなれば、人を動かすための技能を身につけることが求められることでもあるのでしょう。その源泉こそが「哲理」であったり、また、リベラルアーツだったりするのでしょう。

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 仕事を通してですが、諸外国を巡り、また現地の人々と付き合って感じ得たことは、一見、身勝手で個人主義に過ぎる人たちも、他者を満足し得なければ、例えば金銭欲という個人的な動機を充足させることができないということを強く意識していることでした。それが理解できると、仕事は結構スムーズに進むことが多かったことを思い出します。当然ビジネスとして、自分たちにより有利にことを進めようとする駆け引きはあったりしますが、常にぶれない軸があります。中にはそうでない人たちもいるますけど。

  何かによって汚され、毒気づいた個人の意識、海外では見ることのない悪い個人主義が是正され、元あるところにもどれば、もっともっとグローバルに活躍できる人が増えていくのかもしれません。

 

「参考文書」

COP27閉幕「損失と被害」基金設置合意: 日本経済新聞